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前世の記憶が生えたとて、スキルなしには厳しいです  作者: ヒコしろう


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第6話 今後のこと

四男坊達のDランク冒険者チームは今回の件でギルドマスターからの罰として最初のFランクからやり直しとなった。


可哀想だが、本来なら多額の罰金や親までも責任を問われて鉱山で数ヶ月の労働刑にくらべたら甘々なので許して欲しい。


実は冒険者は特別枠のSランクを除けばA~Fのランクがあり、本当の意味で【冒険者】と名乗れるのはCランクからである。


D~Fは登録したギルドのみで有効な仮免許みたいな物で、冒険者ギルドマスターの権限で飛び級も降格も自由自在なのだ。


仕事内容の目安としては、Fランクは町の除草作業や溝掃除などお手伝いクエストがメインで、冒険者ギルドでの仕事の受け方などを覚える期間である。


そして僕が居たEランクは、いつでも冒険者ギルドに出されている常時クエストの薬草の納品や鉱石の納品に加え、少し難しい物だから僕は受けて居なかったが町周辺のスライムやネズミ魔物の駆除などという難易度の依頼が受けられる様になる。


だから本来ならばダッシュボアなどの森の魔物の間引き依頼は1つ上のDランクでないと受けられないのだが、そこは冒険者ギルドマスターの裁量で自由に出来る低ランク帯の話なので、ダッシュボアを単騎で撃破した功績でコツコツ薬草を納品して貯めていたギルドポイントなど無視して、僕はダッシュボアの討伐報酬をお駄賃として僕に渡す為だけにギルドマスター判断で、なんとDランクへと昇格したのである。


『ありがとうギルドマスター』


そんなギルドマスターの管轄から離れて、他の町でも冒険者として活動出来るCランク冒険者に四男坊達は1日も早く成りたくて、力量に見合わない依頼に失敗しても懲りずにチャレンジしていたらしい。


森の魔物の間引き依頼は、


「今日は間引き依頼にチャレンジする為に森に行きます」


と窓口に言っておくだけで特に成果がゼロでもクエスト失敗には成らないので気楽に受けられる。


それにこのレベルのクエストはCランク冒険者も普通に受けるクエストでもある為に冒険者ギルドポイントという昇格の目安となるポイントも高く設定されており、ポイント狙いのDランク冒険者達や、ポイントは貯まっているがCランクに上がってもやって行けるか心配な慎重派のDランク冒険者達はこのランクの依頼で己の力量を試して、Cランク冒険者への昇格試験を受けるか否かの判断材料にしているのだそうだ。


『四男坊達もバカだねぇ、聞けばダッシュボアってCランク冒険者からしたらお肉や毛皮も完全な形で買い取りに出せば本体だけでも銀貨三枚近くになるが、レベル的には簡単な獲物らしいじゃないか!? だけどソレを相手に敗走するぐらいでは、まだまだ強さが足りないだろうに』


と、客観的に見れば四男坊達がかなり無謀な挑戦をしていたのが分かるが、当の本人達は、


「装備はCランクにも負けてないから!」


と、家が太くて食費や生活費に報酬を使わずとも良くて、装備だけは周りのDランクからは考えられない一級品だった為に力量も無いのに夢を見てしまったのだろう。


まぁ、後から聞いた話ではあるが、四男坊達の冒険者チームはお勉強が凄く苦手で学校に入学しなかったのか、出来なかったのか微妙な少年達であるらしく、今回の件でチームが降格したのもあり、メンバーの数名は親が冒険者を辞めさせて家庭教師などをつけて浪人してでも学校に入れる決断をした為にチームは事実上の解散となった。


リーダーであった四男坊も、


「本来なら殺人未遂で高額な罰金刑か鉱山などで強制労働だ! この我が家の恥さらしが」


と、パパをはじめとして既にパパの部下として騎士団で頑張っていたお兄ちゃん達にも怒られたらしい。


彼は、お勉強もダメな上に規律正しい生活が嫌で冒険者の道を選んだ四男坊だというのに、今では見習い騎士団員という体育会系のクラブでいう所の一番の下っぱの補欠の補欠みたいな辛い環境に身を置いているのだそうだ。


なんでも朝は若手の騎士団員よりも早く起きて騎士団の馬小屋の世話をしてから昼は休まず剣を降って体力を作り、その後は先輩達の汗だくの服を洗濯したり、風呂場やトイレの掃除をして、寝る前には練習場の木剣などの手入れなど、普通は学校に通うお金の無い平民の中でガッツと忍耐力だけには自信のある子供が、


「将来は騎士団員になって母ちゃんに楽させてやるんだ!」


と歯をくいしばって耐え抜く騎士団員養成施設にブチ込まれているというのを聞いて、


『弓のウエポンスキル持ちだったらしいから、真面目にお勉強を頑張っていたらお兄ちゃん達みたいに学校の騎士クラスを卒業できて、現場の最下層からの叩き上げではなくてエリートコースで騎士になれたのに…』


と少々気の毒に思うが、四男坊君は多分僕が想像するに人生一度目というか、前世は、


『草、うめぇ~』


ぐらいの感想しか無かった蝶になる前に食べられた青虫しか経験してないんじゃ無いかと思えるぐらい、人間としてはスタート条件の良さにかまけて努力のどの字も知らないような浅いお子さまだったらしいので、


『彼の為には良かったのかもね』


と、少し彼の人生を狂わせたという罪悪感から目を反らす為に僕は自分に言い聞かせている。


さて、現在そんな僕は生まれた集落の片付けの為にお代官様が騎士団を出してくれるまでの期間は冒険者ギルドが運営する宿の一室を拠点として、今後この世界での生活で役に立ちそうな知識を手に入れる為にお代官様のお屋敷の図書室に通うという生活を送っている。


今回の擦り付け事件でお代官様であるファベル準男爵様と知り合う事になり集落の件を僕からも直接お願いしたおりに、


「アルマと申したな、どうだ学費は我が家から出すから学校へ行ってみないか?」


と子供なのに双方Win-Winというオッサンみたいな上手い条件を出して来た事から、


『文官として囲っちゃお!』


てな具合の提案をされたのだが、両親から教えて貰ったので読み書きは出来るし、苦手だった計算も前世の知識が生えてからは、


『なんでこんな簡単な計算が出来なかったんだろう?』


と不思議なぐらい簡単に解ける様になったのに、何が悲しくて学校に通わなければ成らないのか分からない僕は、


「知識は欲しいですが、両親の愛したあの集落に帰るのが望みですので…」


と、それっぽい理由をつけて学校をパスしたところ、お代官様から、


「そうか、なら早く騎士団を派遣して集落をまた住める様にせねばな。 アルマよ今回の件では我が家もそなたに借りができたゆえ大工等の手配や建材の調達などは任せて欲しいのだが、それにはまだ少々日にちがかかる故に知識が望みならその間は我が家の書庫を自由に使える様にしておこう」


と言ってもらえ、魔術の本や錬金術について書かれた資料も並ぶお屋敷の図書室へのフリーパス権限を貰えたのである。


正直なところ集落を片付ける為の費用を稼ぐ為に冒険者を選んだが、スキル無しでは冒険者として大成するのは難しいし、前世の知識が生えてしまってからは、


『上手い事して集落でのんびり暮らせないかな?』


と考える様になっている為に、このチャンスを生かしてスキルが無くても身に付けられる技術や出来る事を考える時間に充てる事にしたのだ。


僕の父親は木工職人であり、このファベルの町で母と出会い、町で新たに工房を構えるには町に多額の登録料が必要である為に無料で工房が構えられる開拓村という制度を使い、マーキオ村から徒歩で半日程離れた未開の土地を同年代の仲間と切り開き集落を作って、そこで木工職人として暮らしていた。


だからアルマ少年としては冒険者家業より木工など物作りに興味があり、いずれは親の工房を継ぐつもりであった。


しかし開拓村というのは色々と問題もあり、正式な村でない為に領主様からの恩恵も薄くて、兵士が居なかったり、ギルドの出張所も無いという悪く言えば警察も来ない町のスラム地区よりも、いざという時は危険な無法地帯と言っても良い場所である。


だけど、開拓をしようとする者は体力もある若い人材が多く、開拓作業が一段落した集落には結構子供が生まれており、全世帯6軒と家の数はの少ない割に僕を含めると同年代の子供が三人も居て活気はあって明るい集落であった。


そして、来年にはご領主様より正式な名前を賜り村としての新しいスタートをする矢先の襲撃であった為に、色々とややこしい事となり、お代官様的にも、


「一夜にして集落が滅んだとは聞いたけど、正式な村ではないし…」


と対応に困っていたらしい。


これで集落の長だけでも生き残って救援要請の正式な書類などが出されていれば問題は無かったそうなのたが、救援要請も無ければ報告も上がって来ず、冒険者や行商人の噂で、


『集落に生き残った者自体が絶望的らしい』


というのを知っているが、


『さて、どうしたものか?』


と微妙な立ち位置の集落ゆえ、お代官様として税収もまだ見込めない名前だけ貸してるような傘下の集落にファベルの町の税金で成り立っている騎士団を勝手に動かして良いのか不安になっていたらしい。


なのでご領主様の部下の法律等に詳しい知り合いに相談の手紙を出して返事待ちをしていた段階で、今までちゃんと対応をしきれていなかったところ、集落の生き残りである僕が現れて、今回の事件の示談金代わりとして、お代官様は周囲にいる騎士団長や大きな商会の会長など後押しで、ようやく思い腰を上げたという流れなのだ。


なので廃集落として消える筈のところ、正式な村として成功目前だったウチの集落は、再び開拓村として再チャレンジ出来る事になり、僕はこの国の法律で、


【開拓村の木工工房】


という父の工房の看板と、


【開拓村の雑貨屋】


という母の店の権利を正式に受け継ぐ事が出来た。


これにより普通であれば開拓村で数年実績を積むか、かなりの登録料を所属するギルドや国に払わないと正式に持てない店や工房の権利だけは持っている計算になり、普通ならば師匠の下で修行しないと見習い登録すら出来ない商人ギルドや職人ギルドに、


「すみません、親の店を継ぎます」


と手続きをすれば、子供として見習い登録が即日可能となる。


商人ギルドであれば規定の年会費を納められるだけの稼ぎがあれば良く、職人ギルドとしては作った商品の出来映えで見習いではなく正規の職人として登録してもらえる。


なので今の僕の肩書きは、Dランク冒険者で木工職人見習いの見習い商人という物と、木工工房の工房主と、雑貨屋の主という何とも賑やかな物ではあるが、蓋を開けてみると、


【魔物もろくに倒せない成り立てDランク冒険者】


と、


【工房は焼け落ちて権利だけある全く木工の技術を父から教わってはいない見習い職人の工房主】


に、


【雑貨屋も焼けて無くなり権利だけだが、こちらは規定の年会費さえ払えれば見習いから市場で大型の露店が開ける初級商人にもなれるが、ちょっとお高い年会費の中級にならないといくら開拓村だとて店舗はオープン出来ない見習い商人】


という、どうにもすぐには稼ぐ事が難しい肩書きはばかりである。


「さて、これからどうして稼ごう?」

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