09 洞穴とシャツとパンイチ
子爵令嬢/生徒C ニーナ・ヴァロワ
皇太子 /攻略対象 アルフレッド・クロムウェル
公爵 /攻略対象 ジークハルト・ベルシュタイン
伯爵 /攻略対象 リュカ・モンパルナス
伯爵 /攻略対象 オスカー・ウィリアムズ
伯爵令嬢/悪役令嬢 クロエ・ラングレー
男爵令嬢/ヒロイン アリアナ・ロゼ
ぽつっと、何かが鼻にあたる。
なんだろうと上を見上げた。
ジークハルトも見上げている。
「…雨だね」
そう言われて「じゃあ、急ぎましょう」と伝えた。
「いや、本降りになりそうだから、少し雨宿りをしていこう」
そう言って、ジークハルトが少し先にある洞穴を指差した。
こんなところに都合よく洞穴?
おかしくない?
「まだそれほど降ってませんし、走ったほうが…」
私がそこまで言うと、突然、大降りになった。
慌てて、洞穴に走り込む。
2人とも、雨でびしゃびしゃになってしまった。
「あ…アイテムで、連絡だけしておきますね」
そう伝えて、先生に連絡をとる。
「…ば…は、わから…いの?き…えてる?」
なんか、電波的なものが悪い。
音が飛んでしまう。
「あのっ!聞こえてますか?洞穴です。洞穴にいます!」
そう伝えたけど、ぷつっと切れてしまった。
電波的なやつの問題なのか?
アイテムを振ってみたけど、それからはうんともすんとも言わなくなった。
「濡れちゃったね」
ぽつりとジークハルトが言った。
ハっとしてジークハルトを見る。
風邪ひいちゃうじゃん。
慌ててハンカチを探す。
汗をふくために、ハンドタオルを持っていた。
「ジークハルト様!これで拭いてください。濡れた服を着ていると風邪をひきますから」
そう言ってハンドタオルを渡した。
「…ありがとう。でも、タオルは君が使って。君も濡れてるから」
そう言われて「大丈夫です!私、バカなので、風邪ひかないんですっ!」と力いっぱい答えた。
ぷっと、ジークハルトが吹き出す。
「馬鹿なのと、風邪をひかないのと、関係があるの?」
そう言われてしまった。
この世界には、『バカは風邪をひかない』ということわざはないのか。
恥ずかしくて顔が熱くなった。
「あ…えっと、私、鈍感なので…」
そう言って俯くと、ジークハルトが髪の毛をハンドタオルで拭いてくれた。
「あ…ちょっと待ってて。あ、後ろ向いてて」
そう言われて後ろを向く。
ゴソゴソと音がする。
なんか、ドキドキしちゃうじゃん。
そう思っていると、ジークハルトがシャツを差し出してきた。
「これ、それほど濡れていないから。服、着替えて」
そう言われた。
ジークハルトの、脱ぎたてのシャツ(超レアアイテム)!
しばらく固まる。
「あ、嫌だよね。俺のシャツなんて」
そう言われて、シャツを握りしめる。
「いえっ!ありがとうございます!これ、買い取らせていただいても?家宝にさせていただいてもよろしいですか!」
そう言って見上げると、ジークハルトが驚いた顔をして、頬を緩めた。
「あははっ、君、本当に面白いね。俺のシャツを家宝って…あははっ…」
そう言って楽しそうに笑うジークハルトが愛おしすぎて、きゅんとした。
私が好きになっても、仕方がないのに。
ジークハルトのニオイが消えるから着替えたくなかったけど。
それは困るとジークハルトが言うから、仕方なく着替えさせてもらった。
お互い、背を向けて座る。
ジークハルトは服を脱いで、いわゆる、パンツ一丁の状態らしい。
私は下着の上にジークハルトのシャツを着ている。
なんというか、すごい展開になってしまった。
この期におよんでだが。
パンイチのジークハルトが見たい…




