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カモメ賢者と黒髪の少女  作者: ジャパンプリン
第七章 三人の賢人(前夜編)
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第74話 王者の閃き

タイトル変えてみました。

最終章突入時には元に戻します。多分。

しばらく作者の実験にお付き合い願いますm(__)m

俺は自由だ。

行く手を阻むどころか上下左右、背後に至るまで何者の姿も見当たらない。

眼下には魔法都市が見える。

あの巨大な魔法都市とて、今の俺にかかればパン切れのようなものだ。

そう。

(カモメ)は今、空という名の庭を独占し、全能感を満喫していた。


向こうに上昇気流が見える。

あれを使ってさらに上空へと飛び上がるか。

っと、何かが上からやってくる。

あれは、トンビか。


ははぁ。

縄張りを主張してるのか。

だがここは俺の庭だ。

その勝負、受けて立つ。

――飛んでるけどな。


トンビの野郎が一気に距離を詰めてきた。

降下の勢いを生かした、良い立ち回りだ。

(カモメ)を相手に距離を詰めるとは、

トンビにしてはやるじゃないか。

だが、カモメは空の王者。

この俺を相手に空中戦で勝てると思うなよ。


俺は針路を上に取り、トンビの急襲を()らしにかかる。

だが、敵もさるもの。

俺の行き先を狙って旋回してきた。

トンビの(クチバシ)が頭上に迫る。


――ここだ。

俺は軽やかに傾転(けいてん)し、()んでのところでトンビの初撃を(かわ)してみせた。

トンビが急旋回し、再び俺を追ってくる。

だが、急降下の利は失われた。

ここからが本番。

見てろよ、この野郎。


――――――


トンビが(カモメ)を追ってくる。

今度は同じ高度、つまり同条件だ。

奴は燃費が悪い。

このまま逃げ続ければ、奴は何処かで諦めざるを得ないだろう。

だがそれでは面白くない。

まずは、これだ。


俺はトンビを真後ろに誘うと、一寸(ちょっと)()だけ翼を狭めて小さく速く羽ばたいた。

俺の背後に生じる渦が、トンビの周りの流れを掻き乱す。

よし。

たった一瞬だが姿勢が崩れた。


この隙を逃す俺じゃない。

咄嗟に羽ばたきを止め減速し、即座にトンビの背後を取った。

勝負ありだ。


カモメの速度にトンビは敵わない。

後はこのけしからん奴をどうしてくれるか。

撃墜するのも忍びないが……。


その時、トンビが頭を下に向けた。

急降下して距離を稼ぐ、逃げの動きだ。

負けを認めたか。

良いだろう。

ここは見逃してやる。

王者(カモメ)の情けだ。


――――――


一仕事終えた俺は上昇気流に乗り、更なる高みを目指した。

風に押される心地よさに身を任せて頭を(から)にする。

だが気付けば思考が再び顔を表す。

俺の思考は再びシェリーの黒髪へと吸い寄せられていった。


シェリーの黒髪。

そこで何が起きているのか。

周囲の魔力は吸収するが、俺の魔力は全く吸い込まない。

どういう事だ?


いや、待てよ。

いま俺は、()()と言ったな。

これはつまり、圧をかけて吸ってるわけではないということか?

あくまで布が水を吸い上げるかの様に、拡散吸収が作用している……?


だとすると、必要なのは圧ではない。

濃度だ。

しかも均一に、か。

難しいな。


!!!


むお!

何だ!?

雲か!


マズいな。

モヤに囲まれて何も見えない。

何とかして外に出ないとな。


――いや、これだ!

今、俺はいきなり雲に突っ込んだな。

これはつまり、境界が不連続なのだ。

だが、一度(ひとたび)内に入れば中は均一。


そうだな。

これは試してみる価値がある。

だが、まずは雲から出るのが先決だ。


仕方ない。

魔法を使うか。


一様流(フリー・ストリーム)


途端に周囲の霧が流れ、俺は再び視界を取り戻した。

気がつけば、魔法都市から随分離れてしまったな。

今や麦粒かと錯覚するほどに小さく、後方に見える。


俺は宙返りを決めて、同時に半捻りした。

そして目線の先に魔法都市を捉えた。


帰ろう。

シェリー(愛しい人)の元へ。

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