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恋愛ギルドVS逃走のプロたち

「逃げます!」


千乃が元気よく宣言した。


「了解!」


真銀も迷わず頷く。


「待ちなさぁぁぁぁぁい!!」


ラブリー・スミスが両手をぶんぶん振る。


「今回こそ最後まで査定しますよぉぉぉ!!」


「その『今回こそ』、毎回聞いてる気がする!」


千乃のツッコミと同時に、真銀が車椅子のグリップを握った。


「しっかり掴まってろ!」


「うん!」


ガラッ!!


車輪が勢いよく回り、石畳を滑るように走り出す。


「追ってください!」


「第一班、右へ!」


「第二班、正面!」


「第三班、回り込めー!」


恋愛ギルドの査定員たちが一斉に散っていく。


「相変わらず統率力だけは無駄に高いな……。」


真銀が苦笑した。


「褒めてませんよね!?」


「褒めてない。」


---


「ララ!」


「任せて!」


真っ白もふもふのうさぎ姿のララがぴょんっと高く跳ぶ。


「こっちだよー!」


そのまま市場の方へ駆け出す。


「いたぞ!」


「白いうさぎを追え!」


査定員の半分が一斉にララを追い掛けた。


ララは振り返りながら笑う。


「えへへー!」


「そっちはハズレだよー!」


「しまっ……!」


「囮だぁぁぁ!!」


---


その頃。


反対側では。


ライが悠々と歩いていた。


「狼だ!」


「追え!」


「……。」


ライはため息をつく。


「やれやれ。」


次の瞬間。


シュンッ。


姿が消えた。


「え?」


「どこ行った!?」


気付けば査定員たちの後ろ。


査定員の(俺に気付けないバカ)皆さん(バカども)はい、こんにちは!(こっちを向きやがれ)


「うわぁぁぁっっっっっっ!?」


完全に翻弄される。


---


空では。


アイシィが小さなドラゴンの姿でふわふわ飛んでいた。


「ドラゴンです!」


「飛んでます!」


「追いましょう!」


「飛べる人いますか!?」


「いません!」


「終了です!」


「早っ!」


アイシィはくすっと笑った。


「皆さん、楽しそうですね。」


---


その隙に。


真銀は路地裏へ滑り込む。


「よし。」


「撒いたか。」


「うん。」


千乃がほっと息をつく。


「今回は逃げ切れそう……。」


「見ぃぃぃぃつけましたぁぁぁぁぁ!!」


「早い!」


二人同時に叫んだ。


壁の向こうから、ひょこっと顔を出したラブリー・スミス。


「恋愛観測に死角はありません!」


「なんで分かるんですか!?」


「勘です!」


「勘なの!?」


真銀が思わず吹き出しそうになる。


「お前、それだけで見つかるのか……。」


「恋する二人の気配は!」


「私には見えるのです!」


「恋してません!」


「否定いただきました!」


カリカリカリ。


どこからともなく記録係が現れ、ノートに書き始める。


『本日十二回目の否定』


「数えてるの!?」


千乃が思わず頭を抱える。


---


その時だった。


ララ、ライ、アイシィが戻ってくる。


「逃げ切った!」


「こちらも問題ない。」


「皆さん、戻りました。」


真銀は三人を見る。


そして。


にやり、と笑った。


「千乃。」


「いつもの、やるか?」


千乃も笑顔になる。


「うん!」


ララが耳をぴんっと立てた。


「作戦!」


ライも頷く。


「了解。」


アイシィが小さく翼を広げる。


「久しぶりですね。」


その笑顔を見たラブリーが首を傾げた。


「……?」


「何か企んでいますね?」


真銀が静かに言う。


「じゃあ。」


「三秒後。」


「全員、一斉に散開。」


「「「了解!」」」


恋愛ギルド二十七人。


対するは。


息ぴったりの五人。


勝負は、まだ終わりそうになかった。

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