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れっつしゅぎょう☆

 王が去ってから三日。


 街には平和が戻った。


 ……ように見えた。


 だが。


「絶対、戻ってくる。」


 千乃は宿の机にノートを広げながら呟く。


 あの王は言った。


 『成長せよ』


 つまり。


 次に会う時は、本気で消しに来る。


---


「で。」


 真銀が椅子へ座る。


「どうする?」


「強くなる。」


 即答だった。


「それしかない。」


「だな。」


---


 ララがぴょんっと机へ飛び乗る。


「修行!」


「修行!」


 アイシィも頷く。


「私も付き合う。」


 ライは腕を組む。


「だが、闇雲では意味がない。」


「今必要なのは分析だ。」


---


 千乃はノートをめくる。


「今まで使った技……。」


 ページには無数の技名。


 どれも今までの戦いを支えてきた技だった。


「天地創世蒼煌絶界終焉断罪覇王閃」


「虚空蒼雷無限断罪剣」


「天核蒼滅神罰撃」


「無限蒼空終末断罪剣」


「いっぱいあるね。」


「全部使える。」


「でも。」


 千乃はページを閉じた。


「王には足りない。」


---


「理由は?」


 真銀が尋ねる。


 千乃は少し考えてから答えた。


「技は強い。」


「でも。」


「私が追いついてない。」


「……なるほど。」


 真銀は納得した。


 技の性能ではない。


 使う本人が、その力を引き出しきれていないのだ。


---


 その時。


 コンコン。


 部屋の扉が叩かれた。


「失礼しまーす!」


 聞き覚えのある声だった。


「来ちゃいました!」


「……。」


 千乃が嫌な予感しかしない顔になる。


 扉を開けると。


「こんにちは!」


 ピンク色の制服。


 恋愛ギルドだった。


「なんで!?」


---


「査定ではありません!」


 女性は元気よく首を振る。


「今日は応援です!」


「応援?」


「はい!」


 彼女は大きな箱を机へ置いた。


「恋愛ギルド特製!」


「お弁当です!」


「……え?」


---


 箱を開ける。


 サンドイッチ。


 スープ。


 サラダ。


 果物。


 かなり豪華だった。


「修行には栄養が必要です!」


「なるほど。」


 真銀は感心する。


「意外とまとも。」


「意外とは何ですか!」


---


「それと。」


 女性は笑顔で二人を見る。


「無理だけはしないでください。」


「世界を救う前に。」


「ちゃんと生きて帰ってきてくださいね。」


 その言葉だけは、とても真剣だった。


 千乃は少し驚きながら笑う。


「……うん。」


「ありがとう。」


---


 恋愛ギルドが帰ったあと。


 ララはサンドイッチを頬張る。


「おいしー!」


 ライも静かに食べていた。


 アイシィはスープを気に入ったらしい。


「温かい。」


---


 食事を終えると。


 千乃は立ち上がる。


「よし。」


「修行しよう。」


 真銀も剣を背負う。


「どこで?」


 千乃は笑った。


「奈落。」


「また!?」


「一番強い魔物がいる場所だもん。」


 ララは飛び跳ねる。


「久しぶり!」


 ライは苦笑する。


「帰ってきたばかりなのにな。」


 アイシィは翼を広げた。


「送る。」


「今回は落ちなくていい。」


「飛んで行こう。」


 その一言に全員が笑った。


「確かに、そのほうが早い。」


 こうして二人は、世界修正体の王との再戦に備え、新たな修行へと旅立つ。


 そして誰も気づいていなかった。


 千乃の空想ノート。


 最後のページ。


 『虚』の隣に、いつの間にかもう一文字。


 『滅』


 真紅の文字が、静かに刻まれていた。

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