え、神?!
神靴を完成させてから数日。
千乃は毎日のように王都の外で走る練習をしていた。
最初は歩くだけだった。
それが走れるようになり。
今ではライより速く駆けられるほどになっていた。
「もう一周!」
「まだ走るの!?」
ララがぴょんぴょん跳ねる。
「今日は調子がいいんだもん!」
千乃は笑うと、神靴で地面を蹴った。
タンッ!
一瞬で景色が流れる。
「相変わらず速いな……。」
真銀は苦笑しながら腕を組む。
ライも静かに頷いた。
「神靴の適応率が、さらに上がっている。」
アイシィは空を見上げながら微笑む。
「千乃さん、楽しそうです。」
「えへへー!」
千乃は大きく手を振る。
「もっと行ってくるねー!」
そのまま草原の奥へ。
ぐんぐん速度を上げていく。
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「ん?」
しばらく走っていると。
草むらの中で、何かが光っていた。
「……魔法石?」
手のひらほどの、小さな結晶。
半透明で、どこか神秘的な輝きを放っている。
「落とし物かな?」
千乃は何気なく拾い上げた。
その瞬間。
パキッ。
「え?」
結晶に、小さなひびが入る。
「わわっ!」
慌てて両手で支えた。
「ご、ごめん!」
しかし。
結晶は砕けることなく。
ふわり、と浮かび上がる。
そして。
千乃の胸元へ、すうっと吸い込まれた。
「え?」
ピタリ。
辺りが静まり返る。
風も止む。
鳥のさえずりも聞こえない。
「……?」
千乃が首を傾げた、その時だった。
ゴォォォォォッ!!
真紅の魔力が、一気に噴き上がる。
「きゃっ!?」
続いて。
眩しいほどの金色の光。
そして。
白銀の光まで混ざり始めた。
「な、何これ!?」
遠くにいた真銀たちも異変に気付く。
「千乃!」
真銀が顔色を変える。
「魔力が暴走してる!」
ライが駆け出した。
「あの反応は危険だ!」
アイシィも翼を広げる。
「急ぎましょう!」
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千乃は立ったまま動けなかった。
身体が熱い。
でも。
苦しくはない。
むしろ。
どこか懐かしい感覚。
『条件を確認。』
頭の中に、声が響く。
『神格因子、適合。』
「……え?」
『神魔境界、第一段階を解放します。』
「ちょっ、待っ……!」
返事をする間もなく。
光が弾けた。
ドォォンッ!!
眩しい光柱が空へ伸びる。
雲を突き抜け。
王都からも見えるほどの巨大な柱となった。
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「うそだろ……。」
真銀は立ち止まる。
光の中心。
そこに立つ少女の姿が、ゆっくりと見え始める。
メタルピンクのゆるふわウェーブの髪。
その髪は、毛先にかけて淡い金色へと輝いていた。
右目の金色は、まるで太陽のように神々しく。
左目のピンクは、これまでと変わらない優しい色。
純白を基調に、真紅と金の紋様が浮かぶ衣。
背中には、魔力でできた六枚の光の翼。
足元には神靴が眩く輝いている。
「……。」
ララが口を開けたまま固まる。
「き、きれい……。」
アイシィも思わず見惚れる。
「これが……。」
「神モード。」
ライは静かに息を呑んだ。
「神魔境界の。」
「神側。」
そして。
当の本人は。
自分の手を見て。
翼を見て。
空を見上げて。
数秒固まったあと。
「…………。」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!?!?」
王都中に、千乃の大絶叫が響き渡った。




