いい人すぎる
ギアも、成長してまずが、なにせまだ15歳。
僕から見たダンジョン村のみんなは、とてつもない善人だ。
僕がこのダンジョンに来る前に見ていた人間の方が、余程魔物だった。
そんなことを考えながら、マイティの話を聞く。
人間が平和だから、魔素が減って、、、のところで、疑問が湧く。
本当に平和なのかな。
僕が知る限り、街の人間は強欲で人の物を欲しがる。
汚くて、意地悪で、嫌な存在。
あんな人間達が、本当に平和に暮らしてる?
悪いことをしてる奴らなんて、山ほどいるはずだ。
マイティの話をウンウンと聞きながら、さっきの剣の方を盗み見る。
きっと、ヒグが僕の為に作った剣。
少し前に、ヒグが家にこもって、何か作ってたことは知ってる。
「まだ言えねえが、楽しみにしてろよ」
ヒグは、笑いながら僕にそう言っていた。
でも、結局、何も渡されないままだった。
あれが、そうだったんだ。
「だから、ギア。もう少しすると、勇者たちがここに来る。お前は、どうする?」
マイティに聞かれて、僕はニッコリ笑って答える。
「僕もマイティと一緒に戦って、やられた感じにして倒れるよ。あの岩山あたりに飛ばされたようにしてジャンプして隠れようかな」
剣のある岩山をさす。
「そうだな、倒れたあとに刺されたりしたら大変だ。それがいい」
マイティも、笑顔で頷いて了承してくれた。
ここのみんなは、本当に善人なんだ。
僕に必要と思う物は、全て用意してくれる。
商人になって欲しい、と山のような教材を持ってきてくれた時は驚いたし、嬉しかった。
僕の将来を考えてくれる皆の気持ちが嬉しくて、僕はまだ言えてないんだ。
本当の気持ちを。
みんなは僕の言うことを、全て良い方に解釈して、いちいち感動する。
それに、僕が笑顔を見せると、みんな骨抜きになる。
ちょっと心配になってしまうくらい僕のことを好きでいてくれる。
僕だって、ここにいる皆が本当に大好きだ。
皆のおかげで僕は成長出来たんだ。
感謝してもしきれない。
だから、皆の善良さに付け込む人間や勇者たちが、許せない。
いわゆる多感な時期です。