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10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます  作者: 犬社 護
1章 家族からの別離(前世)

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13話 前世の家族との再会

いよいよ、家族のもとへ行ける!!

私はあの災害で死んでしまったけど、皆の安否だけが気になる。

神様、どうか死んでいるのは私だけでありますように!!


「咲耶、心の準備は出来たかい?」


ルウリ、たった10分で準備を整えられるわけないじゃない。

今でも、私の心は緊張しているせいでドキドキしているもの。


「あ、言い忘れていたけど、この異世界と地球は、同じ時間軸で動いているんだ。咲耶の場合、死んですぐに転生し10年経過しているから、当然地球の方でも10年経過しているからね。それじゃあ、いってらっしゃい」


ちょっと待って!! 今、爆弾発言したよね!?

10年も経過しているの!!

弟は8歳だったから、今は18歳ってこと!?

あ、意識が……


○○○


目を開けると、知らない男の人の背中が見える。

その人は正座で、仏壇に向かって手を合わせている。

仏壇には、私の写真が飾られているわ。

やっぱり、私は死んでいるのね。

ここは1階の和室だ。

家具の配置とかが、全然変わってない。

10年前のままだ。


この男の人は…もしかして悠太? 

 

「姉さん、あの災害からもう10年が経過した。正月、お彼岸、お盆、毎年願っているけど、家族の願いは未だに叶っていない。これは、あの災害…いや突然の事故で亡くなった遺族たち全員が思っていることだろうね」


「やっぱり、あなたは悠太なんだね」

「今の声は!? まさか……」 


突然聞こえた私の声に驚き、悠太は後ろを振り向いた。

あの時よりも、かなり凛々しく成長しているけど、面影がある。


「姉…さん? そんな…まさか…」


よかった、私の姿はあのプラチナブロンドの女の子じゃなくて、元の姿に戻っているのね。壁に立て掛けられている鏡を見ても、私の姿が映っていなかったから、少し不安になったわ。


「あの後、あなたは助けられたんだね…大きくなったね、悠太」


あの時、私は悠太を必死に持ち上げて、大きな板の上に載せた。

悠太が生きているのか、それだけが気掛かりだった。

 

「まさか…迷信とばかり思っていたお盆に、10年越しで姉さんと会えるなんて……会いたかった、ずっと会いたかったよ」


悠太は大粒の涙を流し、私に微笑み、優しげに私を抱きしめてくれた。

悠太の体温が、私にも伝わってくる。


印象がかなり変わってしまったけど、あの頼りなさそうな子が、凄く頼り甲斐のある男の子になってる。


「あの時の服装のままで、半透明の幽霊なのに触れる……変な感じだ」

「もう失礼ね。お父さんとお母さんは、生きているよね?」


あの土砂に押し流されたのは、私と悠太の2人だけのはず、まさか2人も死んでいるってことはないよね?


「大丈夫、2人ともピンピンしているよ。今……」


 その時、離れたところから、ガシャーンと大きな音が鳴り響く。


「咲耶!? 嘘…そんな…本当に咲耶なの?」


お母さんだ!!

本当だ、ピンピンしてる!!

10年経過したせいか、私の知るお母さんより、少しだけ老けた印象がある。


「お母さん、咲耶だよ。神様の特別な計らいで、12時間だけ滞在できるの。それより、床が飲み物で濡れてるよ。早く拭かないと」


「それよりって……こののほほんとしたマイペースさ、ああ咲耶だわ。神様、ありがとうございます、ありがとうございます」


ここからが大変だった。


騒ぎを聞きつけたお父さんもやって来て、私を見るなり驚き、全員が私に抱きついてきて、3人共号泣したのだから。かくいう私も、家族に出会えたことで、今まで我慢していた涙が止まらなくなり、4人全員で自分の写真が飾られている仏壇の前で泣き続けた。

 

《5分後》


「姉さん、12時間滞在できるって言ってたよね?」


4人全員が涙を拭き、落ち着いたところで、悠太が話しかけてきた。


「うん、神の御使様から言われたことだから間違いないわ。私の境遇が、あまりに気の毒だから、特別に許してもらえたの」


前世だけでなく、今世も不運に見舞われているけど、順を追って説明した方がいいわ。異世界に転生しているって言ったら、絶対混乱するもの。


「何か含みのある言い方だが、私や母さん、悠太の願いが成就したんだ。与えられた12時間を後悔のないよう、有意義に使わせてもらおう」


お父さんの言う通りだ。

12時間を過ぎたら、私はあの異世界へ戻らないといけない。


家族との繋がりを完全に絶たれるのだから、悔いのないよう沢山話し合って楽しまないといけないわ。


あれ?


悠太だけ、何故そんな悲壮感漂う顔をしているの?

何かを言うべきか言わざるべきか迷っているような顔だわ。


「悠太、あなた自身のためにも、今だからこそ咲耶に尋ねなさい。12時間を過ぎれば、もう二度と会えないのよ」


お母さんが悠太に対して、背中を押しているかのように後押ししているけど、悠太は私に聞きたいことでもあるのかな?


「うん…わかっているんだけどさ…もし……」

「大丈夫、咲耶はそんな事を思っていないわ」


そんなこと? 悠太が今でも泣きそうな顔をしている。


「姉さんは……俺のことを恨んでいないのかな?」


悠太から告げられた言葉に、私は驚く。


「恨む? どうして?」


「だって……俺だけが助かってしまったから。あの時……姉さんだけなら自力で脱出できたと思うんだ」


悠太は俯き、両拳を強く握りしめている。

あなたは、何を抱えているの?

お姉ちゃんに、全部話して。


「俺は……俺は……姉さんの人生を奪ってしまった……今でも忘れられないんだ。背後から迫る大きな木々、俺は……姉さんにそれを伝えようとしたけど……あまりの恐怖で…身が竦んで……気づけば、姉さんに直撃して……姉さんは……激流に飲み込まれてしまった」


ああ、そうか。

悠太の視点からだと、そんなふうに見えたんだ。


自分のことばかりで、悠太の心境を考えたこともなかった。あの頃なら優しく抱きしめていたけど、今は互いに立っている状態だし、身長差のせいで無理だわ。悠太にとっては子供扱いされて嫌かもしれないけど、悠太の抱える呪縛を解き放ってあげよう。


「俺が…俺が…姉さんを殺したようなものだ!! あの時、俺が…俺が…勇気を振り絞り…姉さんを……」


悠太は、自分自身が許せないのね。

その怒りを、ずっと身体に溜め込んでいたんだ。


「悠太、しゃがんで」

「え?」


悠太は言われるがまま、両膝を床に付けて、私の目線に合わせてくれた。私は、そんな彼の頭をさする。


「この10年間、ずっと自分を許せなかったんだね。私は、あなたを恨んでないわ。あの状況では、どちらかしか生き残れないと思った。だから、私は自分の命を投げ出してでも、あなたを守りたかった。思い出して、あの時の私はどんな顔をしていたかな?」


私は、あなたを恨んでいない。

悠太には酷かもしれないけど、思い出してほしい。

別れる瞬間の私の表情を。

私は、その時の状況を思い出し、同じ表情をとる。


「え…あ…笑顔……そうだ…姉さんは…笑っていた…」


そう、悠太を助けることができて一安心した私は、あの子を少しでも安心させようと、笑顔を見せた。


「悠太、私はね、ずっと、あなたが生きているのか気掛かりだったの。こうして成長した悠太を見たことで、私は凄く安心しているの」


悠太は私の言葉を聞き、身体をぶるッと振るわせる。

待ち望んでいた言葉を聞けたせいなのか、彼の目から涙が溢れてくる。


「姉さん…ありがとう…俺を救ってくれて本当に…ありがとう…俺は…」


私は、悠太を優しく抱きしめる。


「悠太、もう苦しまなくていいんだよ。あなたには、ずっと生きて幸せになってほしい」


私は悠太を抱きしめると、彼は私の胸の中で泣き始める。

お父さんもお母さんも、悠太をそっと抱きしめる。

苦しんでいたのは、私だけじゃないんだ。

残された家族も、私と同じように苦しんでいたんだ。

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