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第12話【日記】


【2164年7月14日】


 今日、我々の乗る宇宙船は鹿だらけの惑星、シカルジャマイカに到着した。かつて地球の動物園で見たような鹿もいたが、知能の発達した2足歩行の鹿もおり、それらの者達はシカル族としての文明を築き上げていた。シカル族の知能は発達しており、全宇宙翻訳機によって意思の疎通は計れたが、他の惑星から来る者達に対する敵対心はないらしく、好意的な歓迎を受けた。シカルジャマイカの近くには4つの太陽があり、夜でも温度が60度を超えるため、エアコンスーツが無ければ人間がこの惑星に滞在するのは不可能だろう。今夜はシカル族が用意してくれた冷房カプセルで睡眠に入り、明日より、本格的にこの惑星の調査を進めたいと思う。


【2164年7月24日】


 とくにこれといった異常も無かったので、明日、このシカルジャマイカを去る予定だが、リアはこの惑星の者達と気が合うらしく、別れを惜しんでいる様子だった。我々が明日この惑星を去るという事を伝えると、シカル族の者達は盛大な祭りを開いてくれた。カラムーチャという大量の酒をご馳走して貰い、只今、ほろ酔い気分である。祭りの途中、マクドがこの惑星で4日目に私達の宇宙船の修理を手伝ってくれたシカル族の科学研究者にテレポーテーション装置の設計図を渡しているのを見たが、寝たふりをし、見て見ぬふりを決め込んだ。惑星調査団の違反規約には触れるので船長としては失格の行為だが、この惑星に住む者達がテレポーテーションの技術を悪用するわけがない。マクド自身もその事を理解した上で設計図を渡したのだろう。シカルジャマイカの者達は心が暖かく、この惑星の発展は私も心から願うところだ。


……というところまでの日記を読み返していたモスに向かって、バナナをほおばり、ロッテが聞いた。


「船長ぉー、船長ってなんで日記付けてるんすか?記録なら取ってあるから、別にそんなもん書く必要ないじゃないっすか?」


モスはゆっくりと顔を上げ、テントの窓外に見える真っ白な雲を見ながら答えた。


「記録だけが全てではない。記憶も思い出も記録と同じだけ大切なものだ。どんな形であろうと私にはそれを残しておきたいという気持ちがある」


「ふーん。なんかカッコイイっすね。素敵だと思うっすよ。それで、これも聞きたいんすけど、今回、我々調査団の中でもシッカリしているマクドを猿の見張り役として選んだのは分かりますけど、なんで猿はアイツにしたんすか?まあ、グラサンは多少、危なっかしいにしても、バンダナに行かせれば良かったんじゃないっすか?」


モスは日記を閉じて答えた。


「ふむ。それでも良かったのだが、アイツは他の2人に比べて弁が立つ。頭も良い。妙な考えを起こした場合い、2人より厄介に成り兼ねんと思い、アイツを選んだ。それに、なんと言うかな、あの中ではバンダナ君が1番、人の心が通じる。直感的にそう思ったんだよ。まあ、アイツもこの惑星の猿である以上、腕力的には我々人間を凌ぐバケモノである事に変わりは無いがな」


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