↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
211/260

眩しっ!!

 その日の午後。


 中庭では、クオンとレオン、シオンがメルトと遊んでいた。


「メルトー!」


「ぷる!」


 メルトは三メートルほどの身体をぷるぷる揺らしながら、三人の動きに合わせて形を変えている。トランポリンになったり、柔らかい壁になったり、時には巨大な滑り台になったりと、もはや災害級スライムというより万能遊具だった。


 そこへ千乃がやってくる。


「楽しそうだね!」


「お姉ちゃん!」


 クオンが手を振る。


「メルト、すごいよ!」


「ぷる!」


「今日は何してるの?」


「跳ねてる!」


「なるほど」


 千乃は少し考えてから、ふと思いついたように手を上げた。


「じゃあ、これ入れてみようかな」


「何?」


 真銀が尋ねる。


「ライトボール」


 千乃の手のひらに、淡い光の球が浮かぶ。


 魔法で作った小さな光球だ。普通なら周囲を照らすだけの簡単な魔法なのだが、千乃はメルトの前へ持っていくと、ふと思いついた。


「メルト、この中に入れてみる?」


「ぷる?」


「大丈夫。危なくないよ」


 メルトが少しだけ近づく。


 そして。


 ぷるん。


 身体の中に、ライトボールが入った。


「……」


「……」


「……」


 最初は何も起こらなかった。


「?」


 クオンが首を傾げる。


「失敗?」


 レオンも覗き込む。


「ぷる……?」


 メルト自身も不思議そうに揺れている。


 ところが。


 次の瞬間。


「……!」


 メルトの身体が。


 ぱっ。


 青く光った。


「おお!」


 シオンが声を上げる。


 そして。


 青。


 紫。


 緑。


 黄色。


 赤。


 桃色。


 白。


 黒。


 次々と色が変わっていく。


「すごい!」


 クオンが目を輝かせる。


「メルト、色がいっぱい!」


「ぷる!」


 メルトも楽しそうに身体を揺らす。


 すると。


 チカ。


 チカチカ。


 チカチカチカ。


 チカチカチカチカ。


「……」


 千乃。


「……」


 真銀。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 カミル。


 全員が、だんだん無言になる。


 なぜなら。


 メルトの色の変化が。


 明らかに速くなっていた。


 青!


 紫!


 緑!


 赤!


 黄色!


 水色!


 桃色!


 白!


 紫!


 青!


 赤!


 チカチカチカチカチカチカ。


「……」


 ララが。


「メルト!」


「ぷる!」


「きれー!」


「ぷるぷる!」


「もっと!」


「ぷる!」


 さらに光る。


 チカチカチカチカ。


 チカチカチカチカ。


「……」


 ライが。


「……何だ、これ」


 真銀。


「分からん」


 アイシィ。


「少し眩しいですね……」


 カミル。


「我の目にも少々刺激が強い」


 千乃は。


「……」


 じっとメルトを見る。


 そして。


「……これ」


 真銀。


「何だ?」


「ライトボール」


「うん」


「入れない方がよかった?」


「……」


「……」


「……たぶん」


「たぶん!?」


 千乃が笑う。


 しかしメルトは完全に楽しくなっていた。


「ぷるぷるぷるぷる!」


 チカチカチカチカチカチカ!!


「うわぁぁぁぁぁ!?」


 クオンが笑い出す。


「きれい!」


「レオン!」


「うん!」


「シオン!」


「うん!」


 三人もメルトの周りを走り始める。


 それに反応して、周囲の魔力まで変化する。


 青。


 紫。


 赤。


 緑。


 桃。


 白。


 黄色。


 そして。


 チカチカチカチカチカチカチカ。


 完全に中庭が、謎の光るスライムステージになった。


「メルト!」


 千乃が笑いながら呼ぶ。


「ぷる!」


「楽しい?」


「ぷるぷる!」


「じゃあ、もう少しだけ!」


 真銀が。


「千乃」


「なに?」


「それ、止める気あるのか?」


「……」


 千乃。


「ない!」


「即答か」


 ライがため息をつく。


「今日の中庭は諦めよう」


 アイシィ。


「そうですね」


 カミル。


「我も賛成だ」


 ララは。


「もっと光らせよう!」


「ララまで!?」


 そして。


 メルトが。


 ぷるん!


 と大きく揺れた。


 チカチカチカチカチカチカチカチカ!!


「わぁぁぁぁぁぁ!」


「きれー!」


「すごい!」


「ぷるぷる!」


 中庭が。


 光で埋め尽くされる。


 その様子を見ながら、千乃は楽しそうに笑った。


「……メルト」


「ぷる?」


「ライトボール入れたら」


「ぷる」


「めちゃくちゃ面白いね」


「ぷる!」


 こうして。


 災害級スライム・メルトには、新たな遊び方が発見された。


 ――ライトボールを入れて、魔力を変化させると。


 チカチカチカチカ。


 ひたすら色が変わる。


 なお。


 その日の夜。


 ライは真顔で言った。


「明日から中庭に」


「『メルトの光量制限』を作るべきだと思う」


 千乃。


「えー」


 ララ。


「反対!」


 クオン。


「僕も!」


 レオン。


「もっと見たい!」


 シオン。


「綺麗だった!」


 メルト。


「ぷるぷる!」


 真銀。


「……」


 アイシィ。


「……」


 カミル。


「……」


 三人とも。


「賛成する気がないな?」


 千乃。


「だって」


 にっこり。


「面白いから!」


 その瞬間。


「ぷるっ!」


 メルトがまた光り始めた。


 チカチカチカチカチカチカ。


「始まったぁぁぁぁぁぁ!?」


 ライの悲鳴が、中庭に響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。