episode4-3
「なにすんの?」
ディアナの手元を覗き込むと、なにやら時計的なものがあった。
「昨日、これ壊しちゃったから直そうと思って…」
「これって時計?」
「うん、そう…」
「直せるの?」
「うーーん…一応、自分で作ったものだから…」
「時計を?作れるの?」
「上の装飾のところだけだけど…」
「へえ…見てもいい?」
「うん」
ディアナがシアンに時計を手渡した時、店のベルがかすかになった。
シアンは帯刀している剣に手をかけたが、入ってきた人物をみて、またそれを鞘の中に戻した。
「兄さん…」
先に口を開いたのはディアナだった。
「どうしたの?」
「いや、な……ちょっと人を連れてきたんだ」
ソラハが自分の背後に目を向けると、後ろから出てきたのは涙と鼻水で顔をぐじゃぐじゃにしたエクルだった。
「ジ、ジアンざゔぁー!!ご無事でよがっだでずぅ〜」
エクルは無防備なシアンに突進して、思いっきり抱きしめた。
「……エクル、うるさい。心配かけたのは悪かった。が、痛いから離せ」
エクルは痛いという言葉を聞いた瞬間、シアンの上着をばっとめくり、傷の容態を確認し始めた。
「おい…おまえは変態か…」
「…あの………傷は結構深かったんですが、化膿はしてなくて…後、切り口?も綺麗でしたので、早めに治ると思います…」
エクルの行動を見て、ディアナがとっさにフォローを入れる。
「えっと…あなたは?」
「私の妹です。エクル殿」
「はあ!では、シアン様の手当てをしてくださった方ですね!本当に、本当に!ありがとうございました!!」
ガバッと頭を下げるエクルに少しびっくりしつつ、ディアナも軽く頭を下げた。




