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やっほー!    、、、、、、、え?

 そのとき。


 星氷神城アストラルグレイシアの廊下から。


「千乃様! お客様です!」


 使用人の声が響いた。


「お客さん?」


 千乃が首を傾げる。


「朝から?」


「はい。ですが……」


 使用人が。


 なぜか。


 ものすごく困惑した顔をしている。


「千乃様に直接、お会いしたいと」


「私に?」


「はい」


 千乃と真銀。


 顔を見合わせた。


「誰だろ」


「さあ」


 そして。


 二人はララと一緒に。


 城の玄関ホールへ向かった。


 大きな扉の前。


 そこには。


 一人の少女が立っていた。


 オレンジ色の髪。


 髪型は。


 千乃と同じ。


 お団子ヘア。


 そして。


 その瞳。


 右目。


 金色。


 左目。


 ピンク色。


「……」


 千乃。


 ぴたっ。


 止まった。


「……え?」


 少女も。


 千乃を見た。


「……」


「……」


 二人。


 完全に停止。


 真銀。


「……千乃?」


 千乃は。


 ゆっくり。


 一歩。


 前へ出る。


「……」


 そして。


「……ゆの?」


 少女の目が。


 一気に。


 見開かれた。


「……」


「……」


 次の瞬間。


「お姉ちゃんが生きてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


「えっ」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 だだだだだだだだだだっ!


「ゆ、柚乃!?」


 千乃へ向かって。


 少女が。


 ものすごい勢いで走ってくる。


「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


「わっ!?」


 どんっ!


 そのまま。


 千乃へ。


 抱きついた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


「ゆ、柚乃!?」


「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


「久しぶりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」


 千乃も。


 思わず。


 抱き返した。


「なんで!?」


「分かんないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」


「えぇ!?」


「でもぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 柚乃。


 千乃に。


 ぎゅううううっ!


「お姉ちゃん!」


「生きてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


「うん、生きてるよ!?」


「死んだって聞いたからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 千乃。


 ぴたっ。


 止まった。


「……あ」


 そうだった。


 前世の自分は。


 真銀を庇って。


 命を落とした。


 つまり。


 前世の家族から見れば。


 千乃は。


 もう。


 この世にいない。


「……」


 千乃は。


 少しだけ。


 柚乃の背中を撫でた。


「……ごめんね」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


「ごめんって!」


「会いたかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「私も会いたかったよ!」


 その瞬間。


 柚乃。


 ぴたっ。


 止まった。


「……」


「……?」


「……私も?」


「うん」


「……」


 柚乃。


 ゆっくり。


 顔を上げる。


「……ここに来てからも?」


「うん」


「……」


「柚乃」


「……」


 ぽろ。


「……」


 ぽろぽろぽろ。


「また泣いた!?」


「だってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


「この城、涙腺弱い人増えてない!?」


 真銀。


「……」


 ララ。


「……」


 使用人。


「……」


 全員。


 無言。


 そして。


 真銀が。


 小声で。


「……俺より泣いてる」


「比較するな!」


 千乃が即座にツッコんだ。


 柚乃。


 涙を拭きながら。


 真銀を見る。


「……」


「……」


 真銀。


 軽く頭を下げた。


「初めまして」


「……」


 柚乃。


「……誰?」


「え」


「お姉ちゃんの彼氏?」


 真銀。


 ぴたっ。


「……」


 千乃。


「夫」


「……」


 柚乃。


 停止。


「……え?」


「夫」


「……」


「真銀」


「……」


 柚乃。


 千乃。


 真銀。


 千乃。


 真銀。


「……」


「……」


「ええええええええええええええええええええええええええ!?」


 柚乃の叫び声が。


 城中に響いた。


「結婚してるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


「してるよ!?」


「いつの間にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」


「色々あったの!」


「説明が雑ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」


 真銀。


 小声。


「……俺、今」


「すごく説明してほしい側なんだけど」


「真銀は全部知ってるでしょ!?」


「柚乃さんのことは知らない」


「それはそう!」


 柚乃。


 千乃の肩を。


 がしっ。


「お姉ちゃん」


「なに?」


「説明して」


「うん」


「全部」


「……全部?」


「全部」


「……」


 千乃。


 真銀を見る。


「……長くなるよね」


「なる」


 ララが。


 ぴょこん。


「主ー!」


「なに?」


「朝ごはん冷めるよ!」


「……」


 千乃。


 柚乃を見る。


「ご飯食べながら話す?」


「うん」


「よし」


 そして。


 千乃が歩き出す。


 すると。


 柚乃。


 ぎゅっ。


 千乃の腕を掴んだ。


「……?」


「離れない」


「え?」


「お姉ちゃん」


「うん」


「生きてるのに」


「またいなくなったら嫌だから」


 千乃。


 少し。


 目を丸くする。


「……」


 そして。


「大丈夫」


 千乃は。


 柚乃の手を握った。


「もう、いなくならないよ」


「……ほんと?」


「ほんと」


「……」


 柚乃。


 ぎゅっ。


 千乃の手を握り返す。


「……約束ね」


「うん」


 真銀は。


 二人の後ろから。


 その様子を見ていた。


「……」


 そして。


 ぽろ。


 千乃。


「真銀?」


「……なに」


「なんで泣くの」


「……」


「柚乃ちゃんが」


「……」


「千乃がいなくなるのが怖いって言ったから」


「……」


「俺と同じこと思ってるって」


「……」


「なんか」


 ぽろ。


「……」


「泣くほどのこと!?」


 真銀。


「……ある」


「即答!?」


 その横。


 ララ。


「真銀、泣き虫ー!」


「うっ……」


「ララ!」


「主?」


「今日はもう真銀を泣かせないで!」


「分かった!」


 ララ。


 真銀を見る。


「泣き虫じゃない真銀!」


「……それも地味に傷つく」


 千乃。


「ララぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 その後。


 千乃。


 真銀。


 柚乃。


 ララたちは。


 朝食のため。


 食堂へ向かった。


 柚乃は。


 最後まで。


 千乃の手を離さなかった。


 そして。


 千乃も。


 その手を。


 振りほどかなかった。


 何年ぶりか。


 分からない。


 けれど。


 確かに。


 千乃の双子の妹。


 千羽柚乃は。


 再び。


 姉の隣へ帰ってきたのだった。


 食堂。


 朝食が並んだテーブル。


 千乃の隣には。


 当然のように。


 柚乃が座っていた。


 というか。


 座る場所を決める際。


「お姉ちゃんの隣」


「うん」


「絶対」


「うん」


「誰にも譲らない」


「真銀は?」


「反対側」


「指定された!?」


 という。


 ちょっとした事件が発生した結果である。


 真銀は。


 千乃を挟んだ反対側。


 なぜか。


 ものすごく大人しく座っていた。


「……」


 千乃。


「真銀?」


「……なに」


「なんでそんな端っこまで避けてるの」


「……」


「?」


「柚乃さんに」


「……」


「お姉ちゃんを奪った人って思われたくない」


「そんな重い空気!?」


 柚乃。


 じー。


「……」


 真銀。


 びくっ。


「……」


「……」


 千乃。


「柚乃?」


「なに?」


「真銀、怖がってるよ」


「なんで?」


「なんでだと思う?」


「……」


 柚乃。


 真銀を見る。


「……お姉ちゃんの夫だから?」


「ほらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 真銀。


 思わず。


 頭を抱えた。


「なんで今、俺が悪いみたいな流れになるの!?」


 千乃。


「落ち着いて」


「落ち着けない!」


「泣く?」


「泣かない!」


「よし」


「そこで安心するな!」


 その様子を見て。


 柚乃。


「……」


 くすっ。


「仲いいんだね」


「うん」


 千乃。


 即答。


 真銀。


「……」


 ぽろ。


「泣くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


「今のは嬉しかった……」


「だからって泣かなくても!」


 千乃は。


 ため息をついて。


 ふと。


 柚乃へ向き直った。


「……そういえば」


「うん?」


「柚乃」


「なに?」


「今まで」


「どこに住んでたの?」


「……」


 柚乃。


 ぱく。


 朝食を一口。


「魔王城」


「うん」


「……」


 千乃。


 ぴたっ。


「……え?」


 真銀。


 ぴたっ。


 ララ。


「……?」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……魔王城、ですか?」


 カミル。


「……」


 数秒。


 完全な沈黙。


 千乃。


「……今」


「うん」


「どこって言った?」


「魔王城」


「……」


 千乃。


「なんで?」


「空いてたから」


「え?」


「改築して」


「え?」


「住んでた」


「え?」


「快適だったよ」


「いや、情報量ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 柚乃。


 もぐもぐ。


「お風呂広かったし」


「そこ!?」


「部屋いっぱいあったし」


「元魔王城だからね!?」


「あと」


 柚乃。


 少し。


 嬉しそうに。


「大広間、めっちゃ広かった」


「宴会する気!?」


「してないよ?」


「じゃあ何に使ったの!?」


「……」


 柚乃。


「走り回ってた」


「子どもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 ララ。


「楽しそう!」


「ララは黙って!?」


 柚乃。


「あと」


「まだあるの!?」


「魔王の玉座」


「うん」


「座り心地悪かったから」


「うん」


「ソファにした」


「改造したのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」


 真銀。


「……魔王」


「……」


「帰ってきたら」


「困らない?」


 柚乃。


「いないよ」


「……」


「倒されたって聞いた」


「……」


「だから空き家」


「魔王城を空き家扱いするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 千乃。


 頭を抱えた。


「……」


「……」


「……待って」


「なに?」


「つまり」


「うん」


「柚乃」


「うん」


「ずっと」


「うん」


「一人で」


「うん」


「魔王城に住んでたの?」


「うん」


「……」


「……」


 千乃。


 少しだけ。


 心配そうな顔になる。


「……怖くなかった?」


 柚乃。


「?」


「なんで?」


「なんでって」


「魔王城だよ?」


「うん」


「夜とか」


「うん」


「怖くない?」


 柚乃。


 少し。


 考える。


「……」


「……」


「……」


「柚乃?」


「……最初は」


「うん」


「ちょっと怖かった」


「ほら!」


「でも」


「うん」


「お姉ちゃんが死んだって聞いたほうが」


「……」


「ずっと怖かった」


 千乃。


 ぴたっ。


「……」


 食堂が。


 一瞬。


 静かになる。


 柚乃は。


 少しだけ。


 俯いた。


「……魔王城」


「広いから」


「一人でも」


「寂しくないと思った」


「……」


「お姉ちゃんが」


「もういないなら」


「……」


「誰もいない場所でも」


「一緒かなって」


 千乃。


「……」


 真銀。


 ぽろ。


「真銀!?」


「……無理」


「また!?」


 真銀。


「……ごめん」


「謝るなって!」


 千乃は。


 少しだけ。


 柚乃の手を握った。


「……」


 柚乃。


 顔を上げる。


「お姉ちゃん」


「なに?」


「今度は」


「うん」


「もう」


「一人で住まなくていい?」


 千乃。


 少し笑った。


「……もちろん」


「ほんと?」


「ほんと」


「……」


 柚乃。


 安心したように。


 笑った。


「じゃあ」


「うん?」


「ここに住んでいい?」


「いいよ」


「……!」


 真銀。


「え?」


 千乃。


「?」


「千乃」


「なに?」


「……ここ」


「俺たちの家」


「うん」


「……」


「……」


「……増えるんだ」


「増えるよ?」


「……」


 真銀。


 少し。


 笑った。


「……賑やかになりそう」


「うん!」


 ララ。


「主!」


「なに?」


「新しい家族!?」


「うん」


「やったー!」


 ライ。


「……騒がしくなるな」


 アイシィ。


「楽しそうですね」


 カミル。


「うむ。城がさらに賑やかになるのは悪くない」


 柚乃。


「……」


 千乃の手を。


 ぎゅっ。


「お姉ちゃん」


「うん」


「……ただいま」


 千乃。


 少しだけ。


 目を細めた。


「……おかえり」


 真銀。


 ぽろ。


 千乃。


「……」


 柚乃。


「……」


 ララ。


「……」


 ライ。


「……」


 アイシィ。


「……」


 カミル。


「……」


 全員。


 真銀を見る。


「……」


 真銀。


 慌てて。


「今のは仕方ない!」


 千乃。


「何が!?」


 ララ。


「泣き虫!」


「ララァァァァァァァァァァァ!?」


 こうして。


 かつて。


 空き家となっていた魔王城を。


 勝手に改築して住んでいた。


 千羽柚乃。


 彼女は。


 魔王城を引き払い。


 正式に。


 星氷神城アストラルグレイシアへ。


 引っ越してくることになった。


 なお。


 その後。


 千乃たちは。


 魔王城へ荷物を取りに行った。


 そして。


 魔王城の玄関には。


 なぜか。


 手書きの看板が置かれていた。


 『千羽柚乃の家』


「勝手に家にするなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 千乃の叫び声が。


 元魔王城へ。


 響き渡った。


 こうして。


 千羽柚乃は正式に、星氷神城アストラルグレイシアで暮らすことになった。


 ……のだが。


 ひとつ。


 問題があった。


「柚乃」


「なに?」


 千乃は食堂のテーブルに座りながら、少しだけ真面目な顔をした。


「戦える?」


「……」


 柚乃。


 沈黙。


「……」


「……柚乃?」


「……戦えない」


「うん」


「魔法も?」


「ちょっとだけ」


「攻撃魔法は?」


「ない」


「武器は?」


「持ったことない」


「……」


 千乃。


 こくん。


「よし」


「早いね!?」


 柚乃が驚く。


 千乃は。


 ぽん。


 と柚乃の肩へ手を置いた。


「留守番担当」


「留守番担当?」


「うん」


「……戦わなくていいの?」


「いいよ」


「でも」


「柚乃」


 千乃。


 少しだけ。


 笑った。


「戦えないなら、戦わなくていい」


「……」


「私たちが戦う」


「……」


「その間」


「柚乃は城をお願い」


「……」


 柚乃。


 じっと千乃を見る。


「……大事な役目?」


「もちろん」


 千乃。


 即答。


「城には使用人さんたちもいるし」


「うん」


「何かあったとき、みんなをまとめる人も必要でしょ?」


「……」


「だから」


 千乃。


「留守番隊長」


「隊長になった」


「重要だよ」


「……ほんと?」


「ほんと」


 すると。


 横にいた真銀が。


「……柚乃さん」


「なに?」


「戦えないことは」


「悪いことじゃないよ」


「……」


「俺たちが出かけてる間」


「城に誰かいるって」


「結構安心するし」


 千乃。


「うんうん」


 ララ。


「主ー!」


「なに?」


「じゃあ柚乃は!」


「うん?」


「使用人さんたちのボス!?」


 柚乃。


「……えっ」


 使用人たち。


「「「……」」」


 静寂。


 千乃。


「ララ」


「なに?」


「勝手に役職を増やさない」


「はーい!」


 しかし。


 その後。


 使用人の一人が。


「柚乃様」


「!?」


「お茶はいかがですか?」


 柚乃。


「……」


 ぴしっ。


 千乃。


「柚乃?」


「……」


 真銀。


「……柚乃さん?」


「……」


 柚乃。


 ゆっくり。


 千乃を見る。


「……お姉ちゃん」


「うん」


「私」


「うん」


「今まで」


「うん」


「魔王城で」


「一人でお茶淹れてた」


「うん」


「……」


「……」


「お茶淹れてもらった」


「そこ!?」


 柚乃。


 じわっ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


「泣いたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 真銀。


「……」


 千乃。


「真銀?」


「……なに」


「泣かないよね?」


「泣かない」


「よし」


 真銀。


「……」


 ぽろ。


「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


「共感した……」


「共感力が涙腺に直結してるぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」


 柚乃と真銀。


 二人。


 並んで。


 泣いている。


 ララ。


「泣き虫が二人になった!」


「ララ!?」


「真銀と柚乃、泣き虫隊!」


「隊を作るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 千乃は。


 頭を抱えた。


 しかし。


 その日から。


 千乃たちが戦いや冒険へ出るとき。


 柚乃は。


 城に残ることになった。


 使用人たちと一緒に。


「行ってらっしゃい!」


 玄関ホール。


 柚乃が手を振る。


「気をつけてね!」


「うん!」


 千乃も手を振り返す。


「何かあったら、すぐ結界の中へ入って!」


「分かった!」


「知らない人が来ても、絶対に一人で対応しないでね!」


「うん!」


「危なかったら!」


 千乃。


 胸を張る。


「カミルを呼んで!」


「私を呼べ!?」


 横のカミル。


 柚乃。


「分かった!」


「分かったの!?」


 カミル。


「……まあ、我が城に残っていることもある。問題はない」


 千乃。


「頼りにしてるよ!」


「うむ」


 そして。


 柚乃は。


 城の中へ戻る。


 使用人たちと。


 楽しそうに話しながら。


 戦うことはできない。


 強大な魔法も使えない。


 神にもなれない。


 けれど。


 千乃たちが。


 安心して帰れる場所を守ること。


 それも。


 柚乃にしかできない。


 大切な役目だった。


 そして。


 夕方。


「ただいまー!」


 千乃たちが帰ってくる。


 すると。


 城の奥から。


「おかえりー!」


 柚乃が走ってくる。


 そして。


 千乃へ。


 ぎゅっ。


「無事だった!」


「ただいま!」


「おかえり!」


 千乃。


 笑う。


「ただいまって言ってくれる人がいるの」


「やっぱりいいね」


「うん!」


 柚乃。


「お留守番隊長だから!」


「隊長、気に入ったの!?」


 その後。


 なぜか。


 城の使用人たちの間で。


 柚乃は。


 こう呼ばれるようになった。


 ――留守番隊長。


「誰が広めたの!?」


「ララ!」


「ララァァァァァァァァァァァァ!?」


 そして。


 そのララは。


 悪びれる様子もなく。


「でも主!」


「なに!?」


「留守番隊長!」


 柚乃を見る。


「かっこいいよ!」


 柚乃。


「……!」


 数秒。


「……えへへ」


「気に入ってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」


 こうして。


 戦えない双子の妹。


 千羽柚乃。


 彼女は今日も。


 星氷神城アストラルグレイシアで。


 使用人たちと一緒に。


 大切な城を守っている。


 ……なお。


 留守番中。


「柚乃様」


「はい!」


「こちらの書類を」


「……書類?」


「城の備品管理です」


「……」


「……」


「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」


 千乃。


 遠征先。


「……?」


「誰か呼んだ?」


 こうして。


 戦闘はできない。


 しかし。


 書類仕事という。


 別の強敵が。


 柚乃の前に現れたのだった。

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― 新着の感想 ―
真銀のキャラ崩壊してきたなぁ 柚乃さんパイライト来たら心移りされそうで心配
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