最後の盾
庭に落ちた静寂。
誰も動かなかった。
千乃は俯いたまま。
黒い羽を散らしながら、ただ立っている。
ラブリーはエリシアを見つめていた。
「……もう。」
「終わりにしましょう。」
その言葉に。
エリシアは震える手を握る。
「……嫌。」
「嫌です……。」
「まだ……。」
残された魔力。
本来なら、もう戦える量ではない。
それでも。
エリシアは魔法陣を展開した。
今までとは比べ物にならない大きさ。
空気が震える。
「これで……。」
「これで証明できます。」
「千乃さんがいなければ。」
「真銀様も、あなたも……!」
真銀の表情が変わる。
「やめろ。」
エリシアは聞かない。
巨大な魔法陣が輝く。
標的は。
真銀。
そして。
ラブリー。
「撃つな!!」
ライが叫ぶ。
しかし。
放たれる。
---
その瞬間。
真銀の左手にあるブレスレットが光った。
淡い銀色の輝き。
「……。」
真銀が目を見開く。
これは。
千乃が作ったもの。
魔力譲渡。
位置共有。
所有者登録。
そして。
誰にも気付かれないように隠された、もう一つの効果。
「まさか……。」
真銀は理解した。
千乃は。
また。
自分を守るための仕掛けを入れていた。
結界。
真銀が。
唯一。
大嫌いな魔法。
「千乃……。」
魔法陣が展開される。
攻撃を防ぐためではない。
受けた攻撃を。
別の場所へ流すための結界。
真銀の周囲を包んだ結界が。
エリシアの魔法を吸収する。
そして。
行き先を変える。
「……。」
真銀の顔が青ざめる。
「やめろ……。」
「千乃!!」
---
ドォォォン!!
巨大な魔力が。
千乃へ向かった。
千乃は。
ラブリーの前に立っていた。
「……。」
何も言わない。
ただ。
翼を広げる。
黒い羽が舞う。
魔法が直撃する。
一発。
二発。
三発。
衝撃が庭を揺らす。
「千乃!!」
ラブリーが叫ぶ。
しかし。
千乃は倒れない。
最後まで。
二人を守るように立っていた。
やがて。
魔力の光が消える。
---
静かになった庭。
千乃の身体が揺れる。
鬼化が少しずつ薄れていく。
白い髪。
赤い瞳。
角。
黒い魔力。
全てが消えていく。
そこに残ったのは。
いつもの千乃だった。
「……。」
一歩。
前へ出る。
そして。
力が抜けた。
「千乃!」
真銀が駆け寄る。
間に合うように抱き止める。
「……また。」
千乃が小さく呟く。
「守れた……かな。」
真銀の表情が歪む。
「馬鹿。」
「なんで。」
「なんでまた……。」
千乃は薄く笑う。
「だって。」
「大切だから。」
その言葉を最後に。
千乃の意識が途切れた。
---
その後。
千乃はすぐに王都の病院へ運ばれた。
王都中でも最高峰の治療施設。
魔力治療。
回復魔法。
全てが行われる。
しかし。
真銀は。
病室の前から動かなかった。
ララも。
ライも。
アイシィも。
そして。
ラブリーも。
誰も何も言わない。
ただ。
眠る千乃を見守っていた。
ラブリーは拳を握る。
「……。」
いつもの明るい恋愛ギルド長ではない。
静かな怒りを抱えた顔。
「絶対に。」
「このまま終わらせません。」
その声は。
誰よりも強かった。
王都最高峰の治療院。
普段なら。
どんな重傷者でも受け入れる、希望の場所。
しかし。
その日の一室だけは。
異様なほど静かだった。
ベッドの上。
千乃は眠っている。
呼吸はある。
けれど。
何度回復魔法を重ねても。
目を覚まさない。
「……。」
治療師が魔力の流れを確認する。
「身体そのものは……回復しています。」
真銀が顔を上げる。
「なら。」
「なら、起きるんじゃないのか。」
治療師は言葉を詰まらせる。
「……問題は。」
「魔力です。」
「千乃様は、最後の攻撃を受け止めるために……」
「自分の力を限界以上に使いました。」
真銀の手が震える。
「……また。」
「また俺のために。」
その言葉に。
ララが首を振る。
「違う。」
小さな声。
「千乃は。」
「真銀だけじゃない。」
ライも静かに続ける。
「全員を守った。」
アイシィは眠る千乃を見る。
「千乃さんは。」
「守ることを選んだのです。」
---
病室の外。
ラブリーは壁にもたれていた。
いつもの大声はない。
いつもの笑顔もない。
ただ。
拳を握っている。
「……。」
恋愛ギルド長として。
たくさんの恋を見てきた。
幸せになる人。
すれ違う人。
傷付く人。
でも。
今回だけは。
許せなかった。
「千乃さん。」
小さく呟く。
「あなたは。」
「自分が傷付くことを、当たり前にしすぎです。」
---
夜。
真銀は一人。
千乃の横に座っていた。
握っているのは。
お揃いのブレスレット。
「……これ。」
「本当に余計なものまで入れてたな。」
小さく笑う。
「魔力譲渡。」
「位置共有。」
「所有者登録。」
そして。
一番隠していたもの。
「俺を守るための結界。」
真銀は目を伏せる。
「俺は。」
「この魔法が嫌いだった。」
「誰か一人に全部背負わせるから。」
静かに。
千乃の手を握る。
「でも。」
「今なら分かる。」
「千乃が嫌いなはずがない。」
「ただ。」
「千乃が自分を大切にしてくれないのが。」
「怖かったんだ。」
返事はない。
ただ。
静かな寝息だけ。
---
翌朝。
治療師が部屋へ入る。
真銀はすぐに立ち上がった。
「何か変化は?」
治療師は少し迷う。
そして。
「……まだ。」
「目覚めるかどうかは。」
「正直に言えば、分かりません。」
その言葉が。
部屋に落ちる。
真銀は拳を握る。
ララは俯く。
ライは黙る。
アイシィは祈るように目を閉じる。
でも。
誰も。
諦めなかった。
ベッドの横には。
千乃が作った神靴。
真銀から贈られた簪。
お揃いのブレスレット。
全部。
千乃が歩いてきた証だった。
「……帰ってこい。」
真銀は小さく呟く。
「まだ。」
「言ってないだろ。」
「大事な言葉。」
窓の外。
星空の城に。
朝の光が差し込む。
そして。
その光が。
眠る千乃の指先を、ほんの少しだけ照らした。
王都の治療院。
深夜。
真銀は椅子に座ったまま、千乃の手を握っていた。
「……。」
眠るつもりなんてなかった。
けれど。
張り詰めていたものが限界だった。
ほんの少しだけ。
数十分だけ。
目を閉じた。
---
「……。」
真銀が目を開ける。
最初に感じた違和感。
静かすぎる。
「……千乃?」
返事がない。
握っていたはずの手。
そこに。
温もりがない。
「……え?」
椅子から立ち上がる。
「千乃?」
ベッドを見る。
そこにいたはずの少女は。
いなかった。
布団だけが少し乱れている。
真銀の顔から血の気が引く。
「嘘だろ……。」
すぐに周囲を確認する。
窓。
扉。
魔力の残滓。
そして。
微かに残る、知らない魔力。
「……。」
拳を握る。
「エリシア……。」
---
その頃。
王都から離れた場所。
静かな部屋。
千乃は眠ったまま横になっていた。
その隣に。
エリシアが立っている。
「……。」
エリシアは眠る千乃を見る。
「これで。」
「邪魔はいなくなりました。」
その声に。
千乃は反応しない。
深く眠ったまま。
エリシアは窓の外を見る。
「真銀様。」
「あなたは。」
「私が守ります。」
---
「真銀様。」
その声に。
真銀は振り返った。
治療院の廊下。
そこに。
エリシアがいた。
「……。」
真銀の目が鋭くなる。
「千乃はどこだ。」
エリシアは微笑む。
「安心してください。」
「無事です。」
「ですが。」
一歩近付く。
「もう。」
「千乃さんには休んでもらいます。」
「……何をした。」
低い声。
エリシアは少し首を傾げる。
「だって。」
「真銀様は優しすぎます。」
「千乃さんがいる限り。」
「あなたは傷付き続ける。」
「違う。」
即答だった。
「千乃は俺を傷付けているんじゃない。」
「守っている。」
エリシアの表情が揺れる。
「……それでも。」
「私は。」
「真銀様を救いたい。」
そして。
静かに告げる。
「真銀様は。」
「私のものです。」
その瞬間。
真銀の周囲の空気が変わった。
怒り。
悲しみ。
そして。
何より。
千乃を失った恐怖。
「違う。」
真銀はゆっくり言う。
「千乃は。」
「物じゃない。」
「誰かの所有物でもない。」
「俺が選んだ相手だ。」
エリシアは俯く。
「……。」
真銀は拳を握る。
「返せ。」
「千乃を。」
「今すぐ。」
---
その頃。
眠る千乃の指元。
お揃いのブレスレットが。
小さく光った。
所有者登録。
位置共有。
繋がった魔力。
遠く離れていても。
まだ。
消えてはいなかった。
「返せ。」
真銀の声が低く響く。
「千乃を。」
エリシアは静かに首を振った。
「真銀様。」
「分かっていません。」
「千乃さんは危険です。」
「あなたを何度も傷付ける。」
その言葉を聞いた瞬間。
真銀の中で。
何かが切れた。
「……違う。」
握った拳から魔力が漏れる。
「千乃は。」
「俺を傷付けたんじゃない。」
「俺が。」
「千乃を選んだんだ。」
青い魔力が、足元から広がる。
今まで感じたことのない魔力。
エリシアの表情が変わる。
「その魔力……?」
真銀自身も驚いていた。
これは。
誰かから教わった魔法じゃない。
千乃のように。
必要だから。
絶対に届けたいから。
生まれた魔法。
「……。」
目を閉じる。
千乃の姿を思い浮かべる。
守るために傷付いた姿。
笑っていた姿。
泣いていた姿。
全部。
「俺のところへ。」
「戻ってこい。」
青い光が集まる。
真銀の手元に。
一本の光の紐が現れた。
ただの魔力ではない。
繋がりそのもの。
「――蒼天導絆」
詠唱と同時。
青い光の紐が空へ伸びる。
壁を越える。
距離を越える。
場所を越える。
まるで。
失った大切なものを探すように。
一直線に進んでいく。
エリシアは息を呑む。
「そんな……。」
「場所が分からないはずなのに……。」
真銀は答えない。
ただ。
伸びた光を見つめていた。
---
遠く離れた部屋。
眠る千乃。
その指元のブレスレットが反応する。
淡い光。
そして。
青い光の紐が現れる。
千乃の手へ。
腕へ。
優しく絡む。
まるで。
迎えに来たと言うように。
---
「見つけた。」
真銀が呟く。
光の紐が一気に戻り始める。
空間を駆け抜ける。
そして。
パァァ……
青い光が部屋いっぱいに広がった。
エリシアが目を見開く。
その中心に。
千乃がいた。
眠ったまま。
けれど。
確かに。
真銀の腕の中へ戻ってきた。
「……。」
真銀は千乃を抱きしめる。
今度こそ。
離さないように。
「千乃。」
「迎えに来た。」
千乃は眠ったまま。
ほんの少しだけ。
指を動かした。
まるで。
声が届いたように。
エリシアはその光景を見て。
初めて理解する。
奪えるものではなかった。
真銀が選んだのは。
最初から、最後まで。
千乃だった。
真銀の腕の中。
千乃はまだ眠っている。
けれど。
その瞬間。
異変が起きた。
「……?」
真銀が千乃の手を見る。
淡い。
それでいて強い。
真紅の光。
千乃の指先から。
一本の魔力の糸が伸びた。
「千乃……?」
その光は。
意思を持っているかのように。
ゆっくりと宙を進む。
エリシアが一歩下がる。
「な、何……?」
赤い光の糸が。
エリシアの手首へ。
足元へ。
そして身体の周囲へ絡みつく。
「っ!」
エリシアが魔法を使おうとする。
しかし。
発動しない。
「これは……。」
真銀が気付く。
「千乃の魔力……。」
攻撃ではない。
傷付けるためでもない。
ただ。
「……拒絶している。」
千乃の無意識。
自分や大切な人を傷付けた存在を。
これ以上近付けないための力。
赤い光はさらに強くなる。
エリシアの身体を包み込む。
「待ってください!」
「私は……!」
しかし。
千乃は目を覚まさない。
ただ。
小さく呟いた。
「……もう。」
「近付かないで。」
眠ったまま。
かすかな声。
それだけだった。
次の瞬間。
ふわっ。
エリシアの身体が浮かび上がる。
「え?」
「ちょ、ちょっと!?」
赤い魔力の糸は。
まるで投げ縄のように。
空へ伸びていく。
そして。
「……。」
真銀は少しだけ遠い目をした。
「千乃。」
「それはさすがに……。」
パァン!!
紅い光が弾ける。
「きゃあああああ!?」
エリシアの姿が。
空の彼方へ飛んでいく。
星空の向こうへ。
ただし。
しっかりと安全な方向へ。
傷付かないように。
魔力で守られた状態で。
---
静寂。
部屋に戻る。
真銀は千乃を見る。
「……寝ながらやることじゃないだろ。」
呆れた声。
でも。
少しだけ安心していた。
ラブリーは後から駆け込んできて。
窓の外を確認する。
「……。」
「今、何かが王都上空を超高速で通過しましたが。」
真銀が黙る。
ラブリーが千乃を見る。
「……千乃さんですね?」
真銀は小さく頷く。
ラブリーは深いため息。
そして。
「さすがです。」
「寝ながらでも恋愛妨害を処理するとは。」
「そこ褒めるところ!?」
真銀のツッコミが響く。
眠る千乃は。
何も知らないまま。
安心したように眠っていた。
静かな病室。
朝の光が差し込む。
窓の外では。
星の城の屋根が、朝日に照らされて輝いていた。
ベッドの上。
千乃の指が、ぴくりと動く。
「……。」
ゆっくり。
ゆっくり。
瞼が開く。
「ん……。」
長い眠りから戻った千乃は。
小さく息を吐いて。
「うーん……。」
両腕を上へ伸ばす。
ぐっと。
大きく伸びをする。
「……よく寝た。」
その一言。
部屋にいた全員が固まった。
「……。」
「……。」
「……。」
真銀。
ララ。
ライ。
アイシィ。
そして。
ラブリー。
「千乃……?」
真銀の声が震える。
千乃は首を傾げる。
「ん?」
「どうしたの?」
その瞬間。
真銀の表情が崩れた。
「……。」
一歩近付く。
「本当に……。」
「起きたんだな。」
千乃は少し不思議そうに笑う。
「え?」
「そんな大げさな。」
「大げさじゃない。」
真銀は小さく首を振る。
「何日も。」
「目を覚まさなかった。」
千乃の表情が変わる。
「……そっか。」
自分の手を見る。
そこには。
真銀とお揃いのブレスレット。
そして。
少し離れた場所には。
簪。
神靴。
全部。
自分が大切にしてきたもの。
「……。」
千乃は静かに笑った。
「また。」
「みんなに心配かけちゃったね。」
その言葉に。
真銀がすぐ返す。
「違う。」
「え?」
「心配したのは。」
「迷惑だったからじゃない。」
「大切だからだ。」
千乃は目を瞬かせる。
---
その時。
ラブリーが突然立ち上がった。
「はい!!」
「感動場面です!!」
「ラブリーさん!?」
いつもの調子。
完全復活。
「目覚め!」
「再会!」
「仲間の絆!」
「そして!!」
窓の外を見る。
「空の彼方へ飛ばされた皇女様事件!!」
「最後のはいらない!!」
千乃が叫ぶ。
「え?」
「私、何かした?」
全員が沈黙。
真銀が目を逸らす。
ラブリーが笑う。
「……。」
「寝ている間に少々。」
「少々じゃないよね!?」
ライが淡々と言う。
「王都上空に巨大な赤い魔力反応が発生した。」
アイシィも頷く。
「千乃さんの魔力でした。」
千乃は固まる。
「……。」
「寝ながら?」
ララが元気よく答える。
「うん!」
千乃はしばらく考える。
そして。
「……私。」
「また変なことした?」
真銀は少し笑う。
「まあ。」
「千乃らしい。」
その言葉に。
千乃も笑った。
久しぶりに。
心から。
千乃が目を覚ました病室。
穏やかな空気が流れていた。
……はずだった。
「では。」
ラブリーが突然立ち上がる。
「次の段階へ移ります。」
真銀が嫌な予感を覚える。
「……ラブリー。」
「なんだ、その顔は。」
ラブリーは満面の笑み。
「大丈夫です。」
「今回はちゃんと許可を取ります。」
「何の?」
千乃が首を傾げる。
その瞬間。
ラブリーは両手を広げた。
「恋愛ギルド特別記録魔法。」
「発動準備。」
「え?」
魔法陣が広がる。
病室の床。
壁。
天井。
全てを包み込むように。
「花園記憶結界」
光が弾ける。
パァァ……
次の瞬間。
病室が変わった。
壁は消えたように見え。
天井もあるはずなのに。
そこには青い空。
柔らかな雲。
そして。
一面の花畑。
色とりどりの花が咲き誇り。
風が優しく吹く。
「……え?」
千乃が目を丸くする。
「病室……?」
ララが飛び跳ねる。
「すごい!!」
アイシィも周囲を見る。
「幻術……いえ。」
「空間演出魔法ですね。」
ライが静かに呟く。
「恋愛ギルド。」
「本気を出す方向が違う。」
ラブリーは胸を張る。
「違いません!!」
「恋の瞬間を残すことは!」
「未来への大切な記録です!!」
そして。
どこからともなく。
大量の魔道具が現れる。
小型の録画結晶。
音声記録石。
光を調整する魔石。
「準備完了。」
ラブリーが指を立てる。
「記念すべき。」
「プロポーズの録画準備完了ですッ!!」
「……。」
沈黙。
真銀と千乃。
同時に顔を赤くする。
「え?」
「録画?」
千乃が固まる。
真銀も少し焦る。
「待て。」
「まだ俺は……。」
ラブリーは首を傾げる。
「え?」
「違うんですか?」
「指輪を渡す準備をして。」
「告白をして。」
「千乃さんが目覚めた。」
「これはもう。」
「第二幕ですよね?」
「勝手に幕を作るな。」
真銀のツッコミ。
しかし。
ラブリーは止まらない。
「さあ!」
「最高の瞬間を!」
「今度こそ!」
「邪魔なしで!!」
その言葉で。
全員が少しだけ笑った。
千乃は真銀を見る。
真銀も千乃を見る。
大変なことばかりだった。
でも。
今。
二人はここにいる。
花畑のような病室。
青い空。
仲間たち。
そして。
恋愛ギルド長の過剰な準備。
「……ラブリーさん。」
千乃が苦笑する。
「やりすぎ。」
「最高の褒め言葉ですねッ!!」
即答だった。




