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黒と赤の二重奏(くろとあかのにじゅうそう) 第三部  作者: 青ちゃん
それでも君のことが好き
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7章-3(七の気持ち)

 伊藤七は 青山幸村の 思いを聞いて

かなりショックだった。

 それは 青山幸村が 人の心に対して

そんなに敏感では ないだろうと

思っていたのと こんなにも

わたしのことを 心配してくれたんだ

という思いだった。


 わたしは 青山くんのことを ある意味

誤解してたんだわ と そう心の中で

思って ちょっとした罪悪感を

感じつつ 青山幸村のことを

見直していた。

 そう思ったから 伊藤七は のどの

病気のことを 全部 正直に話そうと 思い

こう言い出した。


「ありがとう 青山くん。

 あのとき耳鼻科で 出会った時に

 わたしは どうしたらいいのと

 思ったの。

 こんなところで まさか知っている人に

 会ってしまうなんて 思って

 なかったから 青山くんに 声をかけられて

 困惑してしまったの。

 そして あの時から 今まで心配して

 くれて ありがとう」


と 言って1回 話す間を取ったのだった。


 その後の 伊藤七の話しは 幼い頃に

のどを 悪くする病気にかかった時から

始まって その病気が 治っていたと

思っていたと 順序を通して

話していった。

 伊藤七の 歌手になりたい夢のこと

そうなるように 頑張ってきたことを

話した。

 それなのに 高校1年の秋に のどの病気が

再発してしまったこと このままのどを

使いすぎると 一生のどを つぶしたような

声に なってしまう病気だと いうことを

話した。


 そこで 青山幸村は その話を聞いていて

心配で 胸がつぶれそうだったから

こう聞かずには いられなかった。


「その再発した のどの病気は

 治るのですか?」


と 心配で言った。


 それに対して 伊藤七は 自分の

今までの 話をしていたら 少し

感情的に なってしまったのだが

まだ少しだけ 冷静でいられたので

こう答えた。


「このわたしの 病気は 手術をすれば

 50%の確認で 治る病気だそうよ。

 でも 今のわたしは 臆病者だから

 手術を受ける 勇気がないの。

 だから 通院しながら 現状を

 保っているの。

 わたしは 手術を受けて 失敗したときが

 こわくて こわくて どうしても

 手術を 受けようって気には なれないの」


と この言葉の 最後の方では

とても 感情的に なっていた。

 ある意味 自暴自棄に なって

いたかもしれない。


 この時 伊藤七は 涙ぐんでいた。


 そして 涙をこらえながら こう言った。


「わたしの 話を 聞いてくれてありがとう。

 少し気分が 晴れた気がするわ。

 でも この事は 誰にも内緒よ。

 お願い みんなには 内緒にして

 欲しいの」


と 涙をこらえてか 目を赤く

しながら 伊藤七は 言った。


 そう言われた 青山幸村は


「そういうことなら 自分は

 誰にも 話したり 言ったりしません。

 だから 安心して下さい。

 でも 出来ることなら 手術をして

 治して欲しいと 思います」


と 言い 伊藤七は


「わかってるわ。 青山くんに

 言われなくても 手術をして

 治した方が いいのは わかってる。

 でも もう少しだけ 考えさせて。

 せめて 今度の学園祭で わたし達

 軽音部が 歌う日まで待って」


と 言った。



 北高校の 学園祭は 9月にあるのだが

去年の学園祭で 軽音部は 体育館で

曲と歌を 何曲か 披露したのだったが

それが とても 大盛況だった。

 伊藤七も サブボーカルで 頑張って

みんなが 夢中になるほどの 歌声で

歌っていて 伊藤七も 歌い終わった後

とても 感動していた。


 そういう経緯が あったので 今年の

9月にある 学園祭の晴れ舞台では

どうしても 伊藤七自身が

メインボーカルとして 歌いたかった

のである。


 そして学園祭を 大成功させて

この学校中の みんなに 感動して

もらいたかったのだった。


 伊藤七は それほどまでに 責任感の

強い 女性なのだった。





















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