第25章:幽霊アパート『高久コーポ』(2)
・・・この物語は、基本的には、ぼくと茶太郎ちゃんの『愛と友情の物語』であるのだが、
せっかくの機会であるので、この幽霊アパートにまつわる、数々の記憶について、思い出せる限り、触れておきたいと思っている。
まず、家賃の話。
昭和建築のような、昔の東京にあったようなボロアパートであったのだが・・・
なんと家賃が、月3万円(!)。
そこから100mほど離れた場所に、『高久コーポ:パートⅡ』もあるのだが、あとでそこの住民のおばさんに聞いたところでは、そこは、もっと新しくていい設備なのに、家賃は2万5000円だったそうな。
残念なことに、このときすでに満室だった。
気になったぼくが、ここを紹介してくれた中島さんに説明を求めると、こんな答えが返ってきた。
「・・・すまない。急な相談だったんで、大家さんに足元見られちゃったんだよ。つまりね、無駄に高額な家賃を『ふっかけられた』ってヤツさ。」
「そうだったんですか・・・。でも、仕方ないですよね、いつまでも車中生活するわけにもいかなかったし。」
「本当にすまない。冷たいようだけど、がんばってお金かせいで、早く、もっといいアパートを自分で探したほうがいい。これでもぼくは、君とうさちゃんのために、せいいっぱい手配したんだから・・・。」
「ええ、わかってますよ。中島さんには、本当に感謝しかありません。仕事・・・がんばりますよ、ぼく。茶太郎ちゃんのためにもね。」
「うん。ぼくも、君のことは好きだから、応援する。なにか困ったことあったら、遠慮なく電話して。いつでもチカラになるからね。」
「ありがとうございます。」
ぼくは、亡くなったいまも、彼を尊敬し、愛している。
だって・・・
あのまま車中生活が続いたら、ぼくも茶太郎ちゃんも、いきつく先は『地獄』しかない運命だったのだから・・・。
もう、二度と中島さんに、お礼も言えないけどね。




