いい加減にしましょうね?(”^^”)
その日の夕方。
星氷神城。
千乃の部屋。
「……」
千乃は。
窓の外を見ていた。
城下町では。
また。
ぱりんっ!
という音がする。
「偽物だぁぁぁぁ!」
「千乃様が言うわけないだろ!」
「次の石持ってこーい!」
「何と戦ってるの!?」
千乃。
「……」
にこっ。
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
全員。
察した。
「主?」
ララ。
「……なに?」
千乃。
にこにこ。
笑顔。
「……」
ララ。
「主」
「笑ってる」
「うん」
「でも」
「なんか」
「怖い」
「そう?」
「怖い」
真銀。
「……千乃」
「なに?」
「今」
「怒ってるか?」
「怒ってないよ?」
千乃。
にこっ。
「……」
真銀。
「……」
「…………」
「嘘だ」
「なんで?」
「笑顔だから」
「……」
千乃。
「……」
「…………」
「笑顔だと」
「怒ってるって」
「どういうこと?」
ライ。
「今までの経験」
「経験?」
「うん」
「経験」
アイシィ。
「千乃さん」
「はい」
「わたしも」
「今回はライさんに賛成です」
「なんで!?」
千乃。
笑顔。
「……」
「……」
「…………」
「……じゃあ」
立ち上がった。
「犯人」
「探そうかな」
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
「「「「やっぱり怒ってる!」」」」
千乃。
「怒ってないよ?」
にこっ。
「ただ」
「私の声を」
「勝手に切り取って」
「つなげて」
「偽物作って」
「大量にばらまいた人を」
「見つけるだけ」
にこにこ。
「……」
真銀。
「……」
「…………」
「それを」
「世間では」
「怒ってるって言う」
「そうかな?」
「そうだ」
千乃。
くるっ。
「ちょっと」
「着替えてくるね」
ララ。
「……?」
「なんで?」
千乃。
「気分」
「……」
真銀。
「その気分」
「絶対嫌な予感しかしない」
「え?」
「普通だよ?」
「普通とは」
そして。
数分後。
千乃の部屋。
扉。
がちゃ。
「お待たせー」
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
千乃。
そこにいた。
左目。
眼帯。
右腕。
包帯。
そして。
黒いマント。
ばさっ。
「……」
真銀。
「……」
「…………」
「誰?」
「千乃」
「なんで?」
「主!」
ララ。
「なんか!」
「めちゃくちゃ!」
「怖い!」
「そう?」
「そう!」
千乃。
にこっ。
「犯人探し」
「するだけだよ?」
ライ。
「その格好で?」
「うん」
「なぜ」
「気分」
「気分で」
「そんな格好になる奴がいるか」
「いるよ」
「ここに」
「……」
アイシィ。
「千乃さん」
「はい」
「右腕は」
「怪我しているんですか?」
「してないよ?」
「包帯は?」
「巻きたかった」
「……」
「……」
「…………」
真銀。
「眼帯は?」
「左目を」
「隠したかった」
「なんで?」
「……」
千乃。
にこっ。
「……なんとなく?」
真銀。
「絶対」
「なんとなくじゃない」
「そうかな?」
「そうだ」
千乃。
黒いマントを。
ばさっ。
「では」
「行きますか」
ララ。
「どこに!?」
「犯人探し」
「どこから!?」
「さあ?」
「主!?」
千乃。
廊下を。
歩き始める。
こつ。
こつ。
こつ。
黒いマント。
ばさっ。
左目。
眼帯。
右腕。
包帯。
そして。
ものすごい。
笑顔。
「……」
真銀。
「止めた方がいいか?」
ライ。
「無理だろ」
「……だよな」
アイシィ。
「……千乃さん」
「今回」
「かなり怒っていますね」
ララ。
「怒ってるよ!」
「本人は!」
「怒ってないって言ってるけど!」
「怒ってるよ!」
城下町。
千乃。
登場。
「千乃様ー!」
「おーい!」
「千乃様!」
町の人。
千乃を見る。
そして。
固まった。
「……」
「……」
「…………」
「……千乃様?」
千乃。
「はい」
にこっ。
町の人。
「……」
「…………」
「何か」
「ありました?」
「うん」
千乃。
「偽音声を」
「作った人」
「探してる」
にこっ。
町の人。
「……」
「……」
「…………」
「……ご武運を」
「ありがとう」
黒マント。
ばさっ。
千乃。
歩く。
その後ろ。
真銀たち。
「……」
真銀。
「これ」
「犯人が」
「かわいそうになってきた」
ライ。
「俺も」
ララ。
「主の笑顔!」
「怖い!」
アイシィ。
「千乃さん」
「怒らせると」
「大変ですね……」
千乃。
ふと。
地面を見る。
結晶石の。
破片。
しゃがむ。
拾う。
千乃。
「……」
にこっ。
「なるほど」
真銀。
「何か分かった?」
「少し」
「……」
千乃。
右手。
包帯。
そこから。
小さな光。
真銀。
「魔法?」
「うん」
「何の?」
「……」
千乃。
笑顔。
「記録を」
「読む」
ライ。
「結晶石の?」
「うん」
「そんなことできるのか」
「たぶん」
「たぶん?」
「失敗したら」
「別の方法」
真銀。
「その別の方法は?」
「……」
千乃。
にこっ。
「犯人が」
「自分から」
「言いたくなる方法」
真銀。
「やめろ」
「まだ何もしてないよ?」
「その予定がある時点で」
「怖い」
千乃。
結晶石の破片を。
手のひらに乗せる。
「……」
「記録」
「追跡」
淡い光。
破片から。
細い線。
空へ。
「……」
真銀。
「おい」
ララ。
「主!」
ライ。
「何だ?」
アイシィ。
「光が……!」
線。
一本。
遠く。
遠く。
遠く。
国境の方向へ。
千乃。
「……」
にこっ。
「見つけた」
真銀。
「早いな」
「まだ」
「国しか分からない」
「どこ?」
千乃。
光の線を見る。
「……」
「……」
「…………」
「ユミナリア皇国」
空気。
止まる。
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
千乃。
にこっ。
「さて」
黒いマント。
ばさっ。
「犯人」
「特定しようか」
真銀。
「……」
「千乃」
「なに?」
「その笑顔」
「やめろ」
「なんで?」
「怖い」
「……」
千乃。
にこにこ。
「大丈夫」
「殺さないよ、たぶん」
全員。
「「「「そこを心配してるんじゃない!!」」」」
その頃。
遠く。
ユミナリア皇国。
パイライト。
「……」
エリシア。
「弟」
「はい?」
「なんか」
「嫌な予感が」
「……」
パイライト。
「……」
「…………」
「私もですな」
エリシア。
「……」
パイライト。
「……」
同時に。
「「気のせいですな(ですわ)」」
その瞬間。
ユミナリア皇国の。
はるか遠く。
黒いマントが。
ばさぁぁぁぁぁぁぁぁっ。
パイライト。
「……」
「……」
「…………」
「ブヒッ」
エリシア。
「気のせいじゃありませんわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
後ろから。
ものすごい勢いで。
声が飛んできた。
千乃。
ぴたっ。
立ち止まる。
真銀。
「……?」
ララ。
「誰?」
ライ。
「また何か来たな」
アイシィ。
「この声は……」
ばたばたばたばたっ!
「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
千乃。
「柚乃?」
全員。
振り返る。
そして。
固まった。
そこには。
黒いマントを。
ばさっ。
となびかせる。
一人の少女。
右目には。
眼帯。
左腕には。
包帯。
そして。
全身黒マント。
千羽柚乃。
「……」
千乃。
「……」
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
柚乃。
息を整える。
「……」
「……」
「…………」
「行くなら」
「私も行く」
千乃。
「……」
「……」
「…………」
「なんで?」
柚乃。
「お姉ちゃんが」
「片目眼帯」
「片腕包帯」
「黒マントで」
「犯人特定に行くって聞いた」
千乃。
「うん」
「そしたら?」
「双子として」
「合わせなきゃって」
千乃。
「そこ?」
「そこ」
真銀。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
ララ。
「……」
真銀。
「いや」
「待て」
柚乃。
「なに?」
「その格好」
「いつ用意した?」
「さっき」
「早いな!?」
千乃。
柚乃を見る。
左目。
眼帯。
右腕。
包帯。
黒マント。
柚乃は。
千乃を見る。
右目。
眼帯。
左腕。
包帯。
黒マント。
「……」
「……」
同時に。
「「完璧」」
真銀。
「何が?」
ララ。
「双子だから!」
「逆にしたの!?」
柚乃。
「うん!」
「お姉ちゃんが左目だから」
「私は右目!」
「お姉ちゃんが右腕だから」
「私は左腕!」
「そして!」
黒マント。
ばさっ!
「黒マント!」
千乃。
黒マント。
ばさっ!
「黒マント!」
「「完璧」」
真銀。
「だから何が!?」
ライ。
「……双子の謎のこだわりか」
アイシィ。
「揃っているようで」
「左右が逆なんですね」
柚乃。
「そう!」
千乃。
「そう!」
ララ。
「主が!」
「二人になった!」
千乃。
「双子だからね」
「そうじゃなくて!」
ララ。
「怖い主が!」
「二人になった!」
柚乃。
「え?」
にこっ。
ララ。
「ひっ」
真銀。
「……」
「…………」
「増えたな」
ライ。
「増えたな」
アイシィ。
「増えましたね」
千乃。
「……」
柚乃。
「……」
二人。
顔を見合わせる。
そして。
同時に。
にこっ。
真銀。
「……」
ララ。
「……」
ライ。
「……」
アイシィ。
「……」
全員。
「「「「二人とも怒ってる!!」」」」
千乃。
「怒ってないよ?」
柚乃。
「うん」
「私も」
「怒ってないよ?」
真銀。
「お前は何に怒ってるんだ」
柚乃。
「お姉ちゃんの声を」
「勝手に切り取って」
「つなげて」
「変な証拠を作って」
「ばらまいた犯人に」
「少しだけ」
「お話を聞きたいだけ」
にこっ。
真銀。
「……」
「…………」
「それ」
「千乃と同じじゃないか」
千乃。
「双子だからね」
「便利な言葉だな」
柚乃。
「じゃあ」
「行こっか」
千乃。
「うん」
黒マント。
二人同時に。
ばさっ。
右と左。
左右対称のようで。
完全には対称ではない。
右目眼帯。
左目眼帯。
右腕包帯。
左腕包帯。
そして。
黒マント。
双子。
完成。
ララ。
「主が二人……」
ライ。
「違う」
「柚乃だ」
「分かってるよ!」
「でも!」
「見た目が!」
「なんか!」
「圧が二倍!」
アイシィ。
「……真銀さん」
「はい」
「止めますか?」
真銀。
「……」
「…………」
「止められると思うか?」
アイシィ。
「無理ですね」
柚乃。
「行くよー!」
千乃。
「うん」
二人。
歩き出す。
こつ。
こつ。
こつ。
こつ。
黒マント。
ばさ。
ばさ。
そして。
二人とも。
ものすごく。
笑顔。
真銀。
「……」
「…………」
「なあ」
ライ。
「何だ」
「犯人」
「今なら」
「自首した方が」
「いいんじゃないか?」
ライ。
「……」
「…………」
「俺も」
「そう思う」
その頃。
ユミナリア皇国。
パイライト。
「……」
ぶるっ。
エリシア。
「弟?」
「……」
「…………」
「姉上」
「なに?」
「嫌な予感が」
「一人分では」
「ありませんぞ」
エリシア。
「……?」
その瞬間。
はるか遠く。
黒いマント。
ばさっ。
ばさっ。
パイライト。
「……」
「……」
「…………」
「……二人?」
エリシア。
「……」
「…………」
「ブヒッ」
パイライト。
「姉上が鳴いた!?」
「鳴いてませんわ!!」




