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ホラーメルト 別の意味で災害級ですね。怖いのでほんとにやめてください。わぁぁぁっっっっっっっ!?

 クオンが消えた翌朝。


 星氷神城は、完全な混乱状態に陥っていた。


「クオンもいない!?」


「どこを探しても見つからない!」


「城門の外にもいません!」


「転移魔法の痕跡もない!」


 ライが城内を走り回り、アイシィは魔力の痕跡を探している。


 ララは半泣きになりながら、あちこちを駆け回っていた。


「クオンー!」


「レオンー!」


「シオンー!」


「どこにいるのー!」


 カミルも城の上空から周囲を見渡している。


「我の感知範囲にも反応がない」


 真銀は険しい表情で地図を広げていた。


「三人とも、同じように消えている」


「それが一番おかしい」


 千乃は机に手をつく。


「レオンも、シオンも、クオンも。誰かに連れ去られたなら、何かしら痕跡が残るはずなのに……」


「それだけ相手の能力が特殊ということかもしれない」


 真銀が答える。


「……」


 千乃は黙り込む。


 昨日まで三人は笑っていた。


 中庭を走り回って。


 メルトと遊んで。


 いつものように千乃を「お母さん」と呼んでいた。


 あれ?いつの間にか「ママ」じゃなくなってる?


 それはさておき、いや、おいちゃだめだけど、今は誰もいない。


「……絶対に見つける」


 千乃が呟いた。


「三人とも、絶対に連れ戻す」


 その時。


「ぷる……」


 部屋の隅から、小さな音がした。


 全員が振り返る。


 そこにいたのはメルトだった。


 普段より小さくなっている。


 ぷるぷると身体を震わせながら、じっと千乃を見ていた。


「メルト……?」


「ぷる」


 メルトは千乃の足元まで転がってくる。


「どうしたの?」


「ぷる……」


 千乃がしゃがむ。


 するとメルトの身体の一部が、ぐにょんと盛り上がった。


「……?」


 盛り上がった部分が横へ伸びる。


 さらに反対側も伸びる。


 そして。


 ぺたっ。


 二つの突起が、顔のような形になった。


「……」


 千乃が固まる。


「……え?」


 メルトの身体に。


 簡単な顔ができていた。


 丸い目が二つ。


 その下に、小さな口。


「……メルト?」


「ぷる!」


 顔が笑った。


「…………」


 千乃は目を丸くする。


「感情表現……覚えたの?」


「ぷるぷる!」


 メルトの頭上に。


 突然。


 巨大な「!」が現れた。


「うわっ!?」


 千乃が飛び退く。


「びっくりした!」


「ぷる!」


 今度は「?」が出る。


「……質問してるの?」


「ぷる!」


 メルトが身体を揺らす。


 どうやら完全に意思疎通を始めたらしい。


 ララが目を輝かせる。


「すごーい!」


「メルト、おしゃべりできるの?」


「ぷる!」


「じゃあ、クオンたちどこ?」


「……」


 メルトの顔が。


 ゆっくりと変化した。


 笑顔から。


 困ったような顔へ。


 そして。


「?」


 頭上に疑問符。


「分からないのかな?」


 アイシィが首を傾げる。


 するとメルトは、突然身体を大きく震わせた。


「ぷるるるるるるっ!」


「どうしたの?」


 メルトが床にぺたっと広がる。


 そして。


 その身体の下から。


 にゅっ。


「……?」


 一本。


 さらに。


 にゅっ。


 二本目。


「…………」


 千乃の顔が引きつる。


「待って」


 メルトの身体の下から伸びてきた二本の触手のようなものが、床を掴んだ。


 そして。


「て」


 片方が前へ出る。


「て」


 もう片方が前へ出る。


「てて」


 さらに進む。


「ててててててててててててっっっっ!」


「ぎょえッ!?」


 千乃が叫んだ。


「なにそれ!?」


 メルトが二本の触手を脚のように使って、物凄い速度で走り始めた。


 ぷるぷるしたスライムの身体。


 その下から生えた二本の細長い触手。


 それが床を高速で叩きながら、


 ててててててててててててててててててててっ!


 と移動していく。


「待って待って待って!」


 千乃が後ずさる。


「怖い怖い怖い!」


 ララは大喜びだった。


「メルト速ーい!」


「ぷるるるる!」


 メルトがさらに加速する。


 てててててててててててててててててっ!


「やめてぇぇぇぇぇ!」


 千乃が逃げる。


「なんで私が追いかけられてるの!?」


 真銀は無言でその光景を眺めていた。


「……メルト」


「ぷる?」


「移動方法は、もう少し普通にできないか?」


 メルトが止まる。


「?」


 頭上に疑問符。


「いや、まあ……本人が気に入ってるならいいけど」


 真銀は諦めた。


 メルトは嬉しそうに身体を揺らす。


 そして。


「!」


 頭上に大きな感嘆符を作った。


 ララが拍手する。


「かわいい!」


「ぷる!」


 メルトも嬉しそうに跳ねる。


 その時。


 千乃が、ふと真剣な顔になった。


「……待って」


「どうした?」


「メルト」


「ぷる?」


「もう一回、さっきの質問してみる」


 千乃はメルトの前にしゃがんだ。


「クオンたちのこと、何か知ってる?」


「……」


 メルトの身体が静かに揺れる。


 顔が変わる。


 笑顔が消える。


 そして。


 頭上に。


「?」


 疑問符が浮かんだ。


「分からない?」


「ぷる……」


 メルトは小さく縮む。


 だが。


 突然。


「!」


 今度は感嘆符。


 そのまま身体を反転させる。


「ぷる!」


「……?」


 メルトが走り出した。


 ててててててててててててっ!


「え、ちょっと!」


 メルトは廊下を曲がる。


「待って!」


 千乃たちも追いかける。


 メルトはそのまま城の奥へ向かい、誰も普段使わない古い通路へ入っていった。


「こんなところに通路あった?」


 千乃が驚く。


「私も知りません」


 アイシィが答える。


 メルトは止まらない。


 てててててててててっ!


 そして。


 古い扉の前で止まった。


「ぷる……」


 身体が少し震える。


 頭上に。


「?」


 疑問符。


 そして。


 扉を見る。


 千乃はゆっくりと扉へ近づいた。


「……この先に何かある?」


「ぷる」


 メルトの頭上に。


 今度は。


「!」


 大きな感嘆符が浮かんだ。


 千乃は扉に手を伸ばす。


 すると。


 扉の向こうから。


 かすかに。


 魔力の気配がした。


「……これ」


 千乃の表情が変わる。


「誰かいる」


 真銀が千乃の隣に立つ。


「三人か?」


「分からない。でも……」


 千乃は拳を握った。


「この先に、何かある」


 メルトは二本の触手を床につけたまま、扉をじっと見つめている。


 そして。


 その身体に。


 今までとは違う表情が浮かんだ。


 怒っているような。


 心配しているような。


 そんな顔。


 千乃はそれを見て、小さく笑った。


「メルトも、心配してくれてるんだね」


「ぷる……」


「ありがとう」


 千乃は扉の前に立つ。


「じゃあ、行こう」


 その瞬間。


 メルトの頭上に。


「!」


 巨大な感嘆符が浮かんだ。


 そして。


 にゅっ。


 二本の触手が伸びる。


 ててててててててててててててっ!


「だからその移動方法怖いってぇぇぇぇぇ!」


 緊迫していた城内に。


 千乃の悲鳴が響き渡った。

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