12 楽しいランチと壊れたヒロイン
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ
「はい。じゃあ、アルフレッド様。これ、ジークハルト様の分ですから。落とさないでくださいね」
そう言って、アルフレッドにジークハルトのランチボックスを渡す。
「あはは。君くらいだよ。僕に物を持たせるなんて」
そう言ってアルフレッドが笑っている。
うるさい、キラキラ皇太子。
「少し遅れますけど、プリン、3つ買っていきますから。先に食べていてくださいね」
そう伝えて、アルフレッドを見送った。
名付けて、2人きりにして仲良くなってもらおう作戦。
プリンは買っていくけどね。
アリアナとジークハルトを仲良くさせるより、アルフレッドとジークハルトを仲良くさせる方が簡単なような気がして立てた作戦だけど。
上手くいくだろうか。
人気のプリンを買うために並ぶ。
3人前にアリアナが並んでいた。
そもそも、あいつがジークハルトとすぐにイチャイチャしてくれたら、こんな苦労することなかったのに。
プリンを買うために並んでいた列から、何気なく食堂を見た。
すると、クロエがリュカとオスカーと一緒にランチしていた。
「へ?」
どういうこと?
悪役令嬢が、攻略対象をはべらせている…
ヒロインはプリン買うために並んでるし。
どういうこと?
「はい…プリン、残り2個だけど。他のものにする?」
いつの間にか順番が来ていたようだ。
「あ、じゃあ2個…と、パンナコッタを」
そう言って3つ購入した。
私の分のプリンがなかったら、ジークハルトは私にプリンを譲ろうとするだろうから。
少しゆっくり歩いて中庭に行く。
2人は何か話せているだろうか。
子どもの頃と同じようにはいかなくても、少しは話せているといいな。
「プリン、お待たせしました~」
そう言って登場すると、2人が私を見た。
何があったんだろう。
アルフレッドは固まってるし、ジークハルトはチワワになってる。
「あ…お、遅くなってすみません。プリン、人気で」
そう言って席に着く。
「…いやあ。僕がここでランチを食べてるのを女子に発見されてね」
「さっきまで、人だかりだったんだ」
2人とも疲れてたんだ。
「ふふっ…もみくちゃにされてるとこ、私も見たかったです」
そう言って笑うと、2人にヒドイ、ヒドイと言われた。
大変だったみたいだけど、2人きりで沈黙になるよりよかったかもしれない。
「あ、今日はタマゴサンドなんですか?」
「君が、おすすめだって言ってたから」
「ニーナ嬢はハンバーガーは食べないの?」
「私が大口開けてるところが見たいんですか?」
くだらない話をしながら、ワイワイとランチボックスを食べる。
うん、うん。
仲良し大作戦は、上手くいってる気がする。
「あら、ニーナさん。こんなところでコソコソと…男性ふたりに囲まれてランチですか?」
そう声を掛けられて顔をあげる。
こういうセリフは悪役令嬢が言うものなのに。
なぜか、ヒロインの口から出てきているようだ。
一瞬固まって、気持ちを切り替える。
もう、いいんだ。
別にアリアナがヒロインだろうがヒロインじゃなかろうが。
「あら、アリアナさんったら。コソコソしているように見えまして?堂々と、ランチを楽しんでますが、なにか?」
コソコソはしてない。
実際、さっきまで人だかりだったらしいし。
アリアナもアルフレッドがいると聞いて、ここに来たんじゃないだろうか。
「そうでしたの?てっきり、男性2人を手玉にとっているのだと思ってしまいましたわ~」
アリアナが大きな声でそう言った。
その男性2人って、皇太子と公爵だぞ。
正気か?
「アリアナさん。男性はしっかりとした身分の方ですよ。そういう誤解を生むような言い方をするのはよくありません。私を貶めたいなら、別の言いがかりを考えてくださいませ」
これ以上、騒ぎになると、本当にジークハントに迷惑がかかる。
こそっとアリアナに耳打ちした。
伝えた意味がわかったのか、顔を真っ赤にしてアリアナは去っていった。
どうした、ヒロイン。




