「魔女の楽園『Elia Garden(エリアガーデン)』から旅立つ少女」
前回の話で第一星期・始星の記録が終わり次の第二星期に移る前に、登場キャラクターのエピソードシリーズが始まります!
まず、エピソードシリーズのトップバッターを飾るのは、三百年以上生きる魔女『エリア・ノクス』彼女の笑顔の裏に隠された過去に何があったのか、そんなキャラクターを深掘りしていくエピソードシリーズです!
4話構成で考えてます!
周期の節目にエピソードシリーズを挟んでいく予定です!
それではどうぞ!!
「ーーカシャ。」
「ねぇ、お願い。一人にしないで……」
「――カシャ。」
彼女の名は『エリア・ノクス』ここは、彼女の『記録』が綴られたアルバム。
笑顔の裏に隠された、まだ誰も知らない物語絵が今、一枚ずつ開かれていく。
時は遡り『第十二星期・巡星』
彼女の『記録』はここから始まった。
現在の浮遊都市ルミナリア、フローラ地区ブルームタウンから南に位置する、魔女の楽園と謳われた『Elia Garden』。
『エリア・ノクス』の生まれ育った故郷であり、魔女のみで形成され魔法によって全てが解決される、まさに魔女の楽園そのものであった。
楽園の姿はというと、目立つのはやはり中央に高々と楽園を見守るかのように聳え立つ『大星樹』の存在。
『大星樹』を囲むように魔法によって作り出された、巨大な滝のカーテンを更に囲むように魔女たちの住む家や花や果物が実るエリアガーデンがあちこちに点在しているそんな魔女たちの楽園が『Elia Garden』である。
そんな楽園で一人の少女が楽園の外の世界へと旅立とうとしていた。
「よし!!待ってなさい!この私の存在を外の世界に知らしめてやるわ!えへへ♪」
エリア・ノクス15歳。
赤と黒のメッシュにショートヘアー。
旅立ちのこの日の為に準備した、赤を基調としたドレスに、まだ少し被り慣れてないウィッチハットを被りいよいよ旅立ちの時を迎えた。
魔女の楽園では、15歳を迎えた年に外の世界へと出られる権利が与えられる。
出るか出ないかは本人の自由であり、出る選択をしたとしても、魔女の楽園は彼女の帰りをいつまでも待つ。
「さてと……まずは、友だちから作らなきゃ!」
彼女の旅立ちを見送る為に、魔女たちが続々と集まってきた。
「気をつけて行ってきな!」
「ちゃんとご飯食べてちゃんと寝なさいよ!」
「風邪には気をつけてね!」
「いつでも帰ってきなさい!ここが貴方の家なんだから!」
「いってらっしゃい!!」
そんな見送りの中で、彼女と同じ赤と黒のメッシュの髪色をした魔女がエリアに話しかける。
「笑顔を忘れず貴方らしく楽しんできなさい。貴方の笑顔はどんな魔法よりも素敵なんだから!」
彼女にそう話しかけるのは、母親の『アリア・ノクス』エリアの天真爛漫な性格とは違っておっとりとしたもの静かな性格である。
「うん!行ってくるね!お土産話楽しみにしててね!えへへ♪」
彼女はみんなに見送られ外の世界への一歩を踏み出した。
だが、この時の彼女はまだ知らない……。
彼女が旅立って、たった数時間後。
魔女の楽園と謳われた『Elia Garden』はまるで誰かが世界の記録を白く塗り潰したかのように何も残さず、この世界から忽然と姿を消すことを……。
楽園を後にした彼女は、楽園での魔法で満ち溢れた世界とは違う自然が織りなす美しさに魅了されていた。
優しく撫でるように吹く風。
その風に吹かれ揺れる草原。
突然降り始める雨。
かと思ったら止む雨。
歌うように鳴く鳥に踊るように流れる川。
自然に起きる現象の全てが、彼女の心と体に記憶されたのだった。
「最ッッッ高!!!」
歩き進みながら草原を抜けた先には森の遊歩道があり、気分が上がってるせいか自然と「ふふ〜ん♪ふんふふ〜ん♪」と鼻歌まじりで徐々に歩幅が広くなり、お気に入りの赤いドレスをひらひらと揺らし、まだ被り慣れてない帽子を抑えながら、気づけばスキップしながら遊歩道を抜け切っていた。
抜けた先で、外の世界へ出て初めての人が住む街に辿り着いた。
街の景観はというと、石畳で整備された道に街灯が並んでて、中央広場には街のシンボルである時計台が建っている。
街の至る所で活気の良い声が響く。
「いらっしゃい!いらっしゃい!」
「今日は肉が安いよ!」
「果物、野菜ならウチの店が1番!」
「焼きたてのパンはいかがかしら!」
吸い込まれるように活気溢れる街に踏み込んだ彼女は、楽園以外での初めての人にワクワクドキドキしながら石畳の道を歩いてると、「おっ!お嬢ちゃん、見ない顔だね!何処から来たんだい?」と八百屋のおじちゃんが彼女に話しかけてきた。
「私はエリアよ!魔女の楽園『Elia Garden』から来たの!」
街の人たちは、彼女が魔女の楽園から来たことを知ると、ざわざわしだした。
「ってことは、お嬢ちゃん魔女なのかい?」
「うん!そうだよ!」
「これはこれは、ようこそお越しくださいました!『ブルームタウン』へ」
この街の名前は『ブルームタウン』。
人々の笑顔が花咲き、人々の活気で溢れる街。
数百年の後に何でも屋『星屑の軌跡』が誕生する街でもある。
彼女が魔女だと分かると街の人たちが次々とエリアに握手を求めてきた。
「握手してください!」
「私も私も!!」
「俺もお願いします!」
「まさか生きてるうちに魔女さまに会えるなんて……」
「夢のようだわ!」
街でいきなり握手を求められ、最初は戸惑っていた彼女だが、流石の対応力で初めて訪れた街でプチ握手会が開かれたのであった。
「えへへ♪なんだかよく分からないけれど、すっごく気持ちがいいわ!」
そんな彼女に同じ歳ぐらいの少女が話しかけてきた。
「ねぇねぇ!」
「うん?どうしたの?」
「魔法使えるの?」
「……つ、つ、使えるわよ!」
「どんな魔法が使えるの?」
「みんなを笑顔にさせる魔法が使えるわよ!」
「見せて見せて!!私、魔法って見たことないの!」
街の人たちの期待の視線に応えるように、彼女は一つ呪文を唱えた。
『レインボー・ドロップ・シンフォニー』
すると、空に大きな七色の虹が浮かび上がったのだ。
「どう?虹が浮かぶ魔法だよ♪」
街の人たちは空に浮かぶ虹を見て笑顔になる中、少女は虹が浮かぶ空を見て涙を流し始めた。
彼女は予想外の涙に、笑顔にする魔法が、涙に変わってしまい戸惑いを隠せないでいた。
「どうしたの?私、貴方のことを泣かせてしまった……。」
「なんでもないの、あまりにも虹が綺麗だったから涙が溢れてきちゃって……」
彼女の魔法に街の人たちが歓声を上げた。パチパチと手を叩く音。
「綺麗!」
「魔法って凄い!」
「こんなに綺麗な虹、初めて見たわ!」
「ありがとう……!素敵な魔法ね!」
彼女が魔女の楽園を旅立って最初に辿り着いた街は人々の笑顔が花咲き、人々の活気で溢れ、心温かく迎えてくれるそんな街。
この街『ブルームタウン』から彼女の第二の人生が始まるのだった。
「――カシャ。」
[次の記録へ]
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引き続き
物語絵[イレギュラー]〜浮遊都市ルミナリアの何でも屋『星屑の軌跡』〜
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