第38章:カラスとの攻防(7)
・・・「使えるものは、何でも使え。」
父が、ぼくに遺してくれた名言のひとつだ。
(茶太郎ちゃんのケージに、金網を巻きつけるっていうのはどうかな。いや、そんなことしたら、世話がやりにくくなるし、切った金網の切れ端で、茶太郎ちゃんの目を傷つけるおそれもある。どうしたらいい・・・?)
・・・解決策は、やがて、あっさりと見つかった。
冒頭紹介した、ぼくの父上の名言である。
この建屋は、いろいろな意味で、「巨大な物置」となっている。
サーフボードも2本保管してあるし、
車のスペアタイヤも、いろいろな、過去のガラクタ類も。
(ガラクタかぁ・・・まてよ、そういえば。)
すっかりホコリで汚れてしまった居間に土足で上がったぼくは・・・
もう、忘れかけていた、
茶太郎ちゃんの先輩・・・
つまり、初代の飼いうさぎの『ロップイヤーどん』時代に、彼を喜ばせようと購入して、
結局、一度も使用することなく放置してしまっていた、なつかしの道具を再発見したのだ。
それが、
『うさぎ用サークル』。
いくつかの鉄格子を組み合わせた、うさぎを遊ばせるための大き目の柵である。
(・・・コレだ。これっきゃねぇ!!)
風や外気のみを通し、カラスの侵入を防げるもの・・・
これほど、最適な対策法もなかった。
(もちろん、ネズ公どもには、やすやすと侵入を許しちまうだろうが、さいわい、連中はもう、やってきておらぬし。)
こうして、窓に、入り口に上からぶら下げた状態で、サークルの柵の一部を利用して、即席の、
『虫よけ網』ならぬ、
『カラスよけ柵』にて、
これまでのように、おだやかで、平和な日々をぼくらは取り戻したのだった。
あの、悲劇的な「運命の日」を迎えるまでは・・・。




