狐少年、クオン
――それから。
数時間が経った。
千乃は。
まだ。
この場所から出る方法を探していた。
「……」
壁。
床。
天井。
どこを見ても。
同じような石造り。
「うーん……」
千乃が。
腕を組む。
「やっぱり普通の空間じゃない」
魔力の流れが。
おかしい。
転移魔法でもない。
結界でもない。
「……面倒だなぁ」
その時。
「……千乃」
「ん?」
後ろから。
小さな声。
振り返る。
そこに。
クオンがいた。
白い狐耳。
白い尻尾。
淡い青紫の瞳。
少し長めの白い髪。
相変わらず。
少し大きめの服を着ている。
「どうしたの?」
「……」
クオンは。
少し迷う。
「……何してるの?」
「ここから出る方法を探してる」
「……出られる?」
「出るよ」
千乃は笑う。
「絶対」
「……」
クオンは。
千乃を見る。
「……どうして?」
「え?」
「どうして」
「そんなに……」
クオンは。
言葉を探す。
「……平気なの?」
「平気じゃないよ」
千乃は。
少しだけ笑った。
「真銀たちが心配してると思うし」
「……」
「だから」
「早く帰らないと」
「……」
クオンは。
黙っている。
「クオンは?」
「……僕?」
「うん」
「帰りたい?」
「……」
クオンの耳が。
少し伏せられる。
「……帰る場所」
「ない」
「……」
千乃は。
何も言わなかった。
ただ。
クオンの隣に座る。
「じゃあ」
「……?」
「帰る場所、一緒に作ればいい」
「……」
クオンが。
千乃を見る。
「そんなの……」
「できるよ」
「……本当に?」
「うん」
千乃は。
にこっと笑う。
「私のところに来ればいい」
「……」
クオンの耳が。
ぴくっ。
「……いいの?」
「もちろん」
「……迷惑じゃない?」
「全然」
「……」
クオンは。
しばらく黙った。
そして。
ほんの少しだけ。
千乃の服の袖をつまむ。
「……」
千乃は。
それに気づく。
でも。
何も言わない。
クオンが。
自分から離すまで。
そのままにしておく。
◇
その日の夜。
千乃は。
みんなと一緒にいた人たちから。
少しだけ食べ物を分けてもらった。
「はい」
千乃が。
クオンへ差し出す。
「……」
クオンは。
食べ物を見る。
「……僕?」
「うん」
「……いいの?」
「もちろん」
クオンは。
少し迷って。
受け取る。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
クオンが。
小さく。
一口。
「……」
そして。
もう一口。
千乃は。
何も言わずに見ていた。
すると。
「……おいしい」
「ほんと?」
「……うん」
ほんの少し。
口元が。
緩んだ。
千乃も。
嬉しそうに笑う。
「よかった」
「……」
クオンは。
また食べる。
そして。
食べ終わった頃。
「……千乃」
「ん?」
「……明日も」
「うん?」
「……一緒にいて」
千乃は。
少し驚いて。
それから。
「もちろん」
笑った。
「ずっと一緒にいるよ」
「……」
クオンの尻尾が。
ふわっ。
と揺れた。
本人は。
気づいていない。
千乃は。
気づいていた。
でも。
やっぱり。
何も言わなかった。
◇
一方。
ユミナリア皇城。
「……見つからない」
真銀が。
地図を広げていた。
「千乃の魔力が」
「途中で完全に消えてる」
ライ。
「転移したなら」
「痕跡が残るはずだ」
カミル。
「残っていない」
「……」
カイル。
「じゃあ」
「千乃はどこにいるんだ?」
カミルは。
しばらく黙る。
「……別の場所だ」
真銀。
「別の場所?」
「この世界の」
「どこでもない場所」
「……」
真銀が。
拳を握る。
「なら」
「そこへ行く方法を探す」
柚乃。
「……うん」
パイライトも。
静かに。
「私の国で起きた事件だ」
「必ず見つける」
真銀。
「ああ」
「絶対に」
そして。
カミルが。
ふと。
黒い結晶石の欠片を見る。
「……」
「この力」
「やはり」
「神の力を模倣している」
ライ。
「ならば」
「その力を逆に辿れば」
「……」
カミルが。
目を細める。
「千乃のいる場所へ」
「繋がるかもしれん」
その頃。
千乃のいる場所では。
「……」
クオンが。
千乃の隣で。
静かに眠っていた。
白い狐耳が。
時々。
ぴくっ。
と動く。
千乃は。
その姿を見ながら。
「……絶対に」
小さく。
呟いた。
「一緒に帰ろうね」
そして。
千乃の右目。
金色の瞳が。
静かに輝いた。
この場所から。
必ず。
脱出するために。
翌朝。
千乃は。
壁の前に立っていた。
「……」
じーっ。
壁を見る。
クオンも。
少し離れたところから。
「……」
千乃を見る。
「……千乃」
「うん?」
「何してるの?」
「壁を壊そうとしてる」
「……」
クオンの耳が。
ぺたん。
「無理だよ」
「そうかな?」
「みんな試した」
「魔法でも?」
「うん」
「物理でも?」
「……うん」
「ふーん」
千乃は。
壁に手を当てる。
「……」
魔力を流す。
「……」
反応なし。
「なるほど」
千乃は。
腕を組んだ。
「魔法はダメ」
「うん」
「転移もダメ」
「うん」
「じゃあ」
千乃が。
拳を握る。
「物理」
「……」
ドンッ!!
拳が。
壁にめり込む。
「!?」
クオンが。
びくっ。
壁には。
小さな亀裂。
「……」
千乃。
「……」
クオン。
「……ヒビ」
「入ったね」
「……本当に?」
「本当に」
千乃の目が。
きらん。
「いける!」
「え?」
「これ、いけるよ!」
千乃は。
一歩。
後ろへ下がる。
「今度は蹴る」
「蹴るの?」
「うん」
千乃が。
右足を引く。
「……」
そして。
「気合は万能!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!
「!?」
衝撃が。
一気に走った。
壁が。
大きく揺れる。
床まで。
ビリビリと震える。
「……」
クオンの耳が。
完全に立っている。
「……今の」
「うん」
千乃は。
壁を見る。
「ちょっと強かったかも」
「ちょっと!?」
壁には。
さっきとは比べものにならないほど。
巨大な亀裂が走っていた。
「……」
千乃。
「……いけそう」
「まだやるの?」
「もちろん」
「……」
クオンが。
一歩下がる。
「少し離れてたほうがいい?」
「うん!」
千乃が。
構える。
今度は。
身体を横向きに。
くるっ。
と回転させる。
回転。
回転。
さらに。
もう一回転。
「千乃……?」
「遠心力!」
そして。
回転の勢いを。
全部。
右足へ。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ドッ!!
瞬間。
轟音。
ドォォォォォォォォォォォォォォン!!
壁が。
大きくたわんだ。
衝撃波が。
部屋の奥まで走る。
「うわっ!」
クオンが。
尻尾を押さえる。
「千乃!」
「大丈夫!」
千乃は。
壁を見ている。
「……」
壁に。
亀裂が。
蜘蛛の巣のように広がっている。
「すご……」
クオンが。
呟いた。
「……これなら」
「うん」
千乃が。
にっと笑う。
「もう一回!」
「まだ!?」
千乃は。
今度は。
シンプルに。
構える。
「普通に蹴る」
「普通……?」
「うん」
右足を。
引く。
「せーの」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォン!!
壁が。
一瞬。
大きく沈んだ。
そして。
次の瞬間。
パキパキパキッ!!
亀裂が。
一気に広がった。
「……!」
クオン。
「……!」
千乃。
「やっぱり!」
さらに。
千乃は。
助走をつける。
「今度は全力!」
「え」
ダッ!!
床を蹴る。
一瞬で。
距離が消える。
そして。
「気合ぃぃぃぃっっっっっっっっっっっっっっっ!!」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
爆音。
衝撃。
壁全体が。
大きく震える。
石の壁に。
無数の亀裂。
天井まで。
ビシッ!!
と走った。
「……」
クオン。
「…………」
千乃。
「…………」
そして。
壁の向こう側から。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。
という音。
「……」
クオンの耳が。
ぴんっ。
「……何かいる」
「うん」
千乃は。
足を。
もう一度。
構える。
「じゃあ」
「……」
「最後の一発」
「……最後?」
「たぶん」
「たぶんなんだ……」
千乃が。
大きく。
身体を後ろへ反らす。
そして。
その反動を。
全部。
蹴りへ変える。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
――バキィィィィィィィィィィィン!!
壁が。
砕けた。
「…………」
静寂。
クオンが。
口を開ける。
「……」
「……」
「……千乃」
「うん?」
「蹴りって」
「うん」
「こんなに強いものなの?」
「私の蹴りだからね!」
「……」
クオンは。
壁を見る。
巨大な穴。
その向こうには。
今まで隠されていた。
別の通路が。
続いていた。
「……」
千乃は。
拳を握る。
「見つけた」
クオンの耳が。
ぴんっ。
「出口?」
「たぶん」
千乃は。
笑った。
「行こう、クオン」
「……うん!」
二人は。
壊れた壁の向こうへ。
歩き出した。
その頃。
遠く離れた場所では。
真銀たちが。
「……」
突然。
何かを感じていた。
カミルが。
顔を上げる。
「……今のは」
ライ。
「何だ?」
カミル。
「……衝撃だ」
真銀。
「どこから?」
カミルは。
目を閉じる。
「……」
そして。
小さく。
「千乃だ」
「……!」
真銀が。
顔を上げた。
「生きてる」
「ああ」
カミルが。
答える。
「しかも」
一拍。
「……何かを破壊したようだ」
真銀。
「……千乃らしいな」
カイル。
「そこまで分かるのかよ」
ライ。
「分かる」
ララ。
「主だもん!」
真銀が。
少しだけ。
笑った。
「……そうだな」
そして。
「急ごう」
千乃のいる場所へ。
全員が。
走り出した。
通路を。
少し進んだところで。
千乃が。
「……あ」
突然。
立ち止まった。
「どうしたの?」
クオンが。
後ろから聞く。
「ちょっと待って」
千乃は。
自分のバッグを開いた。
「……」
ごそごそ。
「何かあるの?」
「うん」
千乃は。
バッグの中から。
一着のローブを取り出した。
「これ」
「……?」
桃色。
シンプルな。
ローブ。
装飾は。
何もない。
ただの布。
マントのように。
身体を包むだけ。
そして。
フードの上には。
「……猫耳?」
クオンが。
首を傾げた。
「猫耳付き!」
千乃が。
嬉しそうに言う。
「……なんで?」
「可愛いから!」
「……」
クオンは。
少し考える。
「……うん」
「何?」
「似合ってる」
「ほんと?」
「うん」
千乃は。
ローブを羽織る。
すると。
桃色の布が。
ふわっ。
と広がった。
背中から。
マントのように。
なびく。
「どう?」
「……」
クオンは。
じっと見る。
「……かわいい」
「よし!」
千乃は。
満足そうに頷いた。
「これはね」
「認識阻害のローブなの」
「……」
「私と真銀で色違い」
「真銀も持ってるの?」
「うん」
「何色?」
「水色」
「……」
クオンが。
桃色のローブを見る。
「……おそろい?」
「そう!」
千乃は。
嬉しそうに笑う。
「でも」
自分の袖を見る。
「今は魔法が使えないから」
「……」
「認識阻害くらいしか機能しないみたい。そもそもそれしかついてないけど!」
「それでも」
「うん」
千乃は。
拳を握った。
「十分!」
その瞬間。
通路の奥から。
「……来る」
クオンの耳が。
ぴくっ。
千乃も。
前を見る。
「敵?」
「……たぶん」
奥から。
複数の影。
「いたぞ!」
「侵入者だ!」
「捕まえろ!」
数人。
いや。
もっといる。
千乃は。
クオンを見る。
「下がってて」
「……うん」
クオンが。
後ろへ下がる。
千乃は。
ゆっくり。
前へ出る。
桃色のローブが。
ふわっ。
となびいた。
「……」
敵。
「何だ?」
「子供か?」
「構わん!」
「一気に行け!」
複数の敵が。
一斉に。
千乃へ向かってくる。
「……」
千乃は。
動かない。
「今だ!」
敵が。
一気に距離を詰める。
その瞬間。
千乃が。
地面を蹴った。
ダンッ!!
「え?」
一瞬。
視界から。
消える。
「どこに!」
次の瞬間。
先頭の敵の前へ。
「よっ」
ドゴォン!!
「うわっ!?」
吹っ飛ぶ。
そのまま。
後ろの敵まで。
巻き込んで。
ドドドドッ!!
「なっ!?」
「何だこの威力!?」
千乃は。
そのまま。
止まらない。
「次!」
ダッ!!
桃色のローブが。
大きく。
ひらり。
と舞う。
「うおおおっ!」
敵が。
千乃へ。
飛びかかる。
千乃は。
身体を。
横へ。
くるっ。
と回転。
そして。
回転の勢いを。
そのまま。
蹴りへ。
「せーの!」
ドゴォォォォォォォォン!!
「ぐわぁっ!!」
敵が。
まとめて。
吹っ飛ぶ。
壁へ。
ドンッ!!
さらに。
別の敵が。
「囲め!」
「……」
千乃が。
振り返る。
「囲まれた?」
「うん」
「なら」
千乃が。
にっと笑う。
「まとめて行く!」
ダッ!!
一直線。
「来たぞ!」
「止めろ!」
千乃は。
そのまま。
正面へ。
突っ込む。
「うおおおおおお!!」
ドォォォォォォォォン!!
衝撃。
数人が。
一斉に。
吹っ飛ぶ。
「な……」
「何なんだ、こいつ……!」
千乃は。
着地。
桃色のローブが。
ふわぁっ。
と大きくなびく。
「……」
クオンが。
後ろから。
ぽかん。
と見ている。
「……」
千乃が。
振り返る。
「クオン!」
「……なに?」
「大丈夫?」
「うん……」
「じゃあ行こう!」
「……」
クオンは。
千乃を見る。
そして。
少しだけ。
笑った。
「……うん」
二人は。
さらに。
通路の奥へ。
進んでいく。
その背中で。
桃色のローブが。
ひらひらと。
静かに。
なびいていた。
魔法は。
使えない。
認識阻害以外。
ほとんど機能しない。
それでも。
千乃には。
まだ。
拳がある。
そして。
何より。
「気合は万能!」
千乃の声が。
通路いっぱいに。
響いた。
通路の奥。
千乃とクオンが進んでいく。
すると。
後ろから。
「……あの!」
声がした。
「ん?」
千乃が振り返る。
そこには。
先ほどまで囚われていた人々が。
何人も。
恐る恐る。
こちらへ歩いてきていた。
「千乃さん!」
「……!」
クオンが振り返る。
「みんな……」
どうやら。
先ほどの騒ぎを聞きつけ。
残っていた人々も。
次々と通路へ出てきたらしい。
「大丈夫ですか?」
千乃が尋ねる。
「はい……」
一人の女性が頷く。
「あなたが敵を倒してくれたんですよね?」
「うん!」
千乃は。
何でもないことのように。
頷いた。
「全員掃除したよ!」
「掃除……」
別の男性が。
通路の先を見る。
そこには。
吹き飛ばされた敵たち。
そして。
ボロボロになった壁。
「……」
「……」
「……」
男性が。
ゆっくり千乃を見る。
「……掃除?」
「うん!」
「これが?」
「うん!」
「……」
男性は。
それ以上。
何も言わなかった。
言えなかった。
クオンが。
千乃の隣に立つ。
「千乃さん」
「どうしたの?」
「……すごい」
「え?」
「敵が来たとき」
クオンは。
少しだけ。
千乃のローブを見る。
「怖かったけど」
「うん」
「千乃さんが前に出たら」
白い狐耳が。
ぴくっ。
「……怖くなくなった」
「……」
千乃が。
少しだけ目を丸くする。
そして。
「そっか」
優しく笑った。
「じゃあ、これからも前は私が行くね」
「……!」
クオンの耳が。
ぴんっ。
「……うん」
そのとき。
後ろから。
「私たちも行きます」
一人が言った。
「え?」
「もう、ここに残りたくありません」
「外へ出たい」
「家に帰りたいんです」
次々と。
声が上がる。
「俺も」
「私もです」
「お願いします」
千乃は。
みんなを見る。
そして。
「もちろん!」
胸を張った。
「みんなで帰ろう!」
「……!」
その言葉に。
人々の表情が。
少しずつ。
明るくなっていく。
クオンも。
千乃の隣で。
小さく頷いた。
「……僕も」
「うん?」
「僕も一緒に行く」
「もちろん!」
千乃が。
即答する。
「約束したでしょ?」
「……うん」
クオンの尻尾が。
ふわっ。
と揺れた。
すると。
「……あれ?」
一人の女性が。
クオンを見る。
「その子……」
「クオンだよ」
千乃が紹介する。
「千乃さんが助けてくれたんです」
クオンが。
少し照れたように。
千乃の後ろへ。
半歩だけ隠れる。
「……よろしく」
「あら……」
女性が微笑む。
「よろしくね」
「……うん」
クオンの耳が。
少しだけ。
嬉しそうに動いた。
そして。
千乃が前を見る。
「よし!」
桃色のローブが。
ふわっ。
となびく。
「出口を探そう!」
「はい!」
「おう!」
「お願いします!」
囚われていた人々が。
一斉に。
歩き始める。
先頭には。
千乃。
そのすぐ後ろに。
クオン。
そして。
助け出された人々。
「……」
クオンが。
千乃の背中を見る。
桃色のローブ。
猫耳付きのフード。
そして。
迷いなく前へ進む背中。
クオンは。
ほんの少し。
その背中へ近づいた。
そして。
千乃のローブの端を。
ちょこん。
と掴んだ。
「……?」
千乃が振り返る。
「どうしたの?」
「……なんでもない」
「そっか」
千乃は。
何も聞かなかった。
ただ。
そのまま歩いた。
クオンも。
ローブを掴んだまま。
一緒に歩いていく。
その先には。
まだ見えない。
出口。
そして。
この場所の。
本当の目的。
けれど。
今は。
一人じゃない。
千乃の後ろには。
助けを待っていた人々がいる。
そして。
千乃の隣には。
クオンがいる。
「……よし」
千乃が。
前を向く。
「みんなで帰ろう!」
「おー!」
小さな声。
そして。
少しずつ。
その声が増えていった。




