ひとり焚火のもとに
暗がりの中、ローズマリーは一人、火をおこしていた。
手足口病か、名前の割にとんでもないヤローだ。先ほど話をしていたサンライズも、何となく呼吸が荒かったのが気になる。
アイツも時どき頭痛がすると言って休んでいたくらいだから、あまり丈夫ではないのかも。
今まで健康だけが自慢だったローズマリーも、この期に及んでようやく、体の弱い人間の気持ちが分かるようになってきた。危ない橋は渡らない、なんて言いながらも、マヤラや他の体力自慢のメンバーといつも力技で任務をこなしてきたのだ。周りの弱い人間を助けるのが仕事だとずっと思ってきた。
しかし自分が弱った時、単なる足手まといになったような気がし始めた。
焦りの原因は多分そこだろう。
いつまでも体が動くわけではない、そんな当たり前のことに今さら気づくなんて。
自分を追い越したサンライズに助けられる、つまりはそれがイヤだったのだ。カンタンなことだ、ただの嫉妬なんだ。しかもアイツは郵便屋上がりだと言うし。
「……どうしたんだろ、オレ」
いつになく、細かい事が何かと気になって頭の中がゴチャゴチャしている。ローズマリーは後ろで縛った髪をほどき、頭をかきむしった。
ここから帰れたら、浴びるほど飲んでやる。そしてハルさんやゾ―さんみたいに荒れてやるぞ、もう倒れようがどうなろうが、誰も心配する者はいない。
鈍い痛みを目の奥におぼえ、彼は頭を抱えたまま、ずっとたき火の向こうに広がる暗い海と、遠くに見える陸地の灯りを上目づかいに見つめていた。




