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モブ令嬢に転生したので推し活していたら極悪令嬢に昇格しちゃいました  作者: 西園寺百合子


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10 洞穴でのひとときと約束

子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ

皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル

公爵  /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン

伯爵  /攻略対象 リュカ・モンパルナス

伯爵  /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ

伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー

男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ

ぶるっと体が震える。

寒い…

洞穴に来てしばらくたったけど、雨はやみそうになかった。

そうこうしているうちに、日が落ちてしまった。


この世界には魔法がないから、都合よく火を点けられるものがなく。

洞穴で2人、震えているしかない。

ジークハルトが洞穴の外を見て戻ってきた。

「雨、すごかったみたいだね。外は川みたいになってて、ここから出られそうにないよ」

そう教えてくれた。

もしかしたら、小川の水が増水して溢れてしまったのかもしれない。

とすると、どちらにしても明日にならないとここから出られないのか。


寒い…

服が乾いていないか確認してみたけど、当然のように、まだ濡れていた。

いつまでも、ジークハルトのシャツを借りているわけにもいかない。

私が寒いということは、ジークハルトだって寒いだろう。

「あ、あの。シャツ、ありがとうございます。ふ、服、乾いたみたいなので、お返しします」

そう言って脱ごうとしてとめられた。


「乾いてないよね?俺のも乾いてないし…気をつかわなくていいよ。寒いの、わりと平気だから」

ジークハルトはそう言ったけど、平気なわけがない。

「…あの、ジークハルト様。はしたないと思わないでいただけると嬉しいのですが」

これは、遭難だ。

遭難したら、恥は掻き捨てる必要があると思うことにする。


「ひ、人肌が一番温かいらしいんです。そのっ!何もしないので!くっついてもよろしいですか?」

おしくらまんじゅう的な、あれだと思った。

変な奴だと思われるのを覚悟してそう伝えたら、ジークハルトが私を抱きしめてくれた。

「…温かい?」

そう言われて、顔が熱くなった。

「ひゃ、いっ」

温かいを通り越して、アツイ。


「…たしかに、温かいね。見てないから、安心して」

そう言われて、ちらっとジークハルトを見上げた。

目を閉じてくれている。

近くで見ると、顔の傷がよくわかった。

「あ、ごめんね。傷、気持ち悪いよね」

ジークハルトが前髪で傷を隠そうとするから、手を添えた。


「いえ。気持ち悪くなんてありません。名誉の負傷ではありませんか。ただ…まだ、痛むか気になって」

そう伝えると、ジークハルトが目を開いた。

視線が合って、ドキっとする。

「…雨のときは、少し、痛い…かな」

そう言うから、痛みが和らぐといいなとそれだけを思って、傷を撫でた。

どくん、どくんと、ジークハルトの心臓の音が聞こえる。

私の心臓も、さっきからドクドクとうるさい。


「あの…」

ジークハルトが沈黙を破って、口を開いた。

と、光が洞穴に差し込んだ。


「ジークハルトくん!ニーナさん!」

先生の声だ。

どうやら、探しに来てくれたようだ。

ほっとした気持ちと、少し残念な気持ちが入り混じる。

「すみません。雨で濡れて、ジークハルト様にシャツを借りてしまって」

状況を説明すると、先生がバスタオルを巻きつけてくれた。


後から来た先生が、毛布も巻きつけてくれる。

ジークハルトも毛布でぐるぐるにされていた。

「じっとしていてくれてよかったわ。近くの川が氾濫して、色々と流されたの」

先生がそう言って慌てていた。


なにわともあれ、無事に救助されて、寮へ戻ることになった。

「あ、ニーナ嬢!」

帰り際、ジークハルトに呼び止められた。

シャツを返せと言われるだろうか…


「こ、今度、ランチボックスを一緒に食べてもらえませんか?あの…俺が食堂に行くと、みんなが怖がるから。できれば、か、買ってきて、ほしいんだけど」

そう言われた。

ランチボックス、食べたかったんだ。

そんなの、2個でも3個でも買う、買う!

「はい。タマゴサンド、おすすめなので、買っていきますね」

そう伝えて別れた。


雷がどこかに落ちたみたいだ。

ピカッと空が光るのが見えて、頭の中に映像が浮かぶ。

洞穴での出来事、私、どこかで見たことがある。

顔の傷に手を添える…スチル。


あれは、ゲームで見たスチル絵そのものの光景だ。

どういうこと?

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