↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/183

イツモミテルヨ?

「……ようやく帰った。」


真銀が深いため息をつく。


恋愛ギルドの一団は、最後まで「尊いです!」を連呼しながら去っていった。


その場に残ったのは、静けさだけ。


……いや。


「ねぇねぇ!」


静かじゃなかった。


ララがぴょん、と千乃の車椅子の前へ回り込む。


「結局、カードどうなったの?」


「あっ。」


千乃も思い出したように声を漏らす。


「そういえば更新されたんだよね。」


真銀は嫌な予感しかしなかった。


「……見なくていい。」


「えー!」


「気になる!」


ララはすでに千乃の手元にある二枚のカードを見つけている。


「ほらほら!」


「千乃のも真銀のもあるよ!」


「勝手に渡していったからな……。」


ライが苦笑する。


「ほんと、あのギルドらしい。」


アイシィも頷いた。


「帰る前に、いつの間にか車椅子のポケットへ入れていた。」


「気付かなかった……。」


千乃はカードを取り出す。


表面は淡いピンク色。


中央には小さなハートの紋章。


そして、魔力を流すと文字が浮かび上がった。


---


**恋愛ギルドカード**


**登録番号**

特別観察対象 No.001


**氏名**

千羽 千乃


**恋愛適性**

★★★★★


**天然指数**

測定不能


**鈍感指数**

測定不能


**現在の進展率**

99.999999%


**告白成功率**

99.999999%


**信頼度**

上限突破(更新)


**夫婦オーラ**

計測器故障


**総合評価**


> 問題点……本人。


---


「本人って何!?」


千乃が思わず叫ぶ。


ララは大笑いした。


「ほんとに書いてある!」


ライも吹き出しそうになるのを堪える。


「……容赦ないな。」


「本人たちは否定しています。」


アイシィが下の文字を読み上げる。


「なお、周囲からは夫婦として認識されています。」


「追い打ちだ。」


真銀は頭を抱えた。


「俺のも嫌な予感しかしねぇ……。」


恐る恐るカードへ魔力を流す。


文字がゆっくり浮かぶ。


---


**恋愛ギルドカード**


**氏名**

夜坂 真銀


**恋愛適性**

★★★★★


**鈍感指数**

やや高め


**保護欲**

限界突破


**千乃優先度**

最優先


**危険時行動**


> 自身より千乃を優先。


**総合評価**


> 問題点……本人。


---


「おい。」


真銀の声が低くなる。


「何でこんなことまで知ってんだ。」


ライが真面目な顔で答える。


「恋愛ギルド七不思議の一つだ。」


「答えになってねぇ。」


ララはカードを覗き込みながら笑う。


「『千乃優先度・最優先』だって!」


「そのまんまだね!」


「笑うな。」


「えへへ!」


アイシィはふとカードの下を見つめた。


「まだ続きがある。」


「え?」


全員が覗き込む。


カードの一番下。


小さな文字が、ゆっくり浮かび上がっていく。


---


**次回定期査定予定日**


未定


※進展があった場合、即時査定を実施します。


---


全員が固まった。


「……即時?」


千乃が小さく呟く。


ライも眉をひそめる。


「つまり。」


アイシィが静かに続ける。


「何かあるたびに来る。」


「えぇぇぇぇ!?」


ララが一番大きな声を上げた。


「じゃあ手を繋いだだけでも?」


その瞬間。


全員の背筋に寒気が走る。


どこからともなく、風が吹いた。


カサッ。


近くの植え込みが、わずかに揺れる。


「…………。」


真銀はゆっくり視線を向ける。


誰もいない。


……はずだった。


葉っぱの隙間から、ハート型のメガネが一瞬だけきらりと光る。


「……気のせいだよね?」


千乃が恐る恐る聞く。


真銀は真顔で答えた。


「いや。」


「絶対いる。」


その直後。


植え込みの向こうから、小さな声が聞こえた。


「……尊い。」


「「「いるーーーっ!!?」」」


街中に響いた悲鳴と笑い声は、しばらく止まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。