第18話『切れるけど消える』
新しい武器、完成しました。
ということで今回は試し斬り回――のはずだったのですが。
どうやら仕様に問題があるようです。
※お酒は20歳になってから。
※飲酒後の運転はやめましょう。
※お酒は楽しく、ほどほどに。
工房の裏手。
試し斬り用の丸太が並んでいた。
マサムネが腕を組む。
「で?」
イーチコが顎で示す。
「飲んで」
「はいはい」
ゴクッ。
光。
サクラ出現。
「……便利だなこれ」
ジャックが笑う。
「HAHAHA! 毎回それだな!」
サクラは知心刀を抜いた。
黒い刃が光る。
「……いいな」
一振り。
スパッ。
丸太が遅れてズレた。
ドサッ。
「おおー!」
ジャック拍手。
イーチコが腕を組む。
「ちゃんと出来てる」
サクラがもう一振り。
スパン。
スパン。
「切れるな」
「当たり前」
「親父作だよ?」
「うるせえ」
マサムネ(中身)が満足げにうなずく。
「これなら――」
その時。
光がほどけた。
サクラ解除。
マサムネに戻る。
「……あ」
手元を見る。
何もない。
沈黙。
「……刀は?」
「消えたね」
「は?」
「仕様」
「なんだその仕様!?」
ジャック爆笑。
「HAHAHA! 武器まで消えるのか!」
マサムネが頭を抱える。
「終わってるだろ!」
イーチコが肩をすくめる。
「もう一回飲めば出るよ」
「燃費悪すぎだろ!」
「体質でしょ」
「雑すぎる!」
ジャックが瓶を差し出す。
「ほら、もう一杯」
「助かる!」
即飲み。
ゴクッ。
光。
サクラ再登場。
刀も復活。
「……出たな」
「出るよ」
イーチコが頷く。
「だから言ったでしょ」
サクラが刀を構える。
「まあいい」
軽く振る。
ヒュン。
空気が鳴る。
「使えるなら問題ねえ」
マサムネがニヤリと笑う。
「飲めばいいだけだ」
イーチコが即ツッコミ。
「ダメ人間の発想」
ジャックが笑う。
「HAHAHA! 最高だ!」
サクラは刀を肩に担ぐ。
「次は実戦だな」
イーチコが少し真面目な顔になる。
「その前に――」
間。
「酒、ちゃんと持って」
マサムネが即答。
「最優先だな」
ジャックが親指を立てる。
「それでいい!」
こうして――
知心刀の“仕様”は理解された。
強い。
だが――
飲まないと出ない。
致命的だった。
「……で、この刀さぁ」
マサムネは、腰に差した知心刀を軽く叩いた。
「飲まないと出ないって、どういう仕様なんだよ」
「体質です」
イーチコが即答する。
「体質で済ませるなよ」
ジャックは横でバーボンの瓶を揺らしながら笑った。
「いいじゃねえか。飲めば強くなる。シンプルで最高だ」
「いやお前はそうだろうけど――」
その時だった。
「……その酒、やめてください」
静かな声が、背後から落ちた。
三人が同時に振り向く。
そこに立っていたのは――
見覚えのある男。
「……ジロー?」
木間次郎。
かつての後輩。
だが今は――教団の装束に身を包んでいる。
「相変わらずですね、先輩」
その声に、わずかな違和感が混じる。
懐かしさよりも先に――
嫌な予感が、胸をよぎった。
(第19話へつづく)
第十八話をお読みいただきありがとうございました。
知心刀、切れ味は抜群ですが扱いはなかなか厄介です。
そして――あの後輩が再び姿を現しました。
次回はいよいよ実戦へ。




