13 極悪令嬢に昇格しました
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ
ニーナ・ヴァロワは男を手玉に取る悪女。
そんな噂が広がった。
まあ、いいけどね。
アルフレッドはもちろん、ジークハルトの名前も出てない。
おそらく、アリアナが広めた悪評だろう。
本当にどうしたんだ、ヒロイン。
それは悪役令嬢の役目だよ。
ただ、思いがけず、私も悪役令嬢の仲間入りをしたようだ。
というか、極悪令嬢って呼ばれてるみたいだけど。
まあ悪役ってことよね。
いつの間にか、アリアナをイジメていることになっていた。
全く記憶にないけれど。
ことあるごとにアリアナに文句を言い、罵り、罵倒しているらしい。
アリアナのものを勝手に捨てたり、破いたりしているらしい。
ときには、階段から落とすらしい…
どうしたら、そんな嘘が広がるのかわからないけど。
そういうことになっていた。
「まあ、いいんだけどね」
サロンでお茶をいただく。
悪評が広がってから、数少ない友達はいなくなった。
ジークハルトに迷惑がかかるのも嫌だから、私から話しかけるのはやめた。
こっそり、観察はさせていただいているけど。
ジークハルトとアリアナの仲は相変わらず進展しないけど。
アルフレッドとは時々、話をしているのを見かける。
親友とまではいかなくても、友達にはなったのかもしれない。
よかった。
これで、ジークハルトの処刑が回避できるなら、万々歳だ。
もともと、3年間、推し活をして、田舎に帰るつもりだったんだから。
これで十分じゃん。
そう思っているはずなのに、寂しい。
うっかり、ジークハルトと仲良くなってしまったから。
ときめいてしまったから。
もしかして…なんて、叶うはずのない夢を描いてしまったから。
…寂しい。
そろそろ、ジークハルトが中庭でウトウトするくらいの時間だ。
そう思って、こっそりと中庭へ行く。
やっぱり、ウトウトしていた。
ちょっと寝ぐせがついてるの、可愛い。
もうすぐ、もぐもぐタイムかな。
本当はゆっくり食べてほしいけど…
私は見守ることしかできないよね。
「あんな風に、寝ながら食べて大丈夫なのかな」
「…そうなんですよね。ちゃんとお茶を飲んで…?」
誰に話しかけられたんだろうと思って、振り返って驚く。
キラキラ皇太子?!!
「ぁ゛、アルフレッド…様。こんなところで、どうされたんですか?」
大きな声を出しそうになって口を押さえて、声を抑えて話す。
「君、教室でジークと話さなくなったのに、毎日ここでジークを見てるからさ。なんか、じれったくなっちゃって」
アルフレッドがそう言って、私の隣に座る。
「じれったくって…何ですか。って、わ、私、そろそろ教室に戻りますね」
ここでアルフレッドと話していると、アルフレッドにも迷惑がかかるかもしれない。
「じゃあ、一緒に戻ろうよ」
アルフレッドがそう言って立ち上がった。
「…アルフレッド様ならご存知かと思いますが、私、クラスの人に嫌われてるんです」
「そうみたいだね」
「私といると、アルフレッド様も悪く言われるかもしれませんよ?」
私が言わなくても、アルフレッドならわかるだろう。
ジークハルトが起きないように、じりじりと中庭から遠ざかる。
「あはは。僕、皇太子だよ?悪く言う人、いると思う?」
そう言われて、ちょっと笑ってしまった。
たしかにそうかも。
「でも、私。どうやら悪役令嬢みたいなので。…悪役令嬢」
自分で言って、体を強張らせる。
『禁断のロイヤル・アカデミー ~裏切りの王子たち~』の悪役令嬢。
本来はクロエだけど。
クロエって、最後、どうなったっけ?
私がクロエの立場と変わったのなら、私の最後はクロエの最後と同じになるはずだ。
…どうして、思い出せないんだろう。
こんな大切なこと。




