表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
87/93

第87話 神の試練

何言ってんだ、こいつ?

魂の結びつきとかおとぎ話だと思ってたが、

まさか転生神の口からその言葉が出るとは。


「なあ。

 その、魂の結びつきって何なんだ?」


「質問の多い奴じゃのう。

 まあよい。

 魂の結びつきとは読んで字のごとく、そのままの意味じゃ。

 魂とは、お主らの心の本質。

 最小単位の構成要素といっても良いじゃろう。

 人は生まれ、死を迎え、そしてまた生を迎える。

 その輪廻の中でも損なわれず、世代を超えて受け継がれるものが魂じゃ」


……時々あちこちで耳にする言い伝えの一つだな。

てっきり現世にしがみつく者への気休めかと思ってたが。

仮にそうだとすると、俺とシェリーは……


「お主ら二人は過去世において、もう幾度となく添い遂げてきたのじゃ。

 夫婦が多かったが、時に親友、時には家族。

 その時々の関係に応じて様々な絆を育んできた。

 生を終えて生まれ変わっても離れることはない。

 あと何度か繰り返せばお主らは、互いに同化して神界へと至る。

 だのに、ピチピチギャルじゃと!?」


目の前のサイラ=コロニアは拳を握りしめ、突如として声を荒らげた。

ピチピチギャル、そんなに許せないことなのか?

男だったら普通だと思うんだが……。


俺が呆気に取られて言葉を失っていると、

サイラ=コロニアは再び話し始めた。


「そんなことを認めれば、

 お主らの縁は直ちに霧散し運命は二度と交わることはない。

 全てが水泡と化すところじゃった。

 そこを救ったのじゃ。

 深く感謝するがよい」


ふーむ。

コイツの言う通りだとすると、

俺は一時の誘惑に負けてシェリーを失うところだったわけか。

そこを、コイツは止めた、と。

だがしかし……


「何の得があってそんなことを?」


そう問い返すと、サイラ=コロニアは目を伏せた。

神妙な面持ちだ。

見た目がシェリーだからか、

今から別れ話でもされるのではないかという錯覚を覚えてしまう。

まずい、ティシアの時の記憶(トラウマ)が……。


俺が目を背けかけた時、再び俺の手が握られた。


……そうだな。

俺にはシェリーが付いてくれている。

何も不安に思うことなど、無い。

そう思い直して再び前を向くと、サイラ=コロニアと目が合った。

だがすぐにヤツは目線を外し、今度は辺りを見渡し始めた。


「見ての通り、神界は寂しいところじゃ。

 神と呼ばれる物の数は限られておる。

 お主らが神域に来れば、少しは賑やかになる」


「つまり、仲間が欲しかった。

 そういうことなのか?」


「まあ、そうとも言うな」


何て言い草だ。

結局はコイツの為じゃないか。


むむむ。

だが、コイツの言うことが正しいとすると、あのまま行くと俺がシェリーと会う未来は無くて、その未来をこいつは阻止してくれたということか。

それならまあ……。

だが、なんか釈然としないものを感じる。


「さて、そろそろ仕上げと行こうかの」


突如、サイラ=コロニアの手元に槍が現れた。

なんかエライ立派な……って、あれは。

神槍グングニル。

エンシェルムの禁書庫に置いてあった図鑑で見たことがある。

実在したのか。

いや、それより。

何する気だ、コイツ?


「慈愛の少女、シェリサンドリカよ。

 受け取るがよい。

 これからお主らには我の試練を受けてもらう。

 そのために必要な物じゃ」


そう言うと、サイラ=コロニアは槍を横に向けてシェリーに差し出した。


「しれ、ん……?」


「そうじゃ。

 これからお主らは我と戦い、見事打ち破ってみせるのじゃ。

 さすれば、お主らの望みも叶うであろう」


で、コイツの望みも叶う、と。

というか、八百長する気満々じゃないか、コイツ。


「分かったわ。

 あなたを倒せばいいのね?」


シェリーは槍を受け取り、手首を回して振り回している。

準備運動なのか。

こっちはこっちでやる気満々だ!

なんで!?


「正直、モーゼスの姿のあなたに槍を向けるのは抵抗があるけど……。

 でも、やるわ」


いや、ちょっと。

シェリーにはサイラ=コロニアが俺の姿に見えてるんだよな?

それなのにこんなにやる気出してるとか。

普通に怖いんですけど……。


あれか?

やっぱり朝帰りしたときのこと、根に持ってたのか?


……ごめんなさい。

もうしません。

だから……だからいつもの優しいシェリーに戻って!?


だが、俺の想いは通じない。

シェリーは中段に槍を構え、偽シェリーに穂先を向けている。

偽シェリーもまた不敵に笑い、両手を前に構えると、言った。


「準備は出来たようじゃな

 さあ、来るがよい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ