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10章-4(青の勇気)
伊藤七は かすれ声になったり 普通の
声に戻ったりしながら 「月光」という
歌を 歌い出していた。
まわりの生徒からは
「どうした- ナナ-」
とか
「なんだか変よ ナナ-」
と あちこちで ざわめきが
起きはじめていた。
そして 精一杯なんとか 普通の歌声に
戻そうと 伊藤七は 必死になっていた。
しかし 歌のサビの部分で 最初は
小さく
「ゲホッ ゲホッ」
と 咳をして そして3回目で
咳は 大きくなってしまった。
それでも どうしても 歌いたいという
気持ちだけで 伊藤七は そこにいた。
それを見ていた 青山幸村は
とうとう本当に 病気が悪化してしまったと
悟って どうしたらいいんだと
半分 パニックになっていた。
そして 青山幸村の頭の中が 突然
スパークしたように 真っ白にはじけて
体が動いた。
青山幸村は 気が付いたら
伊藤七のところまで 来ていた。
そして 勇気を振りしぼって
言っていた。
「伊藤さん もうダメですよ。もう
歌えなくなっているんだ。
だからもういい。
ちょっと 来てください」
と そう言って 青山幸村は
伊藤七の手を取り そのまま
手を引っ張って 体育館から
連れ出した。




