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モブ令嬢に転生したので推し活していたら極悪令嬢に昇格しちゃいました  作者: 西園寺百合子


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34/50

34 聞いてはいけない話のようです

子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ

皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル

公爵  /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン

伯爵  /攻略対象 リュカ・モンパルナス

伯爵  /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ

伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー

皇太子妃候補    アリアナ・エグランティーヌ

「今日は、勉強したくないから、学園、お休みするわ」

学園の送り迎えのため寮に行くと、そう言われた。

まだ寝間着姿のアリアナは欠伸をしながら、当然のような顔をしている。

休む理由が、勉強したくない、はいいんだろうか?

ため息をつく。

仕方なく、体調が悪いようだと先生に伝えておいた。


久し振りに、アリアナのいない学園生活。

廊下のざわめきもどこか心地よく感じられて、こんなにまったりする時間があったんだと驚いた。

お昼休みになると、久しぶりに推しの観察に出かけることにした。

今日も寝ぐせはついているだろうか?

目をこすりながらも、もふもふとランチ食べるかな?

久し振りの観察に、ワクワクしながらいつも隠れている木陰の場所でそっと待機する。


「……」

来ない。

風に揺れる木の葉の音だけが耳に残る中、しばらく待っても、ジークハルトのお気に入りなはずの場所に、ジークハルトは来なかった。

これが、モブの引きの弱さか。

がっくりしてうなだれる。

授業中は、私のほうが席は前だから、そんなにチラチラと見ていられない。


「せっかく、じっくり見られると思ったのに…」

ポツリと呟くと、背後から「何が見られると思ったの?」と声がした。

「あー、どうも。キラキラ皇太子…じゃなくて、アルフレッド様」

振り返ると、光を反射するような笑顔がそこにあった。

私は、推しが見られなくて落ち込んでいるのだ。

ちょっとはやさぐれさせてほしい。

「あははっ!キラキラ皇太子って、僕のこと?」

アルフレッドが肩を揺らして笑っている。


「すみません。今、すごく落ち込んでるので、そっとしておいてくれますか?」

そう言ってランチボックスを開ける。

食欲はないけど、食べたほうがいい。

帰ったらまた、我儘王女の相手をしなくてはいけないんだもん。

「アリアナの、侍女みたいなこと、してるんだって?」

アルフレッドに尋ねられて、ちょっと固まる。

木漏れ日が彼の髪に落ちて、妙に真剣な顔をしているように見えた。


「そうですね…まあ、色々ありましたけど。いい人かもしれないなって…」

嘘八百だけど、ジークハルトが闇落ちして王家を滅ぼさないようにしないといけないので、とは言えないから仕方がない。

「君のおかげで、ジークは解放されたけど。ジークが気にしてるよ」

アルフレッドに言われて驚く。

「え?ジークハルト様が、な、なにを気にしてるんですか?…やっぱり、アリアナさんともっと一緒にいたかったですかね?」

ゲームのストーリーでは、ジークハルトはアリアナと恋に落ちる。

私、もしかして、邪魔した?


「一緒にいたいわけないじゃん。あの我儘王女だよ?そうじゃなくて、君が大変なんじゃないかって、気にしてる」

アルフレッドにそう言われて、ホッとした。

「ジークハルト様とは、よくおしゃべりをされるんですか?」

「うん…教室で席も近いしね」

アルフレッドから話を聞いて、またホッとした。

2人の仲は悪くなってないようだ。


「楽しいお話、たくさんできるといいですね」

そう伝えたら、なぜか笑われてしまった。

「君って、本当にジークのことが好きなんだね」

そう言われて顔が熱くなる。

そりゃあ、推しですから。

「実は私、ずっとジークハルト様に助けていただいていて。だから、ジークハルト様にはどうしても、幸せになっていただきたいんです」

ずっと、病院で私を励ましてくれていたのはジークハルトだったんだもの。

今度は私ができることをしたい。


「そうなんだ。…僕と一緒だね。僕もジークに助けられたから、彼には幸せになってほしい」

そう言ってキラキラ皇太子がキラキラした。

そろそろ休み時間が終わってしまう。

ちらっと、ジークハルトのお気に入りの場所を見た。

「…お目にかかりたかったな」

生ジークハルトが見られなくて、残念だ。

「教室に戻りますね」

私が立ちあがると、アルフレッドも「じゃあ僕も」と立ち上がった。


そこに、ジークハルトとクロエがきた。

なぜかわからないけど、慌てて隠れ直す。

草陰に体を押し込むようにして息を潜める。

なぜか、アルフレッドも一緒に。

隠れる必要なかったし、もうすぐ休み時間も終わりだから、このままでは困る。

密会?

いや、婚約者候補の2人なんだから、別に2人で会っていてもおかしくない。

ちょっとモヤモヤするだけだ。


「何してるんだろうね?」

アルフレッドが首を傾げている。

「そりゃぁ、あ、あいびきじゃないんですか?2人は婚約者候補ですし」

逢引きを見ちゃわるいよねと、見ないように顔を手で覆った。

「そうなんだけど…なんだか様子がおかしくない?」

アルフレッドがそう言って凝視している。

そういえば、クロエが怒鳴ってるような声しか聞こえてこない。

ジークハルトが一方的に怒られているのかしら?


少し気になって2人の様子を見てみた。

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