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駆除屋  作者: aizawa kei
2/21

補講〜現代史


 今回は、この時代に至るまでの簡単な歴史のおさらいです。

 あ、任意ですので、歴史に興味のないヒトは居眠りしてても構いませんよ。

 それでは、始めまーす。



 記録によると、西暦2083年、地球上に突然現れた巨大生物によって人類は危機的な状況に陥った。

 それは多くの犠牲を伴い、人類の滅亡にも繋がりかねないほどのものだった。

 なんとかその危機を乗り越えた人類は、地球以外の星への移住によって人類を分散させようとする考えを持つようになる。

 そしてついに西暦2215年。重力制御を兼ねた恒星間航行用エンジンが開発された。

 西暦2323年。爆発的な人口の増加に伴い、各国は協力して天の川銀河内の人類が移住できそうな惑星の調査に乗り出した。

 調査にあたり1番の懸念は、新たな惑星での先住生命体との接触によるトラブルだった。人が住める環境の星であれば同じような高等生命体がいてもおかしくないからだ。

 西暦2397年。ついにその懸念が現実となる。

 天の川銀河の探索中に、他の文明の探査機体と遭遇したのである。

 その相手の母星は、地球の存在する太陽系から天の川銀河の中心を挟んだその対側に位置する高度文明を持つ惑星で、テルスと呼ばれていた。

 驚くことにテルスは地球と同じ進化を遂げていた。人類もその文明も地球とほとんど差はなかった。

 後の研究で、遥か昔天の川銀河の中心付近で地球とテルスの二つの太陽系が誕生。その後、それぞれが中心から対側へと離れていったことがわかった。そのため、生物の発生起源と進化の過程が同じになったのではないかと考えられた。

 地球とテルス、お互いが同じ時期に天の川銀河へ探索を進めていたことにより、その優先権をめぐりトラブルが生じ始める。

 西暦2399年。地球とテルスは一触即発の事態となる。

 しかし、西暦2401年。戦争の一歩手前で、突然地球とテルスとの間に不戦条約が結ばれた。これは一部の関係者の間でSHIRASE条約と呼ばれた。

 それ以来、地球とテルスの間での大きなトラブルは皆無となり、そして、天の川銀河の共同開発が行われるようになる。

 西暦2402年。星間ネットワークが構築される。別名、SHIRASEネットワーク。これにより星間の距離に関係なくほぼリアルタイムで通信が可能となる。

 西暦2510年。天の川銀河の中で、五つの惑星が開拓候補に上った。幸いなことに、この五つの惑星に文明を持つ生物はいなかった。

 五つの惑星を地球とテルスの共同で開拓し、一つの星を一つの国家として人類を移住させる計画が開始される。ミルキーウェイ計画。

 西暦2530年。詳しい調査の開始。その際、各星に先住生物はいなかったとされていたが、一部の情報によれば全て排除されたのではないかと言われている。

 西暦2630年。移住星でのインフラ施設の建設開始。

 西暦2726年8月。ついに大型移民船が地球およびテルスより飛び立つ。これで地球とテルスの人口の約半分が移住したことになった。

 各星に移住した人々は、星における新たな国(星の国家)の手厚いサポートによってその環境で生活し、子を産み,そして死を迎え、世代交代を繰り返してゆくこととなる。

 それから十数年後、恒星間航行用エンジンは高出力化および小型化され、個人単位での恒星間航行が可能になった。

 個人での恒星間航行は、天の川銀河の中でさらに移住可能な星を増やすこととなる。まぁ、住みやすいかどうかは別として。

 それらの新たな星の開発には星の国家が口を挟むことはなく民間企業が行った。

 開拓される星にはそれぞれの企業の好みが色濃く現れ、原始時代、西部開拓時代、戦国時代・・・、など過去の時代を模したものだったり、ファンタジー要素満載の完全なオリジナルな世界など何世紀か前に流行ったテーマパークさながらの様々な様式が存在し、自分の趣味にあった場所で新たな生活を始めたいものには大そう喜ばれる事となった。

 しかし、こう言ったきらびやかな星は全体から見ればほんのわずかで、そのほとんどは『田舎の村』と言った様相を呈するものばかりだった。というのも、それはそれで需要があり、基本的な開拓だけしておいてあとは移住した住民に丸投げすればいいので、企業としては手間がかからず悪くないものだったのだ。

 ところが、いろいろな星に手を広げようとすればその多くには先住生物がいるわけで、万が一言語を持つ生命体と出会った場合はトラブルを避けるためにその星に手を出すことを固く禁止されていた。

 それでもコミュニケーションが取れればまだいいのだが、大抵は意思の疎通どころか訳のわからない凶暴な生物だらけで、トラブル要素満載だった。しかし、企業はそんなことで目の前の星を諦めることはしなかった。

 そこで企業は傭兵を雇い武力によってその排除を行った。それで命を落とす傭兵もかなりの数に上がったようだ。

 その一方で、企業の雇う傭兵は効率最優先で、大規模破壊兵器を使うなどして星の環境に影響を及ぼすような行いが多く目立った。いくら口を出さないと言った星の国家も見て見ぬふりが出来ず、コミュニケーションのとれない先住生物とのトラブルを一手に引き受ける新たな職種を考えることとなる。

 星の国家はこれを公認し、厳格な資格試験を行い免許制とした。

 『害獣、なんでも駆除します』

 それをexterminator、エクタと呼んだ。

 当然、エクタには火器の使用が許可された。

 ところがある時、巨大な生命体に手を焼いたエクタのグループが、レーザー兵器を使用して一つの星を完全に消滅させてしまった。

 それに怒った星の国家は、星間ネットワークによってエクタの行動を厳密な管理下に置き、火薬武器以外の使用を固く禁じた。

 まぁ、のちに、火薬武器でも星を一つ消してしまい免許を剥奪された男がいたが・・・。

 そして西暦2800年。

 ついに他の銀河への移住が解禁された。そこから先にも、当然星の国家のサポートは一切なかった。

 解禁というよりも、黙認だった。

 『真の開拓時代の幕開け』

 当時のキャッチコピーである。しかし、人々はそんな言葉を口にすることなく『早い者勝ち』と遥かな銀河へと旅立っていった。

 それからいくつもの月日が流れたが、今のところ旅立った冒険者たちが戻ってきたという報告はない。



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