屏風の虎退治
ビジョの活躍回!
マドリードの街を二分する伝統の一戦、カスティージャ(レアル・マドリードB)対アトレティコ・マドリードBの「マドリード・ダービー」。
アトレティコの本拠地、エスタディオ・セロ・デル・エスピノのピッチは、試合開始直後から、3部リーグの枠を完全に踏み越えた凄まじいインテンシティ(激しさ)の嵐が吹き荒れていた。
アトレティコの堅守速攻を牽引するのは、あの街で遭遇したブラジルの野生児、べべ(カゼーダ・イ・ザイモン)だった。
「行くばい、レアル! わての『キャット空中三回転半』、止めてみせてちょ!」
後半15分:予測不能のドタバタ、そしてスカした守護神
試合は1-1の同点。後半15分、アトレティコのカウンターから、バイタルエリアでべべにボールが渡る。
「うわっ、なんだあのステップ! 戦術的に理解不能だよ!」
中盤の底で、ボランチのングゥワチュチュが珍しく顔を引きつらせる。
べべのドリブルは、まさに「ドタバタ」という擬音がぴったりの、上半身と下半身がバラバラに動くような怪異のステップ。右へ行くと見せかけて左へ転びそうになりながら、なぜかDFをすり抜けていく予測不能の即興性。
それでいて、体格に似合わずスピードに乗っている。氷上を滑り、舞っているかのようだ。不格好だが。
マッチアップしたダンも、「やっぱりこの人、めんどくさい……!」と直感し、深川仕込みの体幹で距離を保つのが精一杯であった。
べべがドタバタと強引にペナルティエリア内に侵入し、右足を振り抜こうとしたその瞬間。
「……右のシュートコースは消えている!左の股下(股の間)しか空いていないよ!!」
最後方から、守護神ビジョの、凍りつくほど冷徹でスカした指示が響き渡った。
ビジョの神がかった戦術眼とコーチングの前に、カスティージャのDF陣はすでにべべのシュートコースを完璧に限定(網を張る)していた。
野生の勘で「左の股下」を狙ったべべの強烈なシュートは、すでにそこに先回りしていたビジョの細い両手のひらの中に、ピタリと吸い付くように収まった。さながら、暴れる猛獣(虎)を軽々と手懐ける、完璧なキャットハンドのようであった。
「ナイス、ビジョ!」
「ふん。騒ぐほどじゃないさ。さあ、ダン、カウンターだ。前線へ走れ」
ビジョはスカした顔のまま、正確無比な低弾道のパントキックを前線へ供給する。
< 100年の大樹と、ツンデレの歓喜>
相手のカウンターを逆手に取り、一気にアトレティコ陣内へと攻め上がるカスティージャ。
左サイドからマリオが爆発的なスプリントでディフェンスを引き裂き、中央のスペースをこじ開ける。
パスを受けたダンは、高速ドリブルで一気にペナルティエリア内へと侵入した。
GKはシュートコースを消そうと飛び出して来た。
加えてべべが「はんかくせぇ!」と猛烈なスライディングで突っ込む。
しかし、ダンは瞬く間に切り返し、べべをかわす。そしてターンするや否や、素早く右の爪先をボールと大地の間に差し込んだ。
パシッという音と共に、ボールはGKの頭上を弧を描いて越え、ワンバウンドの後、ゴールに吸い込まれていった。
「ゴ、ゴォオオオオオオール!!! ダン・ホルトーリ! レアルの神童がダービーの均衡を破った!」
べべとGKを煙に巻くようなループシュートで2-1。
そのまま激戦のダービーはカスティージャの勝利で幕を閉じた。
試合後、ピッチに大の字に倒れ込んだべべは、「はっさみよ~! でも次は絶対に負けないからな!」と悔しそうに叫んだ。
ベンチではチョビが「ふ、ふん! 俺の計算通りだけどね!」と、顔を真っ赤にしてガッツポーズをしていた。
マドリードの「楽しいサッカー(日常)」の頂点。しかし、この最高の熱狂の裏で、ダンたちの圧倒的な才能を見つめる「トップチーム」の冷徹な視線が、バルデベバスの闇の中に忍び寄り始めていたのであった。
魅力あるキャラクターなので、いずれまた出したいです。方言調べるの大変だけど笑




