↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラとマサムネ異世界ほろ酔い漫遊記  作者: まほ。かんた。
PR
37/40

第37話『酒貨物押収作戦』

ワイン文化が根付くグレープマスカト公国。

しかし平和な街にも、禁酒主義隊の影が迫っていました。


※お酒は20歳になってから。

※お酒を飲んだら乗り物の運転はやめましょう。

※お酒は楽しく適量で。

 グレープマスカト公国へ到着した翌日。


 一行はシャルドネの案内で港地区へ向かっていた。


 石畳の街並みを抜けると、巨大な倉庫群が見えてくる。


 樽。


 樽。


 そして樽。


 どこを見ても酒だった。


 「すげぇな……」


 ジャックは感心する。


 「酒の要塞じゃねぇか」


 「当然だ」


 シャルドネは胸を張った。


 「ここは公国最大のワイン集積地だからな」


 港へ続く線路の上では貨物列車が忙しそうに行き来している。


 葡萄酒。


 果実酒。


 ブランデー。


 世界各地へ向かう酒が積み込まれていた。


 その時だった。


 突然。


 港の方から鐘の音が鳴り響く。


 カーン!


 カーン!


 カーン!


 周囲がざわつく。


 「なんだ?」


 マサムネが辺りを見回す。


 すると倉庫の警備員が叫んだ。


 「酒貨物区画だ!」


 「押収部隊が来たぞ!」


 その言葉にシャルドネの顔色が変わる。


 「まさか……」


 一行は急いで現場へ向かった。


 貨物ヤードでは大勢の人々が騒然としていた。


 そして。


 線路の向こうに見覚えのある姿が立っていた。


 黒と白の段模様羽織。


 銀縁眼鏡。


 鋭い視線。


 ジュンシューだった。


 「御用改めである」


 静かな声が響く。


 「絶対禁酒主義隊の名において、この酒貨物を差し押さえる」


 周囲から怒号が飛ぶ。


 「ふざけるな!」


 「公国の財産だぞ!」


 「違法だ!」


 しかしジュンシューは微動だにしない。


 「酒は人を堕落させる」


 「ゆえに没収する」


 「それが正義である」


 ジャックが額を押さえた。


 「相変わらず無茶苦茶だな」


 ジンも呆れる。


 「正義って便利な言葉だよな」


 その時。


 ジュンシューの視線がこちらを向いた。


 数秒。


 沈黙。


 そして。


 「貴様らか」


 明らかに覚えていた。


 ジャックが苦笑する。


 「また会ったな」


 「残念ながらな」


 ジュンシューは冷たく答えた。


 その後ろには数十人規模の禁酒主義隊。


 さらに荷馬車まで用意されている。


 どうやら本気だった。


 シャルドネが前へ出る。


 「ここは我が国の領土だ」


 「勝手な押収は認められん」


 「認める必要はない」


 ジュンシューは即答した。


 「酒がある限り問題は終わらない」


 「ゆえに酒を消す」


 「簡単な話だ」


 マサムネは思わず呟いた。


 「いや全然簡単じゃないだろ」


 すると。


 ジュンシューが懐から呪符を取り出す。


 周囲がざわついた。


 「まさか酒駄目波か?」


 「違う」


 ジュンシューは静かに首を振る。


 「今回はもっと単純だ」


 「酒そのものを押収する」


 その瞬間。


 部下達が一斉に動き出した。


 樽へ向かう。


 貨車へ向かう。


 酒を運び出そうとする。


 しかし――


 「待ったぁぁぁぁぁ!!」


 シャルドネの叫びが港に響いた。


 「俺の故郷の酒を勝手に持っていくな!」


 ジャックも拳を鳴らす。


 「せっかく治ったんだ」


 「また酒が飲めなくなるのは勘弁だぜ」


 ジンは肩を回した。


 「少し運動するか」


 イーチコも立ち上がる。


 「酒のためなら頑張れる」


 カスミは呆れていた。


 「本当に酒絡みだけ元気ですね……」


 そして。


 マサムネは静かに酒瓶を取り出した。


 ジュンシューの眉が動く。


 嫌な予感がしたのだろう。


 マサムネは栓を抜く。


 そして一口。


 ごくり。


 次の瞬間。


 光が弾けた。


 桜色の髪。


 美しい剣士の姿。


 サクラが現れる。


 「さて」


 知心刀を肩に担ぎながら笑った。


 「酒を守る戦いってのも悪くないね」


 ジュンシューは深くため息をつく。


 「やはり貴様らか……」


 港の空気が張り詰める。


 酒貨物を巡る戦いが。


 今、始まろうとしていた。


(第38話へ続く)


第37話をお読みいただきありがとうございました。


ついにジュンシューが再登場。

今度の標的は酒そのもの――公国の酒貨物でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。