王都の教会、大混乱!
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!?!?」
千乃の悲鳴が響いた、その頃。
王都中央区。
国内最大の聖堂を持つ王都教会では。
ゴォォォォォ……
天井近くにある巨大なステンドグラスが、突然まばゆい金色に輝き始めた。
「な、何事ですか!?」
若い神官が慌てて立ち上がる。
次の瞬間。
カラン……
カラン、カラン、カラン、カランッ!!
礼拝の鐘が、誰も触れていないのに鳴り始めた。
「鐘が勝手に!?」
「止まりません!」
祭壇の上に置かれた聖典が、ばさばさと勝手にページをめくり始める。
「ひっ……!」
神官たちは慌てて聖典を押さえる。
しかし。
止まらない。
ページは高速でめくられ。
ある一ページで、ぴたりと止まった。
そこには、古代文字でこう書かれていた。
> **『神格を宿す者、再び地上へ降り立つ。』**
「……。」
「……え?」
部屋が静まり返る。
「ふ、再び……?」
その瞬間。
祭壇中央の巨大な水晶が眩く輝いた。
ピィィィィィン!!
光が天井まで一直線に伸びる。
「魔力反応、急上昇!」
「観測不能です!」
「聖属性反応が限界を超えています!」
「そんな数値ありましたっけ!?」
「ありません!」
「作ってください!」
「無茶言わないでください!」
教会中が大混乱だった。
---
その騒ぎを聞きつけ。
大司教が姿を現す。
真っ白な法衣をまとった老人は、静かに水晶へ手を添えた。
「……静まりなさい。」
部屋が少しだけ落ち着く。
しかし。
水晶の輝きは収まらない。
むしろ。
さらに強くなっていく。
「大司教様!」
「何が起きているのですか!?」
老人は目を閉じる。
流れ込んでくる膨大な魔力。
その質を読み取る。
そして。
ゆっくりと目を開いた。
「……神だ。」
全員が息を呑む。
「神……?」
「神が降臨されたのですか!?」
老人は首を横に振る。
「違う。」
「神、そのものではない。」
「では……。」
「神へ至る資格を持つ者。」
部屋が再び静まり返る。
誰も言葉を発せられない。
「まさか……。」
若い神官が震える声で呟く。
「伝承の……。」
「神格保持者……。」
老人は小さく頷いた。
「その可能性が高い。」
---
その頃。
王都の街では。
「見ろ!」
「空だ!」
人々が一斉に空を見上げていた。
金色の光が、王都の外れから空高く伸びている。
「あんな光、見たことない!」
「勇者か?」
「新しい魔王か?」
「いや、聖なる光だ!」
「あれ、世界修正体を倒した子がいた方向じゃ……。」
噂は一瞬で広がっていく。
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教会でも。
一人の神官が慌てて飛び込んできた。
「大司教様!」
「報告です!」
「申してみなさい。」
「光の発生地点が判明しました!」
「どこだ。」
神官は書類を見る。
そして。
少し困ったような顔になった。
「王都西部の草原です。」
「そこにいた人物は……。」
「……。」
「誰だ。」
神官はごくりと唾を飲み込む。
「千羽千乃さんです。」
「…………。」
部屋が完全に止まった。
「……あの。」
若い神官が恐る恐る口を開く。
「世界を救った、あの?」
「はい。」
「恋愛ギルドによく追いかけられている?」
「はい。」
「車椅子を卒業したばかりの?」
「はい。」
「神格保持者が?」
「……はい。」
数秒後。
大司教は、人生で一番深いため息をついた。
「……情報量が多すぎる。」
誰も反論できなかった。
その頃。
当の千乃は。
六枚の光の翼をばたばたさせながら。
「飛べた!!飛べたけどッ!!降りられないぃぃぃぃ!!」
「真銀ぉぉぉぉぉーーー!!」
「助けてぇぇぇぇぇッッッッ!!」
神々しい姿とはあまりにもかけ離れた悲鳴を上げていた。




