19 ふたたび告白からの…
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ
中庭にいる。
なんとなく、そう思った。
中庭のお気に入りの場所に行けば、ヒロインなら、必ず会えたから。
今の私は、なんだろう?
生徒C?悪役令嬢?それとも…
息を切らして中庭に行くと、やっぱりそこにジークハルトがいた。
後ろ姿だけど、耳まで真っ赤になってる。
たぶん、人前で大きな声を出して恥ずかしかったんだろう。
「ジークハルト様。大丈夫ですか?」
後ろから声を掛けてみる。
「え…ニーナ嬢?ぁ…だ、大丈夫。走ってきたから、ちょっと息が…」
そう言ってるけど、息は上がってる感じがない。
なんで嘘をつくんだろう。
「さっきは、庇っていただいて、ありがとうございました」
見ないだろうけど、頭を下げた。
「いや。俺は本当のことを言っただけで」
「言い出せない雰囲気だったんです、ジークハルト様がおっしゃったとおり。だから、代わりに言っていただけて、すっきりしました」
そう伝えると、ようやく私を見てくれた。
「そう…役に立てて、よかった」
ジークハルトが頭を掻く。
頭を掻きながら、前髪で傷を隠そうとしている。
たぶんクセなんだろう。
「…隠さないでください。かっこいいお顔も、隠れてしまいますから」
そう言って、傷を撫でる。
…しまった。
「すみません。と、突然、触ったら、怖いですよね…」
そう言って手をひっこめようとして、手首を掴まれた。
「あ、雨が降ると、傷が痛むから…その…」
「今は、雨は降ってません…」
わけのわからないことをジークハルトが言うから、つい、即答してしまった。
ジークハルトの顔が赤く染まっていく。
「すみません。嘘をついてしまいました。その…極悪人なので。…雨、降ってますね」
あまりにもジークハルトが可愛いから、嘘をつくことにした。
「…毎日、雨が降ったら、毎日、君は癒しに来てくれるだろうか?」
ジークハルトがそう言って私を見る。
ドキドキと心臓の音が響く。
これは、とてもまずい展開な気がする。
「雨が降っていなくても、毎日、癒してほしいとお願いしたら、君を困らせるかな?」
ジークハルトがじっと私を見る。
私の推し、かっこいい。
チワワに見えてきて、困る。
「困ります…断れないので…」
消え入りそうな声が漏れた。
「じゃあ、断らせないから。毎日、癒してほしい」
ジークハルトの腕に力が入って、抱き寄せられてしまった。
「で、でも私、その、子爵令嬢で…」
「極悪人と噂されてる?大丈夫、俺も、極悪人って言われてる」
そう言われて、笑ってしまった。
まだ、1年生だもの。
将来のこととか、とりあえず忘れちゃおうかな。
今は、大好きな推しに抱きしめられている幸せを噛みしめたい。
「…じゃあ、友達からお願いします」
私がそう言うと、ジークハルトが少し体をはなす。
「恋人からで、お願いします」
そう言われて、また微笑み合った。
すっかり授業をさぼってしまった。
ここまでさぼったら、まあいいかということになり。
食堂にランチボックスを買いに出かけた。
ジークハルトと一緒に。
タマゴサンドのランチボックスと、ハムサンドのランチボックスを買った。
「シェアして、一緒に食べよう」
そう言われて、なんだか嬉しくて、涙が溢れた。




