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165/198

いい加減にしましょうね? 5

 千乃。


「さて」


「話そうか」


 にこっ。


 その瞬間。


 ぴかっ。


 部屋全体が。


 強烈な光に包まれた。


 千乃。


「!?」


 真銀。


「……っ!」


「うわっ!?」


「主っまぶしっ!」


「何だ!?」


「千乃さん!」


 エリシア。


「……!」


 白い光。


 部屋の隅々まで。


 すべてを。


 飲み込んでいく。


 千乃。


 反射的に。


 目を閉じた。


「……」


 数秒。


 いや。


 ほんの一瞬。


 光。


 すうっ。


 消えた。


 千乃。


「……?」


 ゆっくり。


 目を開ける。


 真銀。


 いる。


 柚乃。


 いる。


 ララ。


 いる。


 ライ。


 いる。


 アイシィ。


 いる。


 エリシア。


 いる。


 そして。


 パイライト。


 いる。


 千乃。


「……」


 真銀。


「……」


 柚乃。


「……」


 ララ。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 エリシア。


「……」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「……何?」


 誰も。


 答えない。


 部屋。


 何も。


 変わっていない。


 壁も。


 窓も。


 家具も。


 そのまま。


 誰も。


 消えていない。


 誰も。


 倒れていない。


 魔法の糸も。


 エリシアを。


 しっかり。


 拘束している。


 千乃。


「……何も」


「起きてない?」


 柚乃。


「うん」


 ララ。


「何だったの?」


 ライ。


「分からん」


 アイシィ。


「攻撃でも」


「なさそうですね」


 真銀。


「……」


 千乃。


「……」


 白髪を。


 さらりと揺らす。


「パイライト」


 パイライト。


「何だ?」


 千乃。


「今の」


「何?」


 パイライト。


「知らん」


 千乃。


「……」


 じーっ。


 パイライト。


「何だ」


 千乃。


「いや」


「……」


 じーっ。


 真銀。


「千乃」


「なに?」


「何で」


「俺を見る」


 千乃。


「なんとなく」


 真銀。


「なんとなくで」


「そんなに見るな」


 千乃。


「……」


 千乃。


 首を。


 少し。


 傾げた。


「……?」


 何か。


 違和感。


 ある。


 けれど。


 何が違うのか。


 分からない。


 千乃。


「……まあいいや」


 パイライト。


「それより」


「話だろう?」


 千乃。


「そうだね」


 エリシア。


「……」


 千乃。


「……」


 再び。


 パイライトへ。


 視線を向ける。


「パイライト」


「今回の」


「嫌がらせについて」


「全部」


「話してもらうよ」


 パイライト。


「嫌がらせ?」


 千乃。


「とぼけないで」


 パイライト。


「知らんな」


 千乃。


「……」


 真銀。


「千乃」


「なに?」


「無駄だ」


 千乃。


「?」


 真銀。


「こいつは」


「認めない」


 千乃。


「……」


 千乃。


 少し。


 真銀を見る。


「……そうかな?」


 真銀。


「ああ」


 千乃。


「……」


 また。


 違和感。


 胸の奥。


 小さな。


 引っかかり。


 千乃。


「……」


 しかし。


 まだ。


 分からない。


 あの光が。


 何だったのか。


 誰も。


 気づいていない。


 何も。


 起きなかった。


 そう。


 誰もが。


 そう思っていた。


 ただ。


 本当は。


 違った。


 あの一瞬。


 光が。


 部屋を包んだ。


 その瞬間。


 パイライトは。


 幻影魔法を使っていた。


 真銀の姿。


 声。


 気配。


 それらすべてを。


 自分に被せた。


 そして。


 本物の真銀には。


 パイライトの幻影。


 姿。


 声。


 気配。


 それらを。


 すべて。


 被せた。


 完全に。


 入れ替わった。


 誰にも。


 気づかれない。


 はずだった。


 今。


 千乃の隣にいる。


 真銀。


 その正体は。


 パイライト。


 そして。


 部屋の向こうにいる。


 パイライト。


 その正体は。


 本物の。


 真銀。


 ただ。


 千乃たちは。


 まだ。


 何も知らない。


 千乃。


「……」


 もう一度。


 隣の。


 “真銀”を見る。


「……?」


 パイライト。


 真銀の姿のまま。


「どうした?」


 千乃。


「いや」


「なんか」


「変」


 パイライト。


「何が?」


 千乃。


「分からない」


 パイライト。


「……」


 千乃。


 首を。


 傾げた。


 深紅の瞳。


 じーっ。


 真銀の姿をした。


 パイライトを見る。


 パイライト。


「……」


 内心。


 少しだけ。


 焦る。


(まさか)


(気づいたのか?)


 千乃。


「……」


「真銀」


 パイライト。


「何だ?」


 千乃。


「……」


「ううん」


「なんでもない」


 パイライト。


「そうか」


 千乃。


 再び。


 パイライトを見る。


 その姿は。


 いつもの。


 パイライト。


 ……にしか。


 見えない。


 千乃。


「……」


「まあ」


「いいや」


 パイライト。


「……」


 その瞬間。


 ほんの少しだけ。


 笑った。


 誰にも。


 見えないように。


 真銀の姿をした。


 パイライトだけが。


 小さく。


 口元を。


 歪めた。


 作戦は。


 成功した。


 完全に。


 入れ替わった。


 ……はずだった。


 千乃の。


 深紅の瞳が。


 もう一度だけ。


 “真銀”へ。


 向けられた。


 千乃。


「……」


 その違和感は。


 まだ。


 消えていなかった。


 千乃。


「……」


 部屋の中央。


 千乃は。


 真銀と。


 パイライト。


 二人を。


 交互に見た。


 片方は。


 真銀。


 もう片方は。


 パイライト。


 ……そう見える。


 けれど。


 あの光のあと。


 千乃の胸には。


 小さな違和感が。


 残っていた。


「ねえ」


 真銀。


「なに?」


 パイライト。


「何だ?」


 千乃。


「二人に」


「質問するね」


 真銀。


「?」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「同じ質問」


「するから」


 ララ。


「主!」


「クイズ?」


 千乃。


「たぶん」


 ライ。


「たぶん?」


 アイシィ。


「千乃さん」


「何か気づいたのですか?」


 千乃。


「まだ」


「分からない」


「でも」


「確かめたい」


 真銀。


「……」


 パイライト。


「……」


 千乃。


 白い髪を。


 さらりと。


 揺らす。


 そして。


 まず。


 隣にいる。


 真銀へ。


 顔を向けた。


「真銀」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「何だ?」


 千乃。


「私の」


「好きなものは?」


 パイライト。


「……?」


 柚乃。


「……?」


 ララ。


「……?」


 ライ。


「……?」


 アイシィ。


「……?」


 エリシア。


「……?」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


「…………」


「甘いもの」


 千乃。


「具体的には?」


 パイライト。


「……」


「…………」


「ケーキ?」


 千乃。


「……」


 真銀。


「……」


 柚乃。


「……」


 ララ。


「……」


 千乃。


「……」


「そっか」


 パイライト。


「……?」


 千乃。


 次。


 パイライトへ。


「パイライト」


 本物の真銀。


「……」


 千乃。


「同じ質問」


「私の好きなものは?」


 本物の真銀。


「アイス」


 千乃。


「……」


 本物の真銀。


「特に」


「甘いもの全般というより」


「アイス」


 千乃。


「……」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……!」


 千乃。


 じっ。


 “パイライト”を見る。


 真銀の姿をした。


 パイライト。


 その瞬間。


 少し。


 顔が強張った。


 千乃。


「次」


「真銀」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


「何だ?」


 千乃。


「私が」


「一番嫌いなもの」


「なに?」


 パイライト。


「……」


「…………」


「……虫?」


 千乃。


「……」


「そっか」


 千乃。


 今度は。


 本物の真銀。


 パイライトの姿へ。


「パイライト」


「私が一番嫌いなもの」


「なに?」


 本物の真銀。


「……」


「前に」


「部屋に虫が出た時」


「かなり嫌がっていた」


「だから虫も嫌いだと思う」


 千乃。


「うん」


 本物の真銀。


「でも」


「一番は」


「仲間を傷つけられること」


 千乃。


「……」


 真銀。


「……」


 柚乃。


「……」


 ララ。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 千乃。


「……」


 エリシア。


「……」


 千乃。


「次」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


 千乃。


「真銀」


「私と」


「初めて会った時」


「私は」


「何て言った?」


 パイライト。


「……」


「…………」


「……知らん」


 千乃。


「知らない?」


 パイライト。


「いや」


「覚えていない」


 千乃。


「そっか」


 千乃。


 今度は。


 パイライトの姿をした。


 本物の真銀。


「パイライト」


「同じ質問」


 本物の真銀。


「……」


 千乃。


「私と真銀が」


「初めて会った時」


「私は」


「何て言った?」


 本物の真銀。


「……」


「『私、千羽千乃!真銀くん、よろしく』」


 千乃。


「……」


 本物の真銀。


「だった」


 千乃。


「うん」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……!」


 千乃。


 じっ。


 見る。


 真銀の姿。


 真銀の声。


 真銀の気配。


 それなのに。


 何か。


 違う。


 千乃。


「最後」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


 本物の真銀。


「……」


 千乃。


「私の」


「髪の色」


「何色?」


 パイライト。


「……?」


 柚乃。


「……?」


 ララ。


「……?」


 ライ。


「……?」


 アイシィ。


「……?」


 千乃。


「今じゃなくて」


「普段」


 パイライト。


「……」


「…………」


「ピンク」


 千乃。


「……」


 次。


 本物の真銀。


「パイライト」


「私の髪の色」


「何色?」


 本物の真銀。


「メタルピンク」


 千乃。


「……」


 本物の真銀。


「普通のピンクじゃない」


 千乃。


「……」


 沈黙。


 千乃。


 ゆっくり。


 目を閉じた。


「……」


 そして。


 ぱちっ。


 開く。


 深紅。


 二つの瞳。


 真銀の姿をした。


 パイライトへ。


 向けられる。


「ねえ」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「真銀」


 パイライト。


「……」


「何だ」


 千乃。


「さっきから」


「全然」


「真銀じゃない」


 部屋。


 しん。


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


 千乃。


 次。


 パイライトの姿をした。


 本物の真銀を見る。


「そっちは」


「逆」


 本物の真銀。


「……」


 千乃。


 指を。


 ゆっくり。


 二人へ。


 向ける。


「本物の真銀は」


「そっち」


 パイライトの姿をした。


 本物の真銀。


 千乃。


「……」


 千乃。


「つまり」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


 じーっ。


「こっちが」


「パイライト」


 パイライト。


「……」


「…………」


 数秒。


 沈黙。


 そして。


「……は?」


 ララ。


「え?」


 柚乃。


「え?」


 ライ。


「は?」


 アイシィ。


「……!」


 エリシア。


「……弟?」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……」


 千乃。


「幻影」


「でしょ?」


 パイライト。


「……」


「…………」


「何のことだ」


 千乃。


「まだ」


「とぼける?」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「質問」


「全部」


「間違えたよ」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「真銀なら」


「全部」


「知ってる」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「私は」


「真銀を」


「誰より知ってる」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……!」


 千乃。


「だから」


「見た目を変えても」


「声を変えても」


「気配を変えても」


「中身まで」


「真銀にはできないよ」


 パイライト。


「……」


 千乃。


 真銀の姿をした。


 パイライトへ。


 一歩。


 近づく。


 エリシア。


「……」


 千乃。


「幻影」


「解除して」


 パイライト。


「断る」


 千乃。


「そっか」


 真銀。


「千乃」


 千乃。


「なに?」


 本物の真銀。


「多分」


「無理やり解除できる」


 千乃。


「……」


 にこっ。


「そうだね」


 真銀の姿をした。


 パイライト。


「……!」


 千乃。


 指を。


 すっ。


 前へ。


 向けた。


 真銀。


「千乃」


「なに?」


「……」


「一応」


「手加減しろ」


 千乃。


「するよ」


 真銀。


「本当か?」


 千乃。


「たぶん」


 真銀。


「たぶん!?」


 千乃。


「いくよ」


 パイライト。


「待て!」


 千乃。


 深紅の瞳。


 きらっ。


 白い髪。


 ふわっ。


 そして。


 パイライトへ。


 魔法を。


 放とうとした。


 その瞬間。


 千乃。


「……」


 止まった。


 真銀。


「?」


 千乃。


「待って」


 パイライト。


「……?」


 千乃。


「せっかくなら」


 真銀。


「何が?」


 千乃。


「厨二病で解除しよう」


 真銀。


「……」


「…………」


「……は?」


 千乃。


「いくよ」


 真銀。


「待て」


 千乃。


 白髪。


 深紅の瞳。


 鬼月姫。


 そして。


 厨二病。


 その二つが。


 混ざり始める。


 パイライト。


「……」


 初めて。


 少しだけ。


 嫌な予感がした。


 千乃。


「いくよ」


 真銀。


「待て」


 千乃。


「待たない」


 白い髪が。


 ふわっ。


 揺れる。


 深紅の瞳。


 ゆっくり。


 真銀の姿をしたパイライトへ向けられる。


 千乃。


「偽りの姿を纏いし者よ」


 真銀。


「……」


 柚乃。


「始まった」


 ララ。


「始まったね!」


 ライ。


「何が始まったんだ」


 アイシィ。


「千乃さんの」


「いつものあれです」


 真銀。


「いつものあれ?」


 千乃。


 右手を。


 ゆっくりと。


 前へ伸ばした。


 空中。


 指先が。


 淡く光る。


「真実を覆い隠す幻よ」


「虚構の帳よ」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「そのすべてを」


「今」


「我が眼前に晒せ」


 エリシア。


「……」


 柚乃。


「かっこいい」


 千乃。


「――《虚像崩壊》」


 ぱきっ。


 その瞬間。


 真銀の姿をした。


 パイライトの周囲。


 空気に。


 細い亀裂のような光が走った。


 パイライト。


「……!?」


 ぱき。


 ぱきぱき。


 真銀の姿。


 輪郭が。


 揺らぐ。


「なっ……!」


 真銀。


「……」


 千乃。


「偽りは」


「本物にはなれないよ」


 パイライト。


「……っ!」


 次の瞬間。


 ばしゃっ。


 真銀の姿。


 光の粒となって。


 剥がれ落ちた。


 金髪。


 翡翠色の瞳。


 そして。


 元の姿。


 パイライト。


「……っ!」


 千乃。


「やっぱり」


 ララ。


「パイライトだ!」


 ライ。


「……本当に」


「入れ替わっていたのか」


 アイシィ。


「千乃さんの推理」


「正しかったですね」


 柚乃。


「お姉ちゃんすご!」


 千乃。


「えへへ」


 真銀。


「調子に乗るな」


 千乃。


「えー」


 パイライト。


「……」


 顔を。


 歪める。


「どうして」


「気づいた」


 千乃。


「真銀だから」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「真銀の見た目」


「真銀の声」


「真銀の気配」


 千乃。


 一つずつ。


 指を折る。


「それがあっても」


「真銀じゃない」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「だって」


「真銀は」


「真銀だから」


 真銀。


「……」


 柚乃。


「……」


 ララ。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 エリシア。


「……」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「何その顔」


 真銀。


「別に」


 千乃。


「なんか」


「嬉しそう」


 真銀。


「気のせいだ」


 千乃。


「そう?」


 真銀。


「そうだ」


 千乃。


「ふーん」


 真銀。


「……」


 パイライト。


「……」


「…………」


「……話を戻せ」


 千乃。


「はいはい」


 千乃。


 そして。


 次。


 パイライトの姿をした。


 本物の真銀へ。


 手を向ける。


「次」


 真銀。


「……」


 千乃。


「こっち」


 真銀。


「……分かった」


 千乃。


 指先。


 再び。


 光。


「さっきより」


「短くするね」


 真銀。


「普通に解除しろ」


 千乃。


「嫌」


 真銀。


「……」


 千乃。


 真顔。


「偽りを脱げ」


 真銀。


「短いな」


 千乃。


「解除」


 ぱっ。


 光。


 真銀を包む。


 次の瞬間。


 パイライトの姿。


 さらりと。


 消えた。


 紺色の。


 少し寝癖のついた髪。


 空色の瞳。


 本物の。


 真銀。


 千乃。


「真銀!」


 真銀。


「……」


 千乃。


「戻った」


 真銀。


「戻った」


 千乃。


「よかった」


 真銀。


「……」


 千乃。


 そのまま。


 一歩。


 近づく。


 真銀。


「?」


 千乃。


「……」


 じーっ。


 真銀。


「何だ」


 千乃。


「本物?」


 真銀。


「さっき」


「確認しただろ」


 千乃。


「もう一回」


 真銀。


「……」


「面倒だな」


 千乃。


「じゃあ」


「私の好きなもの」


 真銀。


「アイス」


 千乃。


「うん」


「嫌いなもの」


 真銀。


「虫も嫌いだが」


「仲間を傷つけられること」


 千乃。


「うん」


「私の髪の色」


 真銀。


「メタルピンク」


 千乃。


「うん」


 真銀。


「もういいか?」


 千乃。


「うん」


 真銀。


「……」


 千乃。


「本物だね」


 真銀。


「最初からそうだ」


 千乃。


「知ってる」


 真銀。


「じゃあ聞くな」


 千乃。


「念のため」


 真銀。


「……」


 ララ。


「主!」


「真銀だ!」


 真銀。


「当たり前だ」


 ララ。


「でもさっきまで」


「パイライトだった!」


 真銀。


「俺は最初から俺だ」


 ララ。


「でも見た目!」


 真銀。


「……」


 アイシィ。


「真銀さん」


「お疲れさまでした」


 真銀。


「……ありがとう」


 ライ。


「災難だったな」


 真銀。


「本当にな」


 柚乃。


「お姉ちゃん」


 千乃。


「なに?」


「今の解除」


「最後だけ雑じゃなかった?」


 千乃。


「え?」


「ちゃんと厨二病だったよ」


 柚乃。


「一回目だけ」


 千乃。


「……」


「二回もやるの」


「恥ずかしくなってきた」


 真銀。


「最初からやるな」


 千乃。


「えー」


 その時。


 パイライト。


「……」


 全員を見る。


 千乃。


 真銀。


 柚乃。


 ララ。


 ライ。


 アイシィ。


 そして。


 自分の姉。


 エリシア。


 完全に。


 作戦は。


 失敗した。


 千乃。


「さて」


 パイライト。


「……」


 千乃。


 にこっ。


 深紅の瞳。


 パイライトへ。


 向けられる。


「これで」


「ようやく」


「本人同士で」


「話せるね」


 パイライト。


「……」


 真銀。


「……」


 エリシア。


「……」


 ララ。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 柚乃。


「……」


 千乃。


「ね?」


 パイライト。


「……」


 千乃。


 にこっ。


「話」


「しようか」


 パイライト。


「……」


 部屋の空気。


 少しだけ。


 冷えた。


 真銀。


「千乃」


 千乃。


「なに?」


「ほどほどにな」


 千乃。


「大丈夫」


 真銀。


「本当に?」


 千乃。


「……たぶん」


 真銀。


「たぶんか」


 パイライト。


「……」


 エリシア。


「……」


 そして。


 千乃は。


 一歩。


 二人へ近づいた。


 今度こそ。


 逃げられない。


 幻影も。


 使えない。


 偽物の姿も。


 消えた。


 目の前にいるのは。


 パイライト。


 そして。


 エリシア。


 千乃。


「じゃあ」


「まず」


「どっちから」


「話す?」


 エリシア。


「……」


 パイライト。


「……」


 千乃。


「……」


 にこっ。


「逃げても」


「無駄だよ?」

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