天野千砂
千砂side
荷物を片付けて少し一息ついてると…
「千砂話があるの」
「あっはーい今行きます」
一階のリビングに行くとお母さん達がいた。
しかも真剣な表情で…お父さんとお母さんは椅子に座っていて私も腰を掛けた。
するとお父さんが…
「千砂よく聞いて実は…」
「! そんな…」
突然お父さんの口から言われたこと…私は家を出た。ショックで何も持たずがむしゃらに宛もなく走った。
雨も降ってきた少しずつ濡れていくこの体。
そして辿り着いたのは…展望台
展望台
「濡れちゃいましたね」
お父さんに言われた言葉が頭の中で木霊する。
“千砂はお母さんとお父さんの子じゃないんだ。
千砂の本当のお父さんとお母さんはお父さんの妹夫婦の子だ。
本当のお父さん達は千砂が生まれて二ヶ月で交通事故に巻き込まれ死んだ。
千砂の旧姓は天野
お父さん達の子になってから姫木になったんだ。”
そう言われショックで家を出た。嘘だと信じたかった…だけど…!
そのことを思い出してずっと展望台のベンチで泣いている私。
「大雨って部活帰りに…ったくもうってあれ?」
「あっ…えっと…」
展望台に入ってきたのは私より少し背が低い男の子でエナメルの鞄を持っている。ローマ字で“ASAHI”と書いてある。うちの学校の子か…
「あっすみません…濡れてますけどこれ良かったら…まだ使ってないですし…」
その子から渡されたのはタオル
「ありがとう」
今できる精一杯の笑顔を返した。すると…
「あの…泣いてました?」
「え…」
「すみません馴れ馴れしくて…目が赤かったのでそうなのかなって…でももしそうなら俺でよければ話聞きますよ」
そう言われた時涙が出た。
さっきお父さん達に言われたことを一通り話した。
「大丈夫ですよ姫木先輩」
「どうして私の…」
「俺のクラスでも超可愛いって有名ですよ。先輩、名字がそんなに大切ですか?
それで先輩が変わっちゃうんですか?
本当の娘じゃないのに育ててくれたのは誰ですか?」
「お父さんとお母さんです」
「愛してくれてるから育ててくれるんですよ」
「!」
この子に言われて気づいたこと…そうだ私、名字が変わっても私は変わらない。
「きっと今もどこかで先輩のこと探してます」
「私、帰らないと…」
「はい。」
「タオル洗って返します!じゃあ!」
走って走って家に帰った。
*******
家
「お父さんお母さん!」
お母さんの腕の中に飛び込む。
「千砂!」
「ごめんなさい…ごめんなさい…!」
「謝らないで千砂…」
「でも…でも…!」
お母さんは濡れたままの私の体を抱き締めた。
「「千砂おかえり」」
「ただいま」




