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ずっと母と妹に搾取されていたことに気付けたので縁を切りました  作者: 朔晦 月陽


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辺境伯様が来る 1


ダナン男爵家に送る釣り書は、まだ私の引き出しの中にある。たとえ断られることを前提にしていても、他の殿方と文通しながら釣り書を送るような失礼なことはできない。

シュルベスト辺境伯様へ文通をやめたいと手紙に書けないまま月日は過ぎていた。



部屋のノックの音にどうぞと答えれば、フレッドが姿を表し、扉を開けたライナに何かを渡したと思えば失礼しますと頭を下げて立ち去った。


「オルデアお嬢様、いつものお手紙でございます」


ライナがそう言って手紙を差し出した。

フレッドは執務室にいる時はシュルベスト辺境伯様からの手紙を渡してこない。こうして私が自室にいる時に渡しに来てくれる。

それがどういう意味を持つのか、フレッドもライナも何も言わないでいてくれるのに甘えて考えないようにしている。


『叔父が訓練中足を挫いて従姉妹のデビタントに付き添えなくなり、代わりに私が行くことになった。ついては王都に向かう途中ローゼンフィル領にて宿泊しようと思っている。もしオルデア嬢の都合が合えばお茶でもどうだろうか?』


「ラ、ライナッ!」

「オルデアお嬢様どうしました?」

「辺境伯様が今度王都に行く途中ローゼンフィルにお泊りになるって」

「まぁ。ローゼンフィルには良い宿も多いですしよろしいのでは?」

「その、それで、よければお茶でもと……」

「まぁまぁ。デートのお誘いですね。気合い入れて準備致しましょう」

「なんで乗り気なのライナ!?違うわ、デートなんて私お受けするわけにはいかないでしょう」

「なぜです?」


ライナが心底不思議そうにこちらを見るものだから、私が間違ってるのかと言葉に詰まる。


「オルデアお嬢様、お嬢様は現在婚約者はいらっしゃいません」


確認するように言うライナに頷いてみせる。


「そしてお嬢様はまだ釣り書をダナン男爵家に送っておりません」


少し後ろめたくありつつ、またも頷く。


「婚約者おらず、縁談を受けても送ってもないお嬢様が、殿方とデートすることに何が問題が?というより、辺境伯様との関係は婚約者候補のはずです。今1番デートに相応しいお相手ではないですか」


たしかに。たしかに?え?そうかも?


「それに、文通をやめたいとまだお伝えできてないのですよね?直接お会いして、きちんとお話した上で、他家に釣り書を送るので文通を終わりにしたいとお伝えしたら良いのでは?」


完敗。

ライナが言うことがもっともすぎて反論の余地はなかった。


「そうね、手紙だとどうも言いにくいし、そうするわ。ライナ、ありがとう。辺境伯様にお会いすると返事を書くわ」


私は知らなかったが、この時ライナはガッツポーズを小さく決めていたし、この後フレッドにこの話を伝えてハイタッチをしていたらしい。





お読みいただきありがとうございます

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