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モブ令嬢に転生したので推し活していたら極悪令嬢に昇格しちゃいました  作者: 西園寺百合子


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13/50

13 バーガーで笑顔なランチタイム

子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ

皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル

公爵  /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン

伯爵  /攻略対象 リュカ・モンパルナス

伯爵  /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ

伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー

男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ

中庭の木漏れ日の下、静かなはずの推しとのランチタイムが、なぜか豪華メンバーになってしまった。

「ジークとこうやって食事をするのは…何年ぶりかな」

アルフレッドが突然、そう言った。

懐かしむような声音。

「子どもの時以来ですね」

ジークハルトが穏やかに答える。

「敬語はやめてくれよ。子どもの頃は兄弟みたいに育ったじゃないか」


2人の会話を聞くに、子どもの頃は仲の良い2人だったようだ。

そんな設定、あったかな?

記憶が曖昧なのがもどかしい。

「子どもの頃は、子どもの頃ですよ、殿下」

ジークハルトがそう言って、沈黙になってしまった。

空気が少しだけ重くなる。

ものすごく気まずい。

ここは、モブ力を発揮するしかない。


「あ…アルフレッド様のランチボックスは、ハンバーガーなんですね。淑女には難易度高めのランチボックスです。あはは…」

無理やり話題転換。

やや不自然。

でも沈黙よりマシ。

そう言うと、アルフレッドが「そうなの?」と言った。

本気で知らなそうな顔をしている。


その様子に、ジークハルトがふっと小さく笑った。

その笑顔を見られただけで、私は今日の努力すべてが報われた気がした。

やはり、推しの笑顔は世界を救う。

「っていうか、皇太子でも、大口でハンバーガー食べるんですね。ナイフとフォーク使うのかと思いました」

ふと、目の前で意外にも豪快にハンバーガーへかぶりつくアルフレッドを見ながら、素直すぎる感想が口をついて出た。


パンを押さえる手つきこそ上品だけれど、その食べ方は思いのほか庶民的で、きらきら皇太子のイメージとのギャップが激しい。

正直な感想を言うと、アルフレッドとジークハルトが「あはは」と笑った。

中庭の木漏れ日の下、二人の笑い声が重なる。


「そりゃあ、ハンバーガーくらい、食べるよ」

アルフレッドが肩をすくめながら笑う。

「ナイフとフォークって…どんなイメージだよ」

ジークハルトも呆れたように、それでも柔らかく笑っている。

2人が笑ってるの、なんかいいな。

その光景に、胸がじんわりと温かくなる。

食べ物のことで笑い合っている姿を見ると、ただ仲の良い友人同士のように見える。

この空気。

この雰囲気。

守りたい。


詳しくは聞けてないけど。

2人に距離ができたのは、たぶん、ジークハルトの顔の傷のせいだろう。

アルフレッドが言うように、子どもの頃は兄弟のように仲がよかったのなら。

またその頃みたいになれたらいいのに。

そうしたら…王家の滅亡なんて望まなくなるんじゃないか?

ジークハルトが闇落ちする可能性が減るのでは?

そこで、脳内に電流が走る。


「これだ!」

ニーナ、閃きました!

思わず立ち上がりそうになるほどの勢いで、私は自分の名案に震えた。

そうだ。

ヒロイン攻略より、幼なじみ修復ルートのほうが確実なのでは?

「…どうしたの、ニーナ嬢?」

突然声を上げた私に、ジークハルトが驚いた顔で私を見る。

少し目を丸くして、心配そうにしてくれるのが優しい。


「アルフレッド様、ジークハルト様、明日も、一緒にランチ、しませんか?」

ぐっと拳を握りしめながら提案する。

イベント発生である。

題して、ジークハルトとアルフレッドを仲良くさせよう作戦。


私が提案すると、ジークハルトが困った顔をした。

少し戸惑ってはいるけれど、断るほどじゃないし、みたいな微妙な表情。

「僕はいいよ。ニーナ嬢とのランチは楽しいからね」

アルフレッドがにこやかにそう言った。

その言い方は少し誤解を招きそうだからやめてほしい。


アルフレッドの返事を聞いて、ジークハルトを見る。

「あ…うん。そうだね。いいよ」

少し照れたように了承してくれた。

ジークハルトの言質、いただきました!

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