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10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます  作者: 犬社 護
2章 家族からの別離(現世)

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27話 崩壊の序曲

う〜ん、ここは何処だろう?

私はユウキさんのために、原点回帰を使ったはず?


「あれ? ここって私の部屋?」

「お、気づいたな、咲耶」


目を開けると、私と同じくらいの子供が私を見ているわ。

長くて黄色い髪、青色の瞳、この顔……。


「もしかして、ユウキさん?」


意識がはっきりしてきたので、私は上半身だけ起き上がる。


「ああ」

「子供の身体………成功したんだ!!」


ここで、意識が一気に覚醒する。


「半分だけな」


ユウキさんは笑顔で言ってくれたけど、半分ってどういう意味?


「原点回帰の力は、凄まじいな。私が半透明の球体に覆われると、言葉では言い表せない奇妙な感覚が、身体中を襲った」


「それって、激痛?」


「いや、違う。痛くはないのだが、私の培ってきたものが身体から抜けていくと言えばいいのかな? それらが抜けないよう、必死に抵抗したが、記憶と魔力量を保つことに精一杯で、レベルが全て抜けて1に、獲得したスキルも殆ど抜けてしまい、残っているのは[解析]と[同調]だけになってしまった。魔力量は4200を維持してくれたから、これから鍛えれば、以前よりも強くなれるはずだ」


良かった、半分って、そういう意味なのね。


「身体の具合は、どうですか?」


「身体の中にある呪縛から解き放たれたことで、元気そのものさ。契約から解放された時、私の身体からドス黒い鎖のようなものが出てきて気持ち悪かったが、全てが抜けた時、身体全体が楽になったよ」


私たちの読み通り、10歳になったことで、スキル[コントラクト]の呪縛が消失したんだね。これで、彼女は自分の意志で、色んな人々と好きに話し合える。


「それと10歳に戻ったのだから、咲耶さえ良ければ、私とパーティーを組んでくれないか?」

「いいんですか!? こちらとしてもありがたいです!!」


私も、仲間が欲しいと思っていたもの!!

喜びでベッドから出ようとすると、不意に立ちくらみがしてふらついた。


「急に起き上がるな。君は1度の魔法で、魔力の大半を使ってしまったから、1時間ほど気を失っていたんだぞ」


1時間も!?


「魔力の使い過ぎが原因なんだね。えへへ、ごめんね。嬉しくて、ついユウキさんに抱きつこうとしただけなの」


まだ、少し、頭がフラフラするけど、スキル[原点回帰]に成功した!!

私にとって、大切な1歩だ!!


「咲耶、そのユウキさんはやめてくれ」

「どうして?」


私より歳上なのだから、呼び捨てはダメだよ。


「私は10歳になったのだから、君と同じ年齢だ。だから、友達の証として、[ユウキ]と呼んでくれ」


「いいの?」

「ああ」

「わかった、これからよろしくね、ユウキ」

「ああ、よろしく!!」


やった、2人目のお友達ができたよ〜〜〜。


「咲耶、良かったな」

「おめでとう、2人目の友達だね」


ベイツさんとルウリが、私の部屋に入ってきた。


「この部屋は広いから、ユウキと咲耶、2人共用で使えばいい」

「私も、ここに住んでいいのか?」

「構わない。ただし、ランクD冒険者になるまでだ。ルウリは、俺と一緒に寝よう」

「少し狭くなるから仕方ないね」


これからは、ルウリ、フリード、ユウキを入れた4人で冒険できる。

楽しみだな〜。もっと強くなって、ダンジョンとかにも潜ってみたいよ。


「ルウリ、クザンの方はどうなっているの?」

「それは私も知りたい」


ユウキは、まだ聞いていなかったんだ。


「昨日の件については、私もベイツさんから内容を全て聞いている。フリードがクザンの店内を荒らして、証拠資料を盗んで、国王陛下のベッドに置くことで、この騒動に国を巻き込むのだったな。現在のクザンの様子は、どうなっているんだ?」


ベイツさん、ユウキに教えていたんだ。あの襲撃に関しては、彼女も間接的に関係しているから、知っておいた方がいいよね。フリードが深夜に荒らしまくり、ルウリが従業員に化けて騎士団に通報したのなら、もうかなり騒がれているはずだけど?


「そっちの方は、今面白いことになっている。僕の分身体が人に化けて、新聞社にいる連中にも、《泥棒がクザンに侵入し、店内を荒らしまくっている》と教えておいた影響で、騎士団、新聞記者、ついでに野次馬連中がレストランに集まって、かなりの騒動に発展しているよ。ついでに騎士団と新聞記者には、匿名希望の手紙で、『こんにちは、泥棒です。スパイがいるかもしれないので、食材偽装の証拠資料については、国に提出しています。時期に連絡が来ると思いますので、しばらくお待ちください』と送ってある」


ルウリ、抜け目ないね。証拠資料がなくても、騎士団は食材とかで判断すれば、偽装もすぐに発覚するよ。日本と違って、こっちの世界には、スキル[鑑定][解析]があるもの。


「面白い展開になりそうだ。皆、昼食を食べてから、クザンへ行かないか?」


ベイツさんからの誘いに、私とユウキはクスッと笑い、『行きます!!』と宣言する。



○○○



私、ルウリ、ベイツさん、ユウキの4人は、レストラン-クザンへ向かっています。もう少しで目的地というところで、前方には大勢の人々が群がっていて、それらは群衆と化しています。


「す、すごい群衆」


私はあまりの異様さに立ち止まると、隣にいるユウキも圧倒されたのか止まってしまう。


「ルウリ、周囲に言い過ぎだぞ」

「ユウキ。僕は、クザン周辺に彷徨いていた5人の人にしか言ってない」


5人だけで、こうなったの!?

そうか。ここも、日本と同じなんだ。


事件が一度発生すると、周囲の人々が気になって、事件現場で立ち止まる。気づけば、大勢の野次馬となっている。この世界でも、みんながどんな事件なのか気になって、興味本位で見学しているんだ。


「ルウリ、住民たちの好奇心を舐めているだろ?」


ユウキもルウリも意味がわからないため、ベイツさんをつい見てしまう。


「人ってのは、こういう騒ぎが起きると、何が起きたのか気になるものなんだ。それが周囲に被害をもたらさないと判断されると、このように自然に集まるものなんだよ」


集まり過ぎでしょ? 野次馬の人たちも、既に情報共有を終えているのか、食材偽装と店荒らしのことを話し合っているわ。


「この人数は想定外だけど、これでこのレストランは終わりだ。嘘であろうと真実であろうと、一度風評被害が起きると、客はまずやって来ない。ましてや開店して1ヶ月も経過していないから、出資しているフェルデナンド家も大怒りだ」


風評被害、ルウリはそれも狙っていたのね。これだけの騒動が起きれば、アルドさんの言った一言なんて意味ないから、もう定食屋ガブリが襲撃されることもないわ。


「まあ、証拠資料も国に提出しているから、フェルデナンド家もこの食材偽装を利用されて、国に潰されるかもしれないね。この騒動が鎮静化したら、咲耶の家族について、ユウキに色々と教えてもらおう。そいつらも、絶対に破滅させてやる」


破滅…か。ユウキさんからの連絡が途絶えたら、家族も不審に思い、次の相手がやって来る。家族を潰さないと、私が家族に殺される。これは仕方のないことだけど、なんだかやるせ無い気分だ。


「ユウキ、どうしたの? なんで、ルウリを見て驚いているの?」


気づけば、ユウキは驚愕な表情をして、ルウリを見ている。


「ルウリ。まさかとは思ったが、君は気づいていないのか?」

「何に?」


うん、気づくって、どういう意味?


「君とフリードという猫又は、咲耶とフェルデナンド家の関係を知っていて動いていたのかとばかり…」


ユウキから放たれた言葉と今の真剣な表情、どう考えても冗談とは思えない。


「関係? なんのこと?」

「何も知らずに行動して、国を動かしたのか!?」


なんで、そこまで驚いているの?

まさかとは思うけど…。


「ユウキ。どういうことだ? 俺にも説明してくれ」

「私にも教えて」


ベイツさんや私もわからないので、ユウキに尋ねてみる。


「咲耶の本名は、リリアーナ・フェルデナンド。王都を拠点にしているフェルデナンド伯爵家の次女だ」


「なんだって!?」「ええ!?」「はあ!?」


私たちはユウキの発言により、大声をあげてしまう。


私の名前は、リリアーナ・フェルデナンド?

今、食材偽装で注目を浴びつつあるクザンの出資元フェルデナンド伯爵の娘なの!?

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