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祝福の街〜銀と紅の誓い〜

数日後。


王都は。


いつもとは違う空気に包まれていた。


朝から街中に花が飾られ。


魔石灯には星の模様が浮かぶ。


通りを歩けば。


誰もが笑顔だった。


「本当に来るんだよな?」


「ああ。千乃様と真銀様が。」


「世界を救った二人の結婚式だぞ。」


「なんだか夢みたいだな。」


住民たちは嬉しそうに話している。


---


王城前。


巨大な広場。


そこには。


一流の職人たちが作り上げた式場が完成していた。


白い柱。


星を映す水晶。


氷の花を思わせる装飾。


そして。


空中には無数の光の花。


まるで。


千乃が作った星空の城を、そのまま王都へ持ってきたようだった。


「……すご。」


準備の様子を見に来た千乃は。


思わず声を漏らす。


「これ。」


「本当に私たちのため?」


隣にいる真銀が頷く。


「ああ。」


「全部。」


千乃は周囲を見る。


花。


光。


笑顔の人々。


「……。」


少しだけ。


昔を思い出す。


地球で。


真銀を守って。


消えた日。


奈落へ落ちた日。


世界修正体と戦った日。


何度も。


もう戻れないと思った。


でも。


今。


ここにいる。


「千乃?」


真銀が呼ぶ。


「……ううん。」


千乃は笑った。


「なんか。」


「不思議だなって。」


「何が?」


「昔の私が見たら。」


「絶対信じないと思う。」


「未来で。」


「こんな日が来るなんて。」


真銀は少し笑う。


「俺もだ。」


---


その時。


遠くから。


聞き覚えのある声が響いた。


「千乃さーーーーん!!」


「真銀さーーーーん!!」


二人が振り返る。


そこには。


大量の資料を抱えたラブリー。


「最終確認です!!」


「衣装!」


「指輪!」


「式場!」


「感動演出!」


「全部問題なし!!」


真銀がため息をつく。


「……演出は減らせ。」


「無理です。」


即答。


「なぜ。」


「人生一度の結婚式ですよ?」


「全力で祝うのが恋愛ギルドです!!」


千乃は笑う。


「ラブリーさん。」


「はい?」


「楽しそう。」


ラブリーは胸を張る。


「当然です!」


「二人の幸せを見るために存在している組織ですから!」


---


その日の夕方。


王都の空。


一番星が輝く。


式の日まで。


あと少し。


そして。


その日を待つように。


星空の城も。


静かに光を放っていた。



王都。


朝。


空は雲ひとつない青。


まるで世界全体が、この日を待っていたようだった。


街には花が咲き。


魔石灯が淡く輝く。


王都中の人々が集まる。


今日だけは。


身分も立場も関係ない。


ただ。


二人の幸せを祝う日。


---


式場。


白い柱には星の装飾。


足元には氷の花。


空中には光の粒が舞っている。


まるで。


星空の城と王都が一つになったような場所。


ララは小さな正装姿で跳ね回る。


「すごい!」


「全部キラキラしてる!」


ライはいつもの落ち着いた表情。


しかし。


少しだけ口元が緩んでいる。


「……良い日だな。」


アイシィも静かに頷く。


「本当に。」


「ここまで来たのですね。」


---


そして。


時間になる。


扉が開く。


先に立っているのは真銀。


黒を基調とした正装。


銀色の装飾が光を反射する。


いつもの戦う姿とは違う。


一人の青年として。


千乃を待っている。


---


「……。」


会場が静かになる。


扉の向こう。


ゆっくりと。


千乃が歩いてくる。


白い衣装。


真紅と金の装飾。


長いメタルピンクの髪。


そこには。


真銀から贈られた簪。


そして。


穏やかな笑顔。


会場から。


小さなどよめきが起きる。


「綺麗……。」


「神様みたいだ。」


千乃は少し照れる。


でも。


歩みは止まらない。


自分の足で。


神靴で。


一歩ずつ。


真銀のもとへ。


---


二人が向かい合う。


ラブリーが前へ出る。


今日は珍しく。


少しだけ真面目な顔。


「本日は。」


「二人の新しい始まりを見届ける日です。」


「数え切れない困難を越え。」


「失いかけても。」


「何度でも互いを探し続けた二人。」


ラブリーは二人を見る。


「では。」


「誓いの言葉を。」


---


真銀が先に口を開く。


千乃を見る。


「千乃。」


「俺は。」


「これから先。」


「どんな未来でも。」


「お前の隣にいる。」


「守る。」


「支える。」


「一緒に歩く。」


少し笑う。


「今度は。」


「一人で全部背負わせない。」


千乃の目が少し潤む。


---


千乃も答える。


「真銀。」


「私も。」


「約束する。」


「もう。」


「勝手に消えたりしない。」


「……できるだけ。」


「できるだけ?」


真銀が少し笑う。


千乃も笑う。


「だって。」


「私だから。」


会場に小さな笑いが広がる。


「でも。」


千乃は真剣な顔になる。


「絶対に。」


「帰ってくる。」


「真銀のところへ。」


---


二人は指輪を交換する。


光が重なる。


赤と青。


二つの魔力が混ざり合い。


空へ昇っていく。


その瞬間。


王都上空に。


巨大な光の花が咲いた。


「わぁ……!」


人々から歓声が上がる。


---


ラブリーは。


こっそり録画結晶を確認する。


「完璧……。」


「最高の記録です……。」


そして。


いつもの顔に戻る。


「では!!」


「祝宴開始です!!」


「切り替え早いな!?」


真銀のツッコミ。


千乃の笑い声。


仲間たちの声。


王都中の祝福。


長い旅の果て。


二人はようやく。


同じ未来を歩き始めた。


結婚式が終わった王都。


しかし。


祝福の時間はまだ終わっていなかった。


「乾杯!!」


広場中に声が響く。


巨大な宴会場へと変わった王都の中心。


そこには。


王族。


冒険者。


職人。


街の住民。


そして。


千乃と真銀の仲間たち。


全員が集まっていた。


---


「千乃様!」


「真銀様!」


次々に声をかけられる。


千乃は少し困ったように笑う。


「様って呼ばれるの、まだ慣れない……。」


真銀が隣で頷く。


「俺もだ。」


「でも。」


「もう逃げられないな。」


「え?」


「国中に知られた。」


「……。」


千乃は少し考える。


「じゃあ。」


「慣れるしかないかぁ。」


---


料理が並ぶ。


王都最高級の料理。


星の城から届けられた氷の果実。


千乃が魔法で作った幻想的な菓子。


ララは目を輝かせる。


「全部食べていいの!?」


ライが止める。


「食べ過ぎるな。」


「大丈夫!」


「災害級魔物だから!」


「理由になっていない。」


---


少し離れた場所。


アイシィは静かに二人を見る。


「……。」


「本当に。」


「良かったですね。」


ライも頷く。


「何度も終わりかけた。」


「それでも。」


「戻ってきた。」


---


その頃。


千乃と真銀の元へ。


ラブリーが現れる。


手には。


大量の記録結晶。


「お二人にご報告があります。」


真銀が警戒する。


「……今度は何だ。」


「安心してください。」


「普通の報告です。」


千乃が小声で言う。


「普通って言った時のラブリーさん、信用できない。」


「聞こえてますよ?」


ラブリーは笑顔。


「本日の映像記録。」


「なんと。」


「王都史上最高の閲覧希望数を記録しました!!」


「何に使うんですか!?」


千乃が慌てる。


「もちろん。」


「未来の恋愛教育資料です!!」


「やめて!?」


---


騒がしい。


でも。


心地いい。


真銀はふと空を見る。


夜になり始めた空。


星が輝いている。


「千乃。」


「ん?」


「覚えてるか。」


「最初に星を見た時。」


千乃も空を見る。


「覚えてる。」


「まさか。」


「こんな場所で。」


「こんな景色を見るなんてね。」


真銀は笑う。


「昔なら。」


「考えられなかった。」


千乃は頷く。


「でも。」


「今は。」


二人の手が自然に重なる。


指輪が星の光を反射する。


「ここにいる。」


---


その瞬間。


王都の空に。


小さな流れ星が走った。


ララが叫ぶ。


「流れ星!」


アイシィが微笑む。


「祝福しているみたいですね。」


ラブリーはすぐに記録結晶を向ける。


「追加保存!!」


「また!?」


笑い声が夜空へ響く。


戦いの時代は終わった。


これから始まるのは。


守るためだけじゃない。


幸せを作るための物語だった。

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