表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ令嬢に転生したので推し活していたら極悪令嬢に昇格しちゃいました  作者: 西園寺百合子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
49/50

49 クロエとアルフレッド

子爵令嬢 ニーナ・ヴァロワ

皇太子  アルフレッド・クロムウェル

公爵   ジークハルト・ベルシュタイン

伯爵令嬢 クロエ・ラングレー

話は戻るが、アルフレッド・クロムウェル殿下の婚約が白紙になって、あらためて婚約者候補が集められた。

伯爵家の中で最高位だったラングレー家のクロエの名前もあがる。

一度、ジークハルトの婚約者だった女性だからと反対する声もあったが、ベルシュタイン家、つまりジークハルトの強い推薦があってアルフレッドの婚約者はクロエになった。

ジークハルトに、どうしてクロエを推薦したのか聞いたことがある。

すると、頭を掻きながら「彼女ほどアルのことを好きな女性はいないからさ」と言った。


ジークハルトによれば、ジークハルトと婚約中も、ずっとアルフレッドの話をされていたらしい。

食事の席でも、庭園の散歩中でも、話題の中心は常にアルフレッドだったという。

どうしたらもっとアルフレッドと仲良くなれるのか、色々な男性から話を聞いたりもしていたらしい。

色々な男性…そういえば、リュカやオスカーと話しているところを見たことがあったけど。

そういう理由だったのか。


「少し考え方が過激なところもあるけど、アルとならいい夫婦になるんじゃないかな」

ジークハルトはそう言っていた。

ジークハルトから話を聞いて、あらためてクロエを見ると、一生懸命にアルフレッドに好きアピールをしていて可愛いと思うようになっていた。

クロエがムッとしたままモジモジしている。

知らない人が見たら、機嫌が悪そうな人に見えるけど。

これは困ってモジモジしているだけ。

感情を正しく表情に出せないんだろう。


それに、アルフレッドはクロエが嫌いなわけではないと思う。

おそらく、結婚に対して興味がない。

政務の延長としてしか捉えていないようにも見える。

「あの…ジークハルト様と一緒に、アルフレッド様と結婚式の準備をしているところを見ていてくれません?」

クロエにそう言われて、きょとんとした。

「私が行っても…何も言えませんよ?」

「ただ、見ていてくれるだけでいいんですの。その…他の人から見て、アルフレッド様が私のことをどう思っているか教えてほしくて」

そう言われた。

期待と不安が混ざった視線がまっすぐ向けられていた。


そんなこんなで、現在、王宮に来ている。

天井の高い謁見の間は、昼の光を反射して眩しいほどだった。

「アルフレッド様、これなんていかがでしょうか?各国の来賓の方も喜ばれるんじゃないでしょうか?」

クロエがたくさん付箋のついた冊子をアルフレッドに見せている。

ページの端は何度もめくられた跡で少し丸まっていた。

ご自分でしっかり調べられたんだろう。

「うん。君の好きにしていいよ」

アルフレッドがそう言った。


それからクロエが何度か質問したけど、アルフレッドは全ての質問に「うん。君の好きにしていいよ」と言っている。

表情も変えず、穏やかな声のままだった。

さすがに、ない。


「ちょっと待ってください、アルフレッド様。さっきから『君の好きにしていいよ』しか言ってませんけど、もしかして録音したの流してます?」

うっかり、思ったことを口にしてしまった。

クロエが少し驚いた顔をしているのがわかる。

「そうだよ、アル。クロエ嬢がこんなに調べてきてるんだから、もうちょっと真剣に考えたほうがいいんじゃないか?」

ジークハルトがそう言って、クロエが持ってきた冊子をアルフレッドに渡す。

「そう言われてもね。考えたけど、僕はどれでもいいと思ってしまうから、クロエ嬢の好きにすればいいと思ったんだけどね」

アルフレッドがそう言って冊子をクロエに返す。


カチンとした。

「こら、キラキラ皇太子。どれでもいいはないだろ」

このキラキラ皇太子め。

乙女の心もわからないとは。

結婚式なんだぞ?


「あはは。ニーナ嬢、ここでは、本当に不敬罪になるよ?」

「独り言でーす」

私がそこまで言うと、ジークハルトに口を塞がれた。

「クロエ嬢も、ニーナ嬢みたいに、言いたいこと、言ったほうがいいよ」

ジークハルトが私の口を塞いだまま、クロエにそう言った。


「いやいや、ニーナ嬢みたいに何でも言うと、不敬罪になるんだって」

アルフレッドがそう言って、クロエに「ねえ」と同意を求めた。

クロエがぷるぷると震えている。

怒ってるのかなと思っていたら、クロエがその場で立ち上がった。

椅子が小さく音を立てる。


「ア、アルフレッド殿下っ!お、お慕い申し上げておりますっ!」

クロエがそう言って、真っ赤になっている。

拳を握りしめ、声が少し裏返っていた。

アルフレッドが固まっている。

言いたいことっていうのは、そういうことじゃない。

いや、そういうことか。


それからしばらくして、私たちは無事に学園を卒業した。

卒業式の日は、いつもより空がやけに高く見えて、石造りの校舎さえ少しだけ柔らかく見えた。

そして、無事にアルフレッドとクロエは結婚式をする。

王都中が祝福ムードに包まれ、式場の周囲には花飾りが飾られていた。

準備だけは、私とジークハルトのほうが早かったのだけど。

招待状の確認や式場の手配も順調に進んでいたのに。

「皇太子より早く結婚式をするなんて、ありえますの?」とクロエが拗ねたので。

先に結婚式をする権利を譲ったのだ。

頬をふくらませて机に突っ伏す彼女を見て、思わず苦笑したのを思い出す。


クロエはあれから、アルフレッドに少しずつ本音を言えるようになってきているみたいだ。

以前のように一方的に慕うだけでなく、言葉を選びながらも自分の気持ちを伝えている。

「本当にクロエは可愛いね」

アルフレッドがクロエにそう言うと、クロエは真っ赤になる。

耳まで赤く染まって、視線を泳がせながらも嬉しそうに俯いた。

可愛い。

そうしてアルフレッドはニヤっとしていた。

どうやら、アルフレッドはクロエの反応を楽しむことを覚えたようだ。

仲がいいなら、よし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ