24 真のヒロイン登場
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
やっぱり、ところどころ覚えていないのか。
毎年、席決めのイベントが発生していた記憶がない。
変な違和感を感じながらくじを引いた。
残念ながら、2年生はジークハルトとお隣にはなれなかった。
ジークハルトは後ろの席。
その少し前にアルフレッドがいて、その近くにリュカとオスカーがいて、クロエもいる。
…あれ?この席の配置、どこかで見たような。
ちなみに、私の席はずっと遠い。
ヒロインもどきのアリアナが退学となったからか、ジークハルトの席の隣が空いていた。
…そこに座りたい。
そんなことを考えていたら、パン!と先生が手を叩いた。
「はい!2年生からの転校生を紹介します!」
教室がざわつく。
なんとなく、私の心もざわついた。
教室に入ってきた少女は、聖女のように朗らかに笑う。
「はじめまして。アリアナ・エグランティーヌです」
そう自己紹介した。
アリアナ?
「隣国から参りました。どうぞ、よろしくお願いします」
そう言って、また朗らかに笑う。
さあっと血の気が引いていく。
もしかして、この子が本当のヒロイン?
「じゃあ…あそこの席が空いているから、あそこで」
先生がそう言って、ジークハルトの隣の席を指し示した。
「はい」と優雅にアリアナがジークハルトの隣に座る。
それを見て、確信した。
ここから、ゲームのストーリーが始まるんだ。
アリアナの近くには、攻略対象が全員いる。
やっぱり私は生徒C、モブだったんだ。
その確信はすぐに、現実になった。
翌日、ジークハルトに中庭に呼び出された。
ドキドキしながらお気に入りの場所へ行く。
ジークハルトが少し困った顔をして頭を掻いた。
「実はこの間の転校生、アルフレッド殿下の婚約者候補らしいんだ」
突然、そう言われて「そうなんですか」と返事をする。
「それでね…公爵家の俺が護衛になれって言われて」
ベルシュタインは騎士の家系でもある。
だから、そういうお役目があるのかもしれない。
「…そうなんですね」
私がそう言うと、さらにジークハルトは困った顔をした。
「その…だから、別れてほしいんだ」
そう言われて、足元がグラグラとした。
いつかは聞かなくてはいけない言葉だとわかっていたけど、破壊力が半端ない。
「…そ、そうですか」
平気だと装わなくてはいけないのに、声が震えてしまう。
「いや、違うんだ!別れるっていっても、一時的なもので。その、理由はわからないんだけど、護衛は恋愛禁止らしくて。だから、護衛が終わるまで、一時的に恋人関係を解消してほしいっていうことで」
ジークハルトがあたふたと説明してくれた。
護衛が終わるまで。
それはすなわち、学園を卒業するまで。
卒業したら、もう恋人になんてなれないのに。
優しいんだから…
「…わかりました。では『一時的に』、お別れいたしましょう。これまで、ありがとうございました」
そう言って、精一杯、強がった。
「必ず、何とかするから。信じて、待ってて」
ジークハルトがそう言ってくれた。
どこまでも優しい人だなと思う。
「はい…でもどうか。もし、何とかならなくても。お互い、幸せになりましょう」
そう言って、お別れした。




