9章-2(学園祭当日の朝)
青山幸村が 学校に到着してすぐに
2年2組の 自分の教室に向かった。
そして 2年2組の教室に着いたときに
伊藤七の姿があるか 確認したが
もう姿がなかった。
どうやら 朝はやくに来て この
2年2組の教室に ちょっと来ただけで
軽音部の部室に 行った様だった。
だから 青山幸村は 自分もすぐに
教室を出て 軽音部の部室に行こうかと
少し迷ったが 迷っている時間など
ないなと 判断した。
そして 軽音部の部室に向かって
歩いて行った。
部室に着いたときには やっぱり
伊藤七がいて 少し緊張した様子で
入念に自分が 歌う歌の 最終チェックを
していた所だった。
他の部員も 2人ほど来ていて それぞれ
本番に向けて 準備をしていた。
青山幸村は 伊藤七に 声をかけるべきか
迷ってしまったが 部室の片隅にいるよりは
ちょっとでも 声をかけようと思って
行動に移した。
伊藤七の方へ 近づいて行って
「おはよう 伊藤さん」
と 声をかけてみて 彼女の反応を待った。
そして伊藤七のほうは あいさつして来た
相手が 青山幸村だと分かって
こう言ってきた。
「あら 青山くん おはよう。
わたしなら 今日は大丈夫よ。
もしかして わたしのこと心配して
朝早くから 部室に来てくれたようだけど
大丈夫よ わたしなら」
と あいさつの部分以外は
青山幸村だけに 聞こえるように
手を止めて 青山幸村の方に
近づきながら 言ったのだった。
そして 伊藤七が 青山幸村の前まで来て
「青山くんて 本当に 心配性なのね。
どうしてそこまで わたしのことを
本気で 心配してくれるの?
どうしてなの?」
と 言ったのだった。
それを聞いて 青山幸村は どう答えて
いいか わからず少し考えこんで
いたが それを見た 伊藤七は
バツが悪そうに こう言った。
「ごめんなさい。
ちょっと 難しい質問だったわね。
本当に ごめんなさい。
でも 心配してくれるのは
嬉しいけど それで青山くんが
思い悩み過ぎるのは わたしは
嫌なの。
わたしのせいで 人が傷つくのは
嫌なの。
だから 青山くんも わたしのためじゃなく
自分自身のために 今を楽しんで。
ごめんなさい ちょっと偉そうだったわね。
でも わたしも 青山くんのことを
心配しているってことを
わかって欲しかったの」
と そこまで 伊藤七は言い切ったのだった。
それを言われた 青山幸村は
心に秘めた 本当の気持ちを
まだ知られていないとわかって
ほっとしたところもあったが
ちょっと 残念だと思う 気持ちもあった。
そういうことがあった 学園祭当日の
朝であった。




