17 退場させていただきます
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ
夜の散歩から数日後。
いよいよ、部屋から出られなくなった。
夜の散歩でジークハルトと一緒にいるところを誰かに見られていたようで。
そこで、盛大に、私が振られたという噂が広がったのだ。
ただ、振られたのは(?)事実なので、否定のしようがない。
「子爵のくせに、未来の公爵様に告白するなんて、よっぽど自分に自信があるのね」
「極悪人が、公爵家に入れると思ったのかしら」
「どこから見ても取り柄のなさそうな人が、ジークハルト様に取り入ろうだなんて」
「どういう神経してるのかしらね?」
悪意のある言葉に押しつぶされる。
ただ、ジークハルトの株は上がったようなので、その点はよかった。
やっぱり、私の判断は正しかったはず。
田舎に手紙を書く。
学園を辞めたい、帰りたいと綴って送った。
悪役令嬢が最後、どんな風に退場したのか覚えていないけど。
ざまぁされて、退場するんだろう。
本来は卒業式のときにするんだろうけど。
少し早めに、ざまぁされて、退場しよう。
しばらく様子を見れていないけど、アリアナは誰ルートに入ったんだろう?
明日、様子を見て、因縁をつけて、サクっとざまぁされようと覚悟を決めた。
翌日、教室に向かう。
それだけで、大変なことになっていた。
小突かれて、階段から落とされそうになって。
落としたカバンは窓から投げられる。
これだけ派手にイジメられるとは思わなかった。
なんとか教室にたどり着いて、アリアナを見る。
なんか、睨まれてる…
ヒロインの顔が崩れてますよ、アリアナさん。
そう思ったけど、言葉を飲み込んだ。
攻略対象は全員いる。
アリアナがどのルートにいるのかわからないけど、とりあえず、因縁をつけてみよう。
そう思っていたら、アリアナがやってきた。
「どういうつもり?よく、教室に顔を出せたわね」
そう言われて戸惑う。
「…授業を受けられるのは生徒の権利ですから」
そう言って胸を張る。
悪役令嬢なのだし、ちょっと頑張ろうと思った。
「まあ!権利!?この極悪人が、よく、権利なんて主張できるわね!」
アリアナがそう言って、私の肩を押した。
暴力はダメだよ、アリアナ。
そう思ったけど、悪役令嬢として私も何かを言い返さなければ。
「け…権利ですから!」
かっこいいことが言いたかったけど、何も思いつかなかった。
「ニーナさん、あなた、子爵令嬢のくせに、公爵家のジークハルト様に色仕掛けで迫ったらしいじゃありませんか。ジークハルト様は大変ご立腹で、その場を足早に立ち去られたと、多くの生徒が目撃しているんですよ!」
アリアナにそう言われて、顔を赤らめる。
あの場面を、多くの人に見られていたとは恥ずかしい。
なんか、色々と違うけど。
まあ、細かいところはいいか、と思うことにした。
ざまぁをされに来たのだから。
「あの日のことを…」
私が悪役令嬢っぽく「見られていたとは思いませんでしたわ」と言うつもりだったのだが。
「それは違う」
そう言って、ジークハルトが立ちあがった。
違うけど、違わなくていいのよ。
「ち、違いません!その通りです。ごめんなさい」
そう言って、頭を下げる。
ジークハルトが何かを言う前に、謝ってしまうことにした。
…間違えた。
「じゃなくて!それが、どうしたというんですか!と、言いたかったんです!!」
拳を握りしめて言い直す。
ぽかんと見ていたアリアナが、はっと我に返る。
「そ、それだけではありません。ニーナさんは、私やクラスの女子生徒の教科書やらノートやらを破って捨てたんです!」
アリアナがそう言って目に涙をためている。
そういうことになってるよね、噂では。
うん、うん。
それでいいよ。
「さらに言えば、私は階段から、突き落とされそうになったんです、アルフレッド殿下ぁ」
アリアナがそう言って、アルフレッドにすり寄った。
それを見て、アルフレッドルートを進んでいるらしいことがわかる。
ただ、ちょっと様子がおかしい。
キラキラ皇太子は、誰にでもキラキラしてるんだけど。
今日はやけに、アリアナから距離をとっているようにみえる。
アリアナが近づくと、アルフレッドがはなれる。
「ちょっといいだろうか?」
ジークハルトが、少し大きい声を出した。
あまり声を出さないジークハルトが大きな声を出すから、みんな、しんとしてしまった。




