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物語絵[イレギュラー]〜浮遊都市ルミナリアの何でも屋『星屑の軌跡』〜  作者: 蒼猫
3ページ目

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「もう2人のルクスとエリア?」

 

 今、目の前に可愛らしい少女に化けたモンスターと出会した……なんて卑怯なモンスターなんだろう、いたいけな可愛らしい少女に化ければ、倒されないとでも思ってるのだろうか。



「エリア…気を付けろ。天使の様な笑顔と愛らしい姿で装って、油断した所をバグっと食べちまうモンスターかもしれねぇ…」



 ビクビクとルクスの背陰で震えだすエリア。



「絶対そうだわ……それになんで私たちの名前を知ってるのよ!モンスター以外考えられないわ……どうしようルクス」



 彼女の恐怖の昂りに呼応するように、森の木々がざわざわと楽しげに笑い、揺れ始める。



「ウフフ♪ウフフフ♪怖いもんすたーなんかじゃないよ♪私はフィオナ♪お星さまの占いでルクスちゃんとエリアちゃんがこの森に来ることを教えてくれたんだよ♪いつ来るかまでは分からなかったけど今日だったんだね♪」



 胸の奥を押し潰す様な感覚、本当に痛みさえも感じてしまいそう。

 少女への無粋な疑いをかけた自分自身に、二人の胸へ猛烈な罪悪感が押し寄せる。と同時に、木々の隙間から木漏れ日のように少女を優しく射す光芒が、その罪悪感を温かく浄化していく。



「疑ってごめんよ…こんな大森林の奥深くに人が居るなんて思わなくて、それにこんな小さな女の子だなんて……」



「そのお星さまの占い?で私たちが今日ここStargladeスターグレイドに来るって事が分かってて、来るのを待ってたって事は未来予知みたいな事が出来るってこと!?」



「うん♪そうだよ♪でもねでもね…お星さまが教えてくれる予言はいつ起きるコトなのか分からないの……この占いを教えてくれたのは1ヶ月前だよ♪」



「えっ、1ヶ月前!? じゃあ君は、いつ来るかも分からない俺たちを、1ヶ月もこの森で待ち続けてたのか!?」



「うん!」



 フィオナは胸の前で小さな手をぎゅっと握りしめ、満面の笑みを浮かべた。



「 お星さまの予言は絶対に当たるから、フィオナ、寂しくなかったよ♪ やっと会えて、とっても嬉しいな、ルクスちゃん、エリアちゃん!」



「う、うぅ……! モンスターだなんて疑ってごめんなさいぃぃ! なんて良い子なの、誘拐しちゃいたいわ……!」



  「おいエリア、お前がモンスターになってどうするんだよ」



「うふふ♪ ……あ、そうだ!2人がこの森に来ることはお星さまの予言で分かってたんだけど、何をしに来るのかまでは分からないんだ♪何か用があったの?」



「そうそう!ここスターグレイドの聖域にしか咲かない『星涙草せいるいそう』っていう薬草の採取しに来たんだけど、どこにあるか分かる?」



「うん♪ こっちだよ、案内してあげるね――」



 鼻歌混じりで、ぴょんぴょん跳ねながら、ルクスとエリアを『星涙草せいるいそう』の咲く聖域に案内される中、2人は森の回路に目を奪われた。



「うわあ……綺麗……」 



 思わず声が漏れた。夕方と夜がちょうど混ざり合う、いちばん美しい時間帯。

 深い森の奥なのに、不思議と暗さは感じない。

 頭上にはまるで宇宙そのものが降ってきたかのような満天の星空が広がっていて、差し込む夕日と混ざり合って、森全体がエメラルドとゴールドの光で包まれている。

 左右の木々に埋め込まれた大きな魔石がぼんやりと輝き、足元の光るキノコや花たちが、まるでおとぎ話のランウェイみたいに奥へと続く道を照らしていた。



 フィオナの案内で、森の最奥にある『星涙草せいるいそう』の群生地へとたどり着いたルクスたち。しかし、そこには信じられない光景が広がっていた。



「あそこだよ! あそこに綺麗なお星さまの涙が……って、あれえ?」



 フィオナがトコトコと指差した先。瑠璃色の美しい薬草が咲き誇る輝かしい群生地のド真ん中で、二人の男女が、『星涙草せいるいそう』を容赦なくブチブチと引き抜いていた。



 金髪の少年と、大きな魔女帽子の赤黒い髪の少女。――それはどう見ても、ルクスとエリアの姿をした二人組であった。




「よーし! この高値で売却できそうな薬草をすべて根こそぎ回収し、一攫千金を狙うのでございます! なあ、エリア!」



「ウフフ、名案ですのよルクス。店長のむさ苦しいオヤジ様には内緒で、わたくしたちだけで儲けて、高級スイーツでもたらふくいただきあそばせ〜!」



「「って、誰がむさ苦しいオヤジに内緒で大儲けだコラァァァァ!!!??」」



 本物のルクスとエリアの怒号が、聖域の静寂を粉々に吹き飛ばす。

 乱獲していた「偽ルクス」と「偽エリア」がビクゥッ!と肩を揺らし、間抜けな顔で振り返った。



「おや、本物のご登場でございますか。少々予定よりお早いお着きですこと!」



「ちょっと!!私の顔で『あそばせ』とか無駄にキャラを迷子にさせないでよ! 営業妨害よ! 営業妨害ぃぃぃ!あと店長はむさ苦しいのは事実だけれど、とてもいい人よ!」



「エリア、ツッコミところそこかよ!? フィオナ、下がってろ! あいつら、俺たちの姿で悪さしやがって……絶対に懲らしめてやる!」



 偽物たちの身体がポンッ!とコミカルな煙に包まれる。

 煙の向こうから現れたのは、頭に葉っぱを乗せた大きな『化けタヌキ』と、フサフサの尻尾を揺らす『化けキツネ』だった。正体がバレた瞬間、彼らの偽りのお上品な仮面が剥がれ落ちる。



「チッ、バレちまったら仕方ねぇ〜なぁ〜! たくよ〜、バレるの早くてかなわねェってんだ! 捕まる前にこの薬草を持ってトンズラってな!!」



 逃げ出そうとする二匹に対してルクスの好判断により、エリアと共にマモノ退治に取り掛かる。



「させるかよっ! エリア!一気にいくぞ!!」




 『エリア・ノクス』

 彼女は頭の中に描いたイメージを自由自在に魔法として編み出す事が可能である。一度使用した魔法は、エリアの持つ魔導書に書き記され、書き記された魔法に関してはエリアの高確率で予想外の『イレギュラー』に干渉しない為、再び魔法を発動させても一字一句『同じ効果』での魔法を可能とする。

 ――ただし、魔導書に記させれた魔法の殆どが使い勝手が悪いハズレの魔法ばかりで術者のエリア本人もどんな《イレギュラー》を起こした魔法なのかを忘れている。三百年も生きていれば忘れることもあるだろう。えへへ。





「『アレア・クィントゥス・ゲミナティオ』!!貴方たち、私の顔を汚した罰よ、全員一斉突撃ーーーーっ!!」



 エリアが叫ぶと同時に、再び呼び出された5人の分身エリアたちが容赦なく襲いかかる!



 1.エリア「動くのメンドクサイけど、あの偽物の顔はムカつくから殴る〜!覚悟しないさい!」



 2.エリア「私の美貌を真似するなんて百年早いのよ! 三百年の重みをくらえっ!」



 3.エリア「薬草はおいしくないから、代わりにあの狸をジビエにするー!どうやって食べようかな〜考えだしただけで、ヨダレが止まらないよ〜」



 4.エリア「あはははは! 偽物も分身も大混雑! お祭り騒ぎだねーっ!あはははは!」



 5.エリア「(無言で狸の首根っこを掴みにかかる)」



「わあああ!?何だってんだコレわよ〜!?エリアが大量に増殖して襲ってくるなんてよ〜!!……つーか、なんでタヌキのワイだけジビエ扱いなんだよ! キツネを食えよキツネをよぉぉ!」



「大量に増殖して突撃してこられますわ! 実に理不尽で、お下品ですね!?………って、おい、マジでこれズル過ぎんだろ! ふざけてんのか!?あ〜マジでムカついてきたーーーー!!」



 表の仮面が剥がれ落ち、本来の裏の仮面が表に現れた瞬間であった。



 人の顔を使って悪さをする二匹にルクスとエリアの怒りは頂点に達し、二匹はルクスとエリアに化け、悪事を行ったことをこの後、後悔することになる。



「ムカついてるのはこっちのセリフよ!私の気品で可愛らしさを兼ね備えたお顔で、なんて真似をしてくれてるのよ!」



 化けタヌキと化けキツネがエリアたちの猛攻に目を回し、たまらず『星涙草せいるいそう』を放り出して逃げようとしたその瞬間、ルクスが不敵に笑った。



「おい、俺の顔を使った罪は重いぜ? ――そこ、ちょっと上に落ちてな!」



 ルクスが能力を発動した瞬間、化けタヌキと化けキツネの立っている位置の空間だけ、空気が歪み、天と地の重力が完全にひっくり返る。

 


「うゲェッ!?次は何だってんだ地面が離れて……空に……落ちてる!?」



「クソォ!次から次へと何なんだよ…オイ!タヌキ!この状況どうにかしろ、このままじゃマジでヤバいってマジで!」



 空中に向かって真っ逆さまに落ちていくタヌキとキツネ。

 そこへ、これまでとは雰囲気が違う陽を灯したような瞳で、本物のエリアと5人の分身エリアによる、完璧なる完全無欠の合体魔法が牙を剥く。

 いつもの『失敗』など微塵も感じさせない、冷徹で美しい本物の魔女たちの歌(詠唱)が、一糸乱れぬシンクロで森を支配した。



 1.エリア「――騙るは偽、映すはまこと。星屑の軌跡に、偽りの座はなし」

 《足元の魔法陣の一角が、鋭い紫の光を放つ》



 2.エリア「巡る因果の六つの道、開きてことわりの檻とならん」

 《光のラインが走り、次の頂点へ繋がる》



 3.エリア「無知なる罪に終焉を。逃れるすべなき夜のとばりをここに」

 《頭上の空が急速に反転し、漆黒の宇宙が広がり始める》



 4.エリア「我が身は無数の影なれど、紡ぐ意志はただ一つ」

 《分身たちの魔力が、陽炎のように立ち昇りシンクロする》



 5.エリア「――満ちよ(満ちよ、満ちよ……と残りの分身が囁くように復唱)。天を穿つは、我が絶対の魔術」

 《全ての光のラインが繋がり、完全なる六芒星が完成する》

 


 5人の詠唱によって極限迄に高められ、練り上げられた魔力の全てがエリアの元へ濁流の様に流れ込み六芒星全ての輝きを解き放つ。



「これにて閉幕チェックメイトね。私たちに化けて悪さをしたのが運の尽きよ。――深く、反省するといいわ。



「「うわわっ!?やめろ〜〜〜!!」」



六道輪廻ヘキサグラム終焉ディザスター』ーーーっ!!」



 空間そのものを抉る漆黒の光線が、轟音と共に偽物たちをピンポイントで真っ直ぐに貫く!!



「「ギャァーー!誓います……もう2度と2度とこんな悪さはしません!それにこんなの、もう懲り懲りだーー!」」



 凄まじい閃光の後、化けタヌキと化けキツネは星になって森の彼方へと飛んでいった。かくして、森の聖域を荒らす「災い」は、見事なチームワークによって完全に退治されたのだった。





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エリアってやる時はやる子なんです!

高確率の方ではなく、低確率の方を引いたら超大当たりなんです!

今回は、見事に低確率を引けたエリアなのでした!



「面白いと思ったら、ページ下部の【☆】で評価やブックマークをいただけると励みになります!」


引き続き


物語絵[イレギュラー]〜浮遊都市ルミナリアの何でも屋『星屑の軌跡』

を宜しくお願いします!

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