表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
46/94

最終決戦1

 真紅の結界が、世界を包み続ける。


 空も。


 大地も。


 街も。


 森も。


 奈落も。


 すべてが柔らかな真紅の光に守られていた。


 その代わり。


 結界の中心に立つ千乃の腕には、少しずつ傷が増えていく。


 ぽたり。


 血が地面へ落ちた。


 しかし、血が落ちた場所ですら結界に守られ、傷一つ付かなかった。


---


「千乃。」


 真銀が心配そうに声をかける。


「まだ大丈夫。」


 千乃は笑う。


「結界は維持できる。」


「無理するな。」


「無理はしてる。」


「でも、無茶はしない。」


 そう言って、ノートを開いた。


---


 世界修正体の王は静かに立っている。


 その表情は相変わらず変わらない。


「戦闘開始。」


「対象。」


「千羽千乃。」


「夜坂真銀。」


「世界修正を実行する。」


 その声と同時に。


 王の足元から、黒い魔法陣が幾重にも広がった。


 空間そのものが歪み始める。


---


「来る!」


 ライが叫ぶ。


 直後。


 何もない空間から無数の黒い刃が生まれた。


「真銀!」


「分かってる!」


 真銀は地面を蹴る。


 剣を振るい、黒い刃を次々と叩き落としていく。


 だが。


 一振りで十本。


 二振りで二十本。


 数が減らない。


「くっ……!」


---


「ララ!」


「任せて!」


 白い毛並みの小さなうさぎは一瞬で人間の姿へ変わる。


 純白の髪。


 青い瞳。


 そして巨大な魔力。


「えいっ!」


 ララが両手を前へ突き出す。


 青白い結界が展開され、黒い刃を受け止めた。


 衝撃で地面が揺れる。


 しかし。


 千乃の結界のおかげで、大地はひび一つ入らない。


---


「アイシィ!」


「了解。」


 巨大な氷竜が空へ舞い上がる。


 翼を一振り。


 何百本もの氷柱が生まれ、黒い刃を撃ち落としていく。


 凄まじい轟音が響く。


 それでも。


 世界は傷つかない。


---


 王は静かに呟く。


「結界。」


「解析完了。」


「突破を開始。」


 黒い魔力が一本の槍となって凝縮される。


 今までとは比較にならない密度。


 老人が青ざめた。


「まずい!」


「あれは結界を狙っておる!」


---


 千乃は一歩前へ出る。


「結界は壊させない。」


 ノートが光る。


 ページがめくられる。


深淵蒼王(アビスブルーキング)無限刻崩絶対(インフィニット)神罰連鎖消滅(パニッシュメント)(ウェーブ)


 真紅の巨大な斬撃が、一直線に放たれた。


 王の黒い槍と正面から衝突する。


 轟音。


 閃光。


 世界が白く染まる。


---


 光が消えた。


 槍は消滅していた。


 だが。


 王は無傷。


「威力。」


「前回比、三・七倍。」


「成長を確認。」


 淡々と分析するだけだった。


---


「効いてない……。」


 真銀が歯を食いしばる。


「いや。」


 老人は王を見つめる。


「効いておる。」


「見ろ。」


 王の外套。


 裾がほんの少しだけ切れていた。


 たったそれだけ。


 しかし。


 世界修正体の王が初めて受けた傷だった。


---


 王は切れた布を見つめる。


「損傷。」


「確認。」


 そして。


 ゆっくりと千乃を見る。


「評価を変更。」


「危険度。」


 一瞬、間が空く。


「最大。」


 その瞬間。


 王の背後に、今まで一度も見せなかった巨大な黒い魔法陣が出現した。


 何重にも重なった魔法陣は、空を覆い尽くし、奈落全体を影で包み込む。


 老人の顔から血の気が引いた。


「本気じゃ……。」


「奴が、本気で千乃を消しに来るぞ……!」


 真銀は剣を強く握り直す。


「だったら。」


「俺たちも、本気で行く。」


 千乃は静かに頷いた。


 結界を維持したまま、ノートを握る手に力を込める。


「絶対に。」


「この世界は、誰一人傷つけない。」


 世界を守る結界の内側で。


 最終決戦は、ついに本当の幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ