第36章:カラスとの攻防(5)
・・・それは、ある朝のことだった。
たしか、冬の終わりごろだったか。
いつものようにぼくば、茶太郎ちゃんのエサやりに、トレーニング・ルームを訪れた。
すると・・・
目の前に広がっていた光景に、思わずぼくは、口をあんぐり開けて、アホウのように立ちすくんでしまった。
(なんじゃ、こりゃ!?)
・・・ソレが、そのときの偽らざる心境。
『スマック』という、以前、どこかの章でも紹介した、茶太郎ちゃん専用の袋入りのカリカリのエサが、
部屋一面にちらばり、
中身が、乱暴に、まき散らされていたのだ。
(・・・まさか、泥棒でも入ったんじゃあるめぇな??)
すぐに冷静さを取り戻したぼくは、
そんなことを考えながら、そのエサ袋を調べてみた。
すると、ボリボリに破かれた袋のところどころに、
何かの道具で貫通して開けたような、特徴的な小さな穴が、何箇所も見つかったのだ。
(・・・待てよ。いや、コレは、おそらく人間のしわざじゃねえな。この穴は、カッターやドリルみたいな、人工の道具で開けたものじゃねえ。おそらくは・・・。)
まき散らされたカリカリも、注意深く調べてみると、
一度、食いかけて、吐き出したような痕跡が見つかった。
(・・・あのときと同じ『食性』か。雑食なんだろうが、ネズ公と同様、純粋な草で作られたエサを、いくら連中でも、食することはかなわかったようだ。それにしても・・・。)




