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最終決戦4

 黒い光が一直線に迫る。


 狙いはただ一人。


 千羽千乃。


「千乃ぉぉぉっ!!」


 真銀は迷わず飛び出した。


 千乃の前へ。


 その身体を盾にするように立ちはだかる。


---


 ドォォォォォンッ!!


 黒い光が真銀へ直撃した。


 凄まじい轟音。


 空間が激しく震える。


 しかし。


「……?」


 王が初めて小さく眉を動かした。


 煙が晴れる。


 そこには、剣を構えた真銀が立っていた。


「言っただろ。」


 真銀はニヤリと笑う。


「通さないって。」


 傷一つない。


 千乃の結界が、真銀を完全に守っていた。


---


「解析。」


「完了。」


 王が静かに呟く。


「夜坂真銀。」


「完全防護対象。」


「排除不能。」


 その瞬間。


 王は初めて戦い方を変えた。


---


 千乃へ向けていた視線を外し。


 ゆっくりとノートを見る。


「ならば。」


「原因を排除する。」


「え……?」


 千乃の手の中のノートへ、王が手をかざした。


---


 空間が歪む。


 ノートだけを消そうとする黒い力。


「しまっ……!」


 千乃は慌てて抱き締める。


 だが。


 黒い光がノートを包み込もうとした、その瞬間。


 パァァァァッ……


 ノートが真紅に輝いた。


---


「なっ……!」


 黒い力が弾き返される。


 王が一歩後ろへ下がった。


「拒絶……?」


 老人が目を見開く。


「ノート自身が……。」


「持ち主を守った。」


---


 ページがひとりでに開く。


 パラッ。


 パラパラパラッ。


 誰も触れていない。


 それなのに。


 ページが次々とめくられていく。


---


「また始まった……。」


 千乃は息を呑む。


 最後のページではない。


 その数ページ手前。


 白紙だったページへ。


 真紅の文字が、一文字ずつ刻まれ始めた。


 まるで誰かが見えないペンで書いているようだった。


---


 王は、その光景を見つめる。


 そして。


 初めて、はっきりと焦りを見せた。


「停止。」


「停止しろ。」


「その記述を。」


「止めろ。」


---


「え?」


 千乃は驚く。


「私じゃないよ!」


「勝手に書いてる!」


 本当に書いていない。


 両手はノートを支えているだけ。


 文字は、勝手に増えていく。


---


 ララが震えた声で言う。


「王が……。」


 ライが続ける。


「焦ってる。」


 アイシィは静かに頷いた。


「初めて見た。」


---


 老人は笑みを浮かべる。


「ようやくか。」


「何?」


 真銀が尋ねる。


 老人はノートを見つめながら答えた。


「あのノートは。」


「戦いを記録しておる。」


「戦いを……?」


「そうじゃ。」


「持ち主が限界へ近づくほど。」


「新たな力を書き加える。」


---


 真紅の文字は止まらない。


 一文字。


 また一文字。


 ページがゆっくりと埋まっていく。


 しかし。


 最後のページだけは、まだ閉じたままだった。


---


 王は静かに右手を握る。


「これ以上。」


「完成させるわけにはいかない。」


 その身体から、今までで最も濃い黒い魔力が噴き出した。


 奈落全体が揺れる。


 世界が震える。


 真銀は剣を構え直した。


「来るぞ!」


 千乃はノートを抱き締める。


 ページはなおも、勝手に文字を書き続けていた。


 王は、そのページが完成する前に決着をつけることを決めたのだった。

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