第49章:おだやかで平和だった、彼との残された日々(1)
・・・茶太郎ちゃんの下半身を、
バケツ2つ使って洗ってあげるたびにぼくは、
何度、泣きそうになったかわからない。
ぬるま湯にぬれた彼の脚や体幹部、しっぽの部分は・・・
体毛が体に張り付くようになると、
その本来の「姿」をぼくに見せてきて、
厳しく残酷な現実というものを、まざまざと、容赦なく突きつけてきたものだ。
(・・・茶太郎ちゃん、こんなにガリガリになってしまって・・・。でも、ぼくにはこれが精一杯なんだ。わかってくれるよね・・・。)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
茶太郎ちゃんは、ここに来て以来、
いや・・・
真岡のカンセキで初めて会ったそのときから、
とても素直な子で、
暴れたり、やんちゃないたずらをすることもなかった。
しかしながら、
「犬用のおむつ」だけは、どうしても嫌で、容認できなかったのだ。
セッティングしてあげても、
ぼくと母がいなくなると、
首を無理にねじまげて、前歯でおむつの端っこをグイと上に引っ張り、
いつの間にか、外してしまうのだ。
あの独特の「装着感」や「違和感」「気持ち悪さ」は、
ぼくも看護学校時代に試着してわかっていたので、
痛いほど茶太郎ちゃんの気持ちが理解できた。
(茶太郎ちゃん・・・どうしても嫌で嫌で仕方ないんだね。でも、わかってほしいんだ。こうしないと、おしっこが・・・うんちが・・・)
それでもなんとか彼は適応してくれて、
あまりわがままはいわなくなっていった。
ドライヤーでぬれた箇所を乾燥させる際も、
はじめは熱がって少し抵抗してはいたものの・・・
素直に、お行儀よくするようになった。
もちろんぼくは・・・
いったん、自分の肌にドライヤーの熱風を当ててテストしてから、
彼の体に風を当てるようにしていた。




