↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます  作者: 犬社 護
2章 家族からの別離(現世)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/30

28話 リリアーナ・フェルデナンド

私の名前は、リリアーナ・フェルデナンド?

ユウキに名前を言われても、私の心は全然響かない。

彼女に言われたことで、ルウリとベイツさんも驚いているよ。

周囲が騒がしいこともあって、私たちに注目する人々がいないようで良かった。


「ルウリ。フリードは、まだ王都にいるのか?」

「いる。今、食事などで魔力を回復させているところ」

「どうする? 国がレストラン-クザンに対して動いている以上、いずれフェルデナンド家も気付き、一騒ぎ起こるのは確実だ」


国はフェルデナンド家の力を衰退させる目的で、秘密裏にクザンの各チェーン店に出向いて、食材偽装を調査する。調査が始まった時点で、従業員からフェルデナンド家に連絡が行くだろうから、新聞記者にとっては美味しい騒動が起こるのは確実だよね。


「そうだね…予想外の事態だけど、この際だから、咲耶の不安を一掃させたい。フリードにフェルデナンドを侵入してもらって、咲耶=リリアーナである証拠を掴んでもらおう」

「あいつ、絶対不満を漏らすぞ」

「そこは咲耶のためでもあるのだから、我慢してもらうしかない」


私の実家が食材偽装に巻き込まれるというのに、心が全然響かない。リリアーナの心は今も私の中にあるはず、心が砕けるほどの仕打ちを受けたと聞いていたけど……。


「ユウキ。私って、家ではどんな扱いだったの?」

「私も詳しく聞かされていないが、言ってもいいのか?」

「大丈夫!! いつか向き合わないといけないもの!!」


それに、家で神妙な気分で聞くよりも、こういった騒がしい場所で聞いた方が、ショックが少ないかもしれない。


「凄い度胸だな…わかった話すよ。10歳を迎えるまで、リリアーナは順風満帆だったが、祝福の儀で無能者と判明された。家に到着後、君は必死になって父親に、『当主様のお役に立てるよう、必死に頑張りますから捨てないで!!』と家族に訴え続けた。淑女教育を受けている以上、貴族の無能者がどんな扱いを受けるのか知っていたのだろう」


自分の父親に向けて当主様って…リリアーナは自分の迎える未来をわかっていたから、なりふり構わず、必死になって訴え続けたってことか。


「しかし、その声は家族に届かず、リリアーナは自分の部屋で、3日間の監禁生活を強いられた。その間、昼夜問わず、ずっと叫び続けていたらしい。その声も日毎に小さくなっていき、3日後部屋から出された彼女は、心を壊していたそうだ。そして、何処かに連れて行かれた。ここからは私の仮説だが、おそらく秘密の地下に連れて行かれ、そこで転移されたのだと思う」


さっきから私の頭の中に、断片的な映像が浮かんでくる。

その映像の中に、必死に家族の名前を叫ぶ私の姿がある。

私は、リリアーナ・フェルデナンドで間違いない。


部屋の中で叫んでいる内容の中に、『無能者は、15歳までには能力を開花させます!! だから、捨てないでください!!』というものがある。彼女なりに、色々と調べていたんだ。それなのに、家族はリリアーナを捨てた。


「咲耶、どうした?」

「ほんの少しだけ、記憶を断片的に思い出したよ。その情報、誰から聞いたの?」


「使用人だ。私は命令を受けた後、リリアーナの情報を当主以外から収集しておいたのさ。リリアーナは、家族のいないところで、使用人たちから可愛がられていた。しかし、監禁されて以降、当主の命令もあって、励ましに行きたくてもいけなかった。食事を出す際も、極力顔を見ないよう、そっけない態度をとっていたそうだ」


ああ、そうだ、思い出した。あの人たちは、私に何か言いたくても言えないまま、苦渋の表情で、いつも深くお辞儀をして去っていったわ。


「皆、泣いていたよ。もし、出会うことがあったら、絶対に王都に来ないよう厳命してほしいとも言っていたな」


リリアーナ、使用人さんたちからは愛されていたんだね。


「ユウキ、教えてくれてありがとう」


正直、家族とは会いたくないけど、ユウキとの連絡が途絶えている以上、家族の方から私に次の暗殺者を仕向けてくると思う。どうすれば、家族との縁を断ち切れるのだろう?


「咲耶とユウキは、先に帰っていろ。今日の猫教育は中止だ」


ベイツさんが真剣な目で、私たちに訴えてきている。

もしかして、何か起きた?


「ベイツさん?」

「騎士が俺の顔を見て、こっちに向かっている。俺とルウリから、話を聞くつもりだ」


店の方を見ると、2人の男性騎士が、こっちに来ているのがわかる。


「わかりました」

「咲耶、行こう」


私とユウキは、ベイツさんとルウリを残して、家へと帰還する。


○○○


家に帰った後、私はスキル[心通眼]を使い、ミケーネに中止を伝えると、当初残念がっていたけど、理由を教えたら納得してくれた。


『貴族が関わっているのなら、騒動が落ち着くまでは、ここへ来ない方がいいわね。貴族の連中、大人や子供関係なく、平然と野良猫を蹴る輩がいるから、私たちも嫌いなのよ』


『ごめんね。教育できない間、自分たちだけで訓練してね』

『了解よ』


私は話し終えたので、心通眼による通信を切る。ふと思ったけど、このスキルって、心を通わせれば、複数人と会話できるのでは? このスキルで、フリードとユウキと私をリンクさせて、会話できるかやってみよう。


『ユウキ、聞こえる?』

『聞こえるが、まさか心通眼でやっているのか?』

『うん。心が通じ合える者同士なら会話可能と思って、今からフリードに繋ぐね。多分、ユウキも参加できるはずだよ』

『[念話][通信]以外にも、こんなスキルが存在していたのか』


【念話】は、同じスキルを持っていれば、互いに短距離での会話が可能。

【通信】は、念話を所持しているものとは短距離、通信を所持しているものとは、長距離での会話が可能。


【心通眼】は、スキル所持者と心を通わせるもの同士であれば、長距離での会話が可能。ただし、スキル所持者からでしか、連絡を取れない欠点がある。このスキルの場合、私の心次第で、複数人との会話も可能になるはずだ。


『フリード、聞こえますか?』

『聞こえますよ。というか、これは念話や通信ではありませんね?』

『凄、わかるんだ。これは、心通眼でやっているの。新しく仲間になったユウキと3人で話し合いたいから』


1回目の話し合いだけで、瞬時に察知できるものなんだ。


『フリード、私は10歳になったユウキだ。今日から咲耶のお友達となり、パーティーメンバーとなった。よろしく頼む』


『ほほほ、どうやら成功したようですね。私はフリード、こちらこそよろしく』


やった!! 思った通り、3人での話し合いが可能だよ!!


『フリード。ユウキから、依頼者や私の名前を教えてもらったの』

『それは良かったですね。貴方の名前は?』


どんな反応をするのだろう?


『私の名前は、リリアーナ・フェルデナンドだって』

『は……はあ〜〜〜』


フリードも、ルウリたちと同じく素っ頓狂な声をあげる。

心通眼を通しているせいか、何故か耳がキーンときたよ。


『フェルデナンドですって!? クザンの出資元の?』

『うん、そのフェルデナンド』

『いやはや、世間は狭いですね。まさか、そういう繋がりがあるとは』

『次の暗殺者が来ないようにするには、どうしたらいいのかな?』


私の両親は、家に不幸をもたらす私を、転移で殺そうとした。生きているとわかれば、次々とユウキのような暗殺者を放ってくるよ。


『私の手で、その両親を殺すこともできますが?』

『私は、両親のような酷い人間になりたくない!! 正当な手段で、家族に天罰を与えたい』


『ほほほ、良い返事です。ならば、私はフェルデナンド家に侵入し、貴方がリリアーナ・フェルデナンドである証拠品を押収しておきましょう。その上で、奴らの罪を掘り起こします』


『フリード、そんなことが可能なのか? 君が強い猫又と聞いているが、相手はスキル[コントラクト]を所持している。最悪、縛られることになるぞ?』


『ユウキ、心配入りませんよ。私も、そのスキルを持っていますから』


『レアスキルなのに…』

『ほほほ、ダンジョンの宝箱から入手したのですよ。相手に悟られないよう、今から活動を開始します』

『フリードは関係ないのに、動いてもらっていいの?』


私、何もしていないよ。


『咲耶、何を言っているのです? 私は貴方の従魔です。貴方の不安を払拭させたいのですよ。まあ、9割方は私にとって、至高の食事を邪魔する馬鹿者共を葬り去りたいだけですがね』


あはは、後半が本音だよね。フリードらしいよ。


『わかった、任せるよ』


私だけ蚊帳の外で、複雑な気分だけど、私は私のできることをやっていこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。