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恋愛ギルド

 その日、ギルドで依頼を終えた二人は受付へ向かっていた。


「はい、討伐確認しました!」


 受付嬢が笑顔で書類を受け取る。


「これで報酬を……」


 その途中だった。


 ギルドの扉が勢いよく開く。


「見つけたぁぁぁぁ!!」


「え?」


 突然、ピンク色の制服を着た集団がギルドへ駆け込んできた。


 全員、胸元にはハート型のバッジを付けている。


 先頭にいた女性が二人を指差した。


「千羽千乃さん!」


「夜坂真銀さん!」


「あなたたちを恋愛ギルドへスカウトしに来ました!!」


「…………は?」


 二人の声がぴったり重なった。


---


「恋愛……ギルド?」


 千乃が首をかしげる。


「はい!」


 女性は胸を張った。


「私たちは、恋愛成就・夫婦円満・告白相談・デートプラン作成などを専門とする、恋愛ギルドです!」


「そんなギルドあったの!?」


「あります!」


 受付嬢が苦笑する。


「一応……あります。」


「一応なんだ……。」


---


「そして!」


 女性は一枚の紙を取り出した。


「あなたたちは長期間にわたり共同行動を行い、お互いを気遣い、命を預け合い、日記を読み合い、自然な距離感を維持しています!」


「待って。」


 千乃が止める。


「なんでそこまで知ってるの?」


「恋愛ギルドの情報網を甘く見ないでください!」


「怖い怖い!」


---


「ということで。」


 女性は笑顔で二枚のカードを取り出した。


「ギルドカードです!」


「作っちゃいました!」


「勝手に!?」


 二人は同時に叫ぶ。


 カードにはこう書かれていた。


 所属ギルド:恋愛ギルド 会員名 :千羽千乃  


 性別   :女性    相手  :夜坂真銀

 

 天然指数 :SSS    恋愛適性:S+

 

 告白予想時期 未定


 




---


 もう一枚。


 所属ギルド:恋愛ギルド 会員名 :夜坂真銀


 性別   :男性    相手  :千羽千乃   


 鈍感指数 :SSS    恋愛適性:S

 

 告白成功率:99.8%



「何この評価!?」


 真銀が思わずツッコむ。


---


「なお。」


 女性がにこっと笑う。


「お二人は『将来有望カップル候補』として登録済みです。」


「登録済み!?」


「取り消してください!」


 千乃が真っ赤になって叫ぶ。


「申し訳ありません。」


「取り消しには双方の独身証明、意思確認、担当審査員三名の承認、理事会決議、恋愛ギルド本部の最終承認が必要です。」


「めちゃくちゃ面倒!」


---


 そのとき。


 ギルド中の冒険者たちが二人を見る。


「ああ、やっぱり。」


「付き合ってなかったのか。」


「逆に驚きだ。」


「もう夫婦みたいなもんだと思ってた。」


「えぇぇぇ!?」


 千乃は頭を抱える。


 真銀も額に手を当てる。


「……誤解されすぎだろ。」


「そういうところですよ!」


 恋愛ギルド一同が息ぴったりにツッコんだ。


 その日、二人は人生で一番、戦闘より疲れたのだった。

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